終身雇用とは「運命共同体」の印
column vol.1067
ヘッダーの写真は、グータッチによって「X」の形をしていますが、今話題の「Twitterのブランド名がXに変わった」という話がしたわけではございません〜
昨日の予告通り、本日は社内で「オフィス移転パーティー」が行われたので、今日は「会社組織」についてお話ししたいと思います。
5月に3年ぶりとなる会社全体の懇親会(新入社員歓迎会)が行われた時、新人の一人が「この会社はファミリーっす!」と言ってくれたことが嬉しかったという話を以前しましたが
懇親会を行うたびに、改めてそうした企業文化を感じることができます。
そんな折、幻冬舎ゴールドオンラインの【「終身雇用」を失くすほうが日本企業は危ういといえるワケ】という記事に大変共感いたしましたので、共有させていただきます。
〈幻冬舎ゴールドオンライン / 2023年7月14日〉
NTTデータ経営研究所グローバルビジネス推進センター・シニアスペシャリストの岡野寿彦さんは、「日本企業の成長の源は終身雇用」であると指摘されているのですが、その理由に迫りたいと思います。
日本企業は「運命共同体」である
岡野さんはまずアメリカの研究者、ジェームス・C・アベグレンさんの著書『日本の経営』(1958年)について言及。
この本は1950年代半ばから高度経済成長期に突入した日本の躍進について明らかにするため、アベグレンさんがフォード財団から依頼されて出版したもの。
その中で、日本企業の人事・労務の諸制度や慣行を取り上げ、企業と従業員の間の「社会契約」、「年功制」、「企業別組合」の3つの柱を日本的経営の主要な特徴として挙げています。
そして、その大黒柱である「社会契約」についてアベグレンさんは「終身の関係(lifetime commitment)」と表現しています。
これが後に「終身雇用」という言葉で広がっていくのですが、本質的には「関係」としているところがミソです。
もちろん雇用主(経営層)と従業員の主従は内在するものの、それ以上に重要なのが「運命共同体」という意識でしょう。
つまり、会社で働く人たちの経済的な安全を確保するために皆で協力するという約束を意味しているわけです。
これは「家(族)」という概念に近いものがあり、日本の経営が「家族的経営」と言われる所以でしょう。
年功序列もそうした循環の中にあるというわけです。
もちろん会社なのでヒエラルキーはありますが、それでも本質的には「全員が公平に参加する共同体」である。
平等主義を重視し、皆で協力し合っている姿こそが本来の日本的経営の「らしさ」なのです。
資本主義というより「人本主義」
そして、岡野さんは日本人的価値を説明する資料として、一橋大学名誉教授で経営学者、伊丹敬之さんの著書著『人本主義企業:変わる経営 変わらぬ原理』(1993年)および『経営の未来を見誤るな:デジタル人本主義への道』(2000年)について挙げていらっしゃいます。
伊丹さんは日本的経営の原理は「人本主義」と考えているのです。
人本主義と資本主義の違いは以下のように整理されます。
企業は誰のものか?
アメリカ型経営では「会社は株主のもの」である定義しているのに対し、日本企業人の一般的観念は「働く人々のもの」と考える傾向にあります。
多くの経営者が「企業は人なり」と語るのは、そのためです。
もちろん、どちらが良い悪いかという話ではありません。
それよりも、「合う」「合わない」という視点で見ることが大切であるというのが、岡野さんの主張です。
というのも、こうした日本人的「人本主義」の文化・価値観というのは、二千年を超える歴史の中で培われてきたものとのこと。
終身雇用という単なる制度の話ではなく、思想(文化)の本質に目を向け、理解しないことが「リスク」であるということなのです。
サッカーでも、野球でも、日本のチームプレイは世界から絶賛され、躍進の原動力になっています。
もちろん、サッカーなどはフィジカルや個の能力の差を埋めるためということもあるのですが、本質的に日本人は「チーム一体」に美徳を感じ、「チームのために」と考えることが大きなモチベーションにつながっている。
観ている我々も日本代表に熱狂するのは、この「一体感」に起因していると感じます。
実力があり、勝ち進んだとしても、チームメンバー同士が明らかに仲が悪く、個人主義だったら、応援はしても熱狂はしないのかもしれませんね。
七福神に見る団結の源泉
こうした団結力の源泉を深掘りすると、日本人の「不完全である自分」を受け入れる謙虚な哲学が見えてきます。
いつも凄いなと思うのが「七福神」です。
全知全能であるはずの(少なくとも人間を超越している)神様が7人も集まってチームを組んでいるのですよ…(汗)
七福神を見るたびに、「絶対的な存在なんていない。だから、みんなで助け合っていこうよ」というメッセージに感じます。
そもそも、日本には八百万神がいます。
特別な存在が八百万もいるわけです…😅
そう考えると、たかが会社組織の社長が特別な存在であるとなんて思えなくなりますよね。
実際、社長タイプの人と支える人の間で思考の傾向は異なるようです。
例えば、「好奇心」。
好奇心には
の2タイプがあるそうです。
〈東洋経済オンライン / 2023年7月5日〉
拡散的好奇心の人は「相手の発する言葉や情報を積極的に受けとり、相手ごとにあわせた広範囲な情報を収集する」傾向がある一方
特殊的好奇心の人は「特定の目的達成のために意識を集中させ、そのための情報を獲得し、深掘りする」傾向に。
この後者のタイプが、まさに社長もしくはフリーランスタイプ。
時に周りのことを考えずに突っ走り、自分の描く理想に対して強引に巻き込んでしまいます。
一方、拡散的好奇心の人はさまざまな意見に寄り添い、最適解を見出していく。
時に良い意味での「グレーな着地」をすることに長けています。
こうした人がナンバー2にいると組織は非常に上手くいく。
特殊的好奇心の人は「オタク」気質であるとも言え、一点に集中する結果、常人では到達できないような高みに駆け上がることがありますが、その分、トータルで考えると歪(いびつ)。
好奇心の話だけではなく、人間得て不得手は必ずあるので、そうした自分の穴をよく知り、さまざまな特性を持った人を大切にする社長こそが、組織を発展・継続させていくという理屈も腑に落ちますね。
という日本人が二千年間培ってきた哲学をベースにしながら、会社を「運命共同体」として捉えていく。
私はそこから一歩進んで、必ずしも組織に所属している人だけを「終身の関係」と限定することなるく、卒業した人なども含め、関わった人たちと永続的に助け合っていけるようなプラットフォームとして、会社を経営できたら良いなと考えております。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました😊
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