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ナマケモノのリーダーシップ
vol.1356
冬休みも残り2日。
そろそろビジネスモードに切り替えている方も多いのではないでしょうか?
一方で、リーダーや上司、そして今後そうした立場になっていくような方が身につけた方が良いが「任せる技術」です。
リーダーは常に新しい仕組みをつくっていくことが主な役割。
既存のことはどんどん任せていく方が良いこともありますが、そもそも現代のビジネスは一人ができることが減っていると言われています。
『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』の著者で、元マイクロソフト役員の越川慎司さん(株式会社クロスリバー代表)が行った調査によると、ビジネスパーソンが一人で完結できるタスクは13%に過ぎないそうです。
〈PRESIDENT Online / 2024年12月31日〉
残りの87%は、いろいろな人を巻き込んで協力を得なければ完結できない。
チームとして仕事に取り組むからこそ生み出せる成果を考え、任せる技術を磨いていく。
今日はそのヒントを探ってみたいと思います。
いかにナマケモノになれるか?
リーダーの中には働き者で、自分で動き、判断しないと気が済まないという人は多いでしょう。
大抵、忙しいというリーダーにスケジュールを聞くと、ビッシリと「会議」が予定されている。
情報を共有し、自らも解決策を考え、判断していく。
一方で、人間は任される方がやる気が出ますし、パフォーマンスも上がります。
リーダーは自分一人の活躍以上に、組織全体の活躍を重視しないといけませんので、いかになるべく多くのことを任せていくかという意識が重要になるでしょう。
ちなみに、世界的な経営者であるビル・ゲイツさんは、「大変な仕事はナマケモノに任せる」と語っているようです。
〈PRESIDENT Online / 2025年1月1日〉
ナマケモノとは「要領の良い人」。
要領が良い人は、仕事を効率的にこなすために最小限の努力で最大の結果を得る方法を事前に考えます。
例えば、直接会う打ち合わせの代わりにZoomなどのオンライン会議を活用することで、移動時間を省き、場所に縛られずにミーティングを効率化できないかと頭を使うのです。
専門知識が必要な場面では、最初から専門家に協力を仰ぎ、自分は得意分野に集中する。
新しい仕事を一から調べるのではなく、まず過去の前例や似たケースを参考にするなど事前にしっかりと調査を行うことで、無駄な時間を省く努力もします。
判断しなくても良い仕組みをつくる
このナマケモノのリーダーシップを上手に体現している敏腕経営者が多い。
最近、「丸亀製麺」を手掛けるトリドールホールディングス創業社長の粟田貴也さんの「弱者の経営」が紹介されていたのですが、まさにナマケモノリーダーシップ。
〈JB press / 2024年12月10日〉
同社では、国内外合わせて1年で約250店を出店しているのですが、この膨大な出店数全てに粟田さんは携わっているのか?
「答えはノーです。私が細部まで逐一確認することはできないので、各業態の責任者に任せています。特に海外店舗は、私が判断するよりも現地の経営者に任せたほうが、正確かつスピーディーに出店できます。その後の成功確率も上がるのです」。
そうなのです、基本任せている、というのが答えなのです。
トリドールをホールディングス化して、業態ごとに事業会社として分社化したのも、こうした考えからとのこと。
一人の人間が考える付加価値は一方向になりがち。
しかし、複数の人間がそれぞれの付加価値を生み出せば、成長の速度が速まるだけでなく、リスクヘッジにもなります。
例えば、丸亀製麺とコナズ珈琲は客層も戦略もまるで違う業態です。
客単価は丸亀製麺が約700円、コナズ珈琲はその約3倍。
来店頻度でいえば月に何回も来てくれるお客さんが多い丸亀製麺と、2、3ヵ月に1回のコナズ珈琲では、集客の考え方も変わります。
一人の優秀なリーダーが全てを切り盛りするよりも、それぞれのチームが独立して、自分の業態を成長させるために戦略を考えて、それをたゆまず実行しているからこそ、どちらも大きく伸びている。
稲盛和夫さんの「アメーバ経営」にも通ずる考えかと思います。
もちろん、任せているとはいえ、戦略の方向性やある程度の額以上の案件は粟田さんが承認しているので、何が起きているか把握されています。
月次報告や経営会議で報告を受け、大筋が間違っていないことが確認できれば、あとは任せるという方針なのです。
しかも、粟田さんはこのように本音を仰っています。
「正直に言うと、「すべてをコントロールしたい」「思いのままに動かしたい」という欲求はあります。途中までは、調理に接客、店舗開発、業態開発、人材採用・開発、すべてを自分でやっていたわけですから。創業社長は誰しもそういう気持ちを持っているのではないでしょうか。マイクロマネジメントをしそうになるのを、ぐっとこらえることがあります。
すべて自分でやるというのは、お山の大将になるということです。それはそれで、目の行き届く範囲は全てコントロール下にあり、安心で気分がいいことでしょう。しかし、自分が大将になれる山の高さはたかが知れています。それは、小成に安んずるということ。世界最高峰を目指すのであれば、視野を広げて人の力を借りたほうがいい」。
優秀で働き者のリーダーが、組織全体を考えナマケモノになる努力をしている。
だからこそ、トリドールは世界に広がる企業になれているのだと思います😊
「任せる」ことを設計する
でも、ウチは人手不足でみんな業務量でパンパン…、簡単には任せられない…
と悩むリーダーや上司の方は多いでしょう。
まず重要なのは、なるべく全員に経営者意識を持ってもらうことが大事でしょう。
自律的に社員が活躍する企業の多くは、経営状況などなるべく情報を開示し、透明化を図っている。
その上で、一人一人が経営状況から業務進行を判断できる状況をつくることが大切です。
例えば、一時的に忙しさが膨らむなら、派遣社員を対象となる期間にお願いしたり、アウトソーシングすることもできるでしょう。
まだ部下に任せるという経験が浅い社員なら、そうした判断をすることで、小さくても自らが指揮系統を持つという経験を積むことにもつながるのです。
単に業務を任せるということだけではなく、それを任せたことで、どんな成長を促していくのか?
そうした考えを持って任せていくことで組織全体の底上げにも貢献できるのです。
ちなみに、当社の先代社長は、期待している社員ほど「仕事を乗せる」という荒技を繰り広げていました。
もともと当社は4人から始まった会社。
会社が大きくなる上で、120%、200%といった、限界を超える業務の波に襲われる中、いかに「怠けるのか」ということに知恵を絞ったようです。
期待する人間には、そうした忙しさの中から、より合理的な視点を身につけて欲しいという想いが先代にはあったのです。
…なので、「忙しいか?」と聞かれて「はい」と答えると、「まだまだお前は並の人間だな」と笑われていました…(汗)
…まぁ、そうした昔話は置いておいて、ブロガーのしんざきさんが、部下に頼む際の心得をまとめた記事があったので、そちらを共有させていただきます。
・タスクを実施する理由、背景
・タスクの規模
・定常的なタスクか、非定常的なタスクか
・タスクの優先度、期限
・タスクを実施する際求められるもの、成果物、その粒度
・そのタスクを実施するとどんないいことが起きるのか
・やらないと何がまずいのか
漠然と頼むのではなく、頼む意図をしっかりと練ってからお願いすることが大事ですね〜
〜ということで、今日は優秀で働き者のリーダー・上司ほど、意識して欲しい「ナマケモノ」のリーダーシップをお届けして参りました。
ぜひ、自分と会社全体が成長できるような「任せる技術」を磨いていってください😊
私も自分の出るところ、任せるところを上手に見極めて、より良いリーダーシップを考えていきたいと思います!
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました〜