
「界隈消費」という新しい波
column vol.1033
「界隈消費」という言葉をご存知でしょうか?
SHIBUYA109 lab.が毎年15歳〜24歳の間で流行したものを発表する、SHIBUYA109 lab.トレンド大賞というものがあるのですが
2022年のおでかけ部門にランクインしたトレンドワードの1つが「界隈消費」です。
〈@DIME / 2023年5月18日〉
今日はこの消費の新しい形についてお話ししたいと思います。
「界隈消費」とは何か?
趣向や価値観が多様化する中、「万人受け」するものよりも、自分が所属するコミュニティの中でのトレンドを重視する傾向が見られています。
こうした価値観のもと、画一的なトレンドを追うのではなく、「〇〇の界隈では流行っている」というような、一部の界隈で強烈に支持されるものを好み、価値を見出すような消費行動のことを界隈消費と呼ぶわけです。
カギは「深く狭く」。
正確に言うと、広さよりも深さを重視するというイメージです。
こちらは、スマホの普及やITの進展による情報量の増加や入手経路の多用化による影響が大きいという見方がされています。
これはnoterさんなら、世代問わず感じ取っていらっしゃる傾向だと思います。
一般的にSNSは、フォロワー数が1000名以上の人を「ナノ・インフルエンサー」と呼び、インフルエンサーの入口に立つことになりますが
今では、1000名以下であっても熱狂的にフォロワーから支持されている方も多く見られます。
これも「狭く、深く」の一例ですね。
@DIMEの記事の具体的な事例としては、「住所非公開カフェ」や「会員制カフェ」が挙げられます。
例えば、東京都内には、口コミ情報を頼りにしないと辿り着けないような住所非公開のカフェが存在しています。
このようなスタイルは
自分たちだけが知っている場所
という特別感を演出することができる。
これまでのように、予めスマホで目的地を調べてから店に向かうのではなく、隠れ家的な居場所に意図せず出逢える楽しみも界隈消費の魅力の1つなのです。
「個」の力を活かした「界隈独立」
こうした界隈需要を掴み、新しい形の仕事の仕方を確立している人もいます。
例えば、美容師さんです。
SNSの発信力を活かして濃いファンを獲得する「界隈フリーランサー」が増えています。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2023年6月5日〉
これまではヘアサロンに就職し、カット、カラー、パーマと何でもこなして腕を磨いて「独立」する流れが主流でした。
一方で、独学で腕を磨き、若くして「フリーランス美容師」として活躍し、月に100万円以上稼ぐ人たちもいるとのこと…(汗)
ビジネスインサイダージャパンの記事に登場する神戸市の宮本玲生さん(24)もInstagramで受け付ける予約はいつも一杯。
多ければ1日に9人を施術し、月間の売り上げは170万円ほど。
年末と年度末の繁忙期には休みなしで働き、200万円超を売り上げたそうです…(驚)
美容師としての技術を磨きながら、TikTokの有料セミナーなどでSNSを徹底的に研究。
その甲斐あって、2022年2月、ブリーチなしで、まるでブリーチをしたかのような髪色に仕上げた施術例を紹介した投稿が「バズった」のです。
(2023年5月現在、200万再生超え)
もちろん、ハズった後も美容師としての腕を磨き、今では「顔まわりカット(5500円)」が人気とのこと。
SNSで広くリーチし、しっかりとファンを獲得する。
ちなみに、私の知り合いに副業でネイリストをやっている人がいるのですが、一度もサロンに勤めたことがないのにも関わらず、Instagramで自分が受けられるだけの界隈顧客を掴んでいるそうです。
界隈のスケールはさまざまであるのでしょうが、上手くハマれば、「濃いファンが支えてくれる」可能性を期待できるかと思います。
「私だけ」「私の方」が知っている
「界隈消費」のポイントは、先程@DIMEの記事から引用した
自分たちだけが知っている場所
という点にあります。
「自分だけが知っている」。
ですから、口コミでしか知り得ないような店をつくったりするわけですよね?
もちろん、これは存在をシークレットにしなくても「自分だけ」を演出する方法はあります。
スポーツでも音楽でも、アイドルでも、ファンが集まるとどうなるでしょうか?
そうですね、「私の方が知っている」大合戦が始まることでしょう。
ファンは「自分の方がより深く知っていること」に誇りを持つわけです。
その心理をどうくすぐるかがファンを育む上での重要なポイントとなります。
段階としては、まず「共感ポイント」を明確にする。
スポーツで例えるならば、それが「献身的で、玄人好みのいぶし銀なプレー」だとします。
それなら、そうしたプレーがいかに価値を持っているかを解説した動画や記事を出すわけです。
もちろん、自分の好プレーを解説すると…、自画自賛になってしまい…、ちょっと周りからの反応が怖いですね…😅
ということで、例えば引退した選手の「献身的で、玄人好み」のレジェンドプレーを紹介するわけです。
そうして、まずは間接的に自分プレーの価値を高めていく。
その上でファンが「ひょっとして、あの時のプレーはレジェンドプレーにインスパイアされたものなのでは…?」と、考察してくださるようになったら、めっけものです😊
さらに、そのファンがファン感謝祭などでサインをもらいに来た時に、「ひょっとしてあの時のプレーは〜」と答え合わせが始まったら完璧でしょう。
「実はそうなんです」と答えれば、ファンは「うわー当たった〜!これは自分だけの真実だー!」と、「私だけ」コレクションとして心の中で飾られ、ファン心理は爆上がりします。
もちろん、こんなに上手くいくとは思いませんが(笑)、何となく「自分だけは知っている」「自分の方が知っている」の育て方のエッセンスは掴んでいただけたのではないでしょうか?
私もどこかの界隈では愛されるマーケター・noterになれるように、まずは共感ポイントを磨いていきたいと思います!
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。