40歳からの農業
column vol.1072
昨日、農林水産省から食料自給についての報道がありました。
来年6月までの1年間の主食用のコメの需要が681万トンにとどまり、人口減少や食の多様化を背景に、10年連続で過去最低になるという話です…
〈NHK NEWS WEB / 2023年7月31日〉
そもそも…、農業従事者の人数が減っているのは周知の通りです…
実際、基幹的農業従事者(仕事として主に自営農業に従事している方)は、2022年は約122万人で、2010年に比べ約80万人も減少。
しかし、一方で就農に関する相談を受けている全国新規就農相談センターには以前にも増して多くの相談が寄せられており、農業への関心は確実に高まっているとも言われています。
そんな中、ダイヤモンドオンラインの【「農業で1000万円稼ぐ」も夢じゃない!脱サラ就農で失敗しない方法とは?】という記事の中で、「ミドル世代からの始める農業」が記事になっているので共有させていただきます。
〈Diamond online / 2023年7月1日〉
ということで、本日は農業に光を射すような希望の話をお届けしたいと思います。
安心できる就農への一歩とは?
全国新規就農相談センター所長の堀江光正さんは、いきなり就農せず、まずはインターンシップを経験することをオススメしています。
なるほど、まずは自らの適性を試すということですね。
実際、インターンシップを受け入れている農家は全国に約250あるとのこと。
その後スキル獲得のため、自治体などが実施している研修へ参加や、農業法人への就職を経て農家として独立していくという流れです。
また、茨城県の日本農業実践学園では最短1日~最長3ヵ月の体験・研修コースがあり、米、野菜など希望の作目を選んで農業に触れることができるとのこと。
それを経て、農作業が苦ではない、楽しいと感じれば、自治体などが行っている研修制度を受けるか、農業法人の社員に。
ここから、本格的な農業技術を身につける段階に進むというわけです。
ちなみに、農業研修と法人への就農のメリット・デメリットは以下の通りとなります。
活用したい「助成金制度」
ちなみに、研修を選んだ場合は「就農準備資金」は押さえておきたいところ。
研修中に、最長2年、月12万5000円(年間最大150万円)が交付されます。
さらに、自治体によっては他にも支援金が交付される場合もあるので、そちらも要チェックですね。
また、独立後の支援金制度である「経営開始資金」という助けもあります。
これは認定新規就農者に対し、最長3年間、月12万5000円(年間最大150万円)が交付。
これらは49歳以下が条件の1つですので、40代での就農も十分可能というわけです(前年の世帯所得が600万円以下)!
ちなみに、全国新規就農相談センターが2年前に実施した調査によると新規就農者が当初営農にかかった金額は、755万円だったそうです。
(機械・施設代、種苗代、肥料代などの合計)
農業は1年目から収益が出るのは稀で、安定した経営になるまで少なくとも3年以上はかかると言われています。
そういう意味で資金面の問題を解決するものとして、これらの支援金制度や公的な融資制度は有効なのです。
YouTubeの視聴時間も給料を出す農家
法人への就農ということでいえば、非常に注目の農家があります。
高知県でキュウリを栽培する下村青果商会です。
〈PRESIDENT Online / 2023年7月18日〉
こちらの農家、データを活用した先進技術と徹底的なコスト管理で、収益を伸ばしているのですが、雇用については非常に鷹揚。
まず、面積当たりで同業者の1.5~2倍くらいの人件費をかけているのです。
さらに、驚きなのが夏場です。
この時期は暑い上に相場が下がるためキュウリを栽培しないので、普通は季節雇用を選択するのですが、下村青果商会は周年雇用にこだわっています。
その理由は「雇用をつくるため」。
農業に従事する人を増やしたいということです。
もちろん、農家を育て連携することで取引先と契約できる量を安定して確保できるようになるというメリットもありますが、それを差し引いても素晴らしい心意気でしょう。
夏場の3ヵ月は独立を目指して働く方々に給料を支払いながら、勉強してもらう。
そのために、近くにある高知大学の図書館の本を読んでレポートを書いてもらったり、独り立ちしてから困らないように簿記や経営などを勉強してもらっているのです。
このブロックの見出しに「YouTube視聴時間」と書いていますが、農業系アカウントを見てもらうことも勧めているそうですよ😊
本当に素晴らしい経営哲学ですね。
農業が副業になる希望の光
ちなみに、ファーストステップとして農業を副業にしようと考えている人もいるそうです。
週末だけ農業に携わる、いわゆる「週末農家」を目指すパターンが多いそうですが、現実的には難しいとのこと…
堀江さんも
と仰っております…
しかし、もしかしたら、こういう形から農業副業が広がっていくのではないかと思える新しい形があります。
それが「遠隔農業」です。
〈秩父経済新聞 / 2023年5月29日〉
上記事例記事は、「みなのデジタルエコ農園」を運営するみなの未来創造社の取り組みを紹介したもの。
みなの未来創造社は、2017年から2年間、皆野町長の諮問機関として設置された「みなの魅力発掘・創造会議」(総務省外部専門家と埼玉県が支援)の活動を継続するため、同会議メンバーが経営する一般社団法人。
2019年に設立されました。
みなのデジタルエコ農園は、皆野町の空き農地を都心住民が活用するモデルの構築を目指しているプロジェクト。
ドイツに本社を構えるソフトウェア企業「SAP」のIT技術・サイバー防御を用いて、農作物の状態を遠隔監視できるようにすることで、新たな形の農業をつくろうとしているのです。
現地から離れた場所でも農業に関われるようになれば、副業農業の実現に大きく前進していくでしょう。
今後はAI ロボットの発達により、遠隔操作ができるようになれば、農業従事者の裾野を広げることにつながるはずです。
〜というわけで、さまざまな希望に期待を抱きながら、日本の食の未来が育まれればと願っております😊