
「一芸一能」を磨く
column vol.1152
昨日は当社の(評価)フィードバック面談についてお話ししましたが
今期、人財の成長について社員に伝えているメッセージがあります。
それは
一芸一能を磨く
ということ。
つまり、自分だけの武器となる個性(特長)を磨いて、余人をもって変え難い「唯一無二」に人財になる。
当社では
①「専門職種」のスキルやノウハウを磨き信頼を得る
②プロジェクトマネジメントを磨き「リーダー」としての信頼を得る
という成長のステップがあり、その次が
③「マーケティングコンサルタント」として、クライアント企業のあらゆる課題を解決する
ということをゴールにしています。
職種はプランナー(企画職)、デザイナー、コピーライターの3職種がいるのですが、どの職種もマーケターとしての意識を持ち、役割を果たしていく。
①と②については比較的、みんなスルスルと成長していくのですが、③の「マーケティングコンサルタント」へのステップが難しい…
なぜなら「0→1」を生み出すことが仕事になるからです。
求められる「0→1」人財
マーケティングから縁遠い方もいらっしゃると思いますので補足しますと、マーケターとマーケティングコンサルタントには違いがあります。
マーケターはクライアントのオリエンに即して「どんな戦略で売る?」「どうすれば業績が上がる?」といった「売れる仕組み」をつくること。
一方、コンサルタントは「そもそもなぜその商品を作るの?」「なんのために作るの?」「実はこっちの方が課題なのでは?」といったゼロベースでクライアントに提言します。
時にはこちらから課題を見つけて、提案する場合もある。
つまり、受注生産型ではなく「自主提案型」であることが理想なのです。
どんな職場でもそうだと思いますが
「言われた(頼まれた)ことに一生懸命応えること」と、「言われなくても仕事を見つける」「自ら仕事をつくる」というのは、難易度が全然違いますよね?
そんなイメージです。
マーケティングコンサルタントになるためには、経営学、社会学、心理学、リーダーシップなどなど、マーケティングスキル以外のさまざまな分野を学ばないとなりません。
つまり、職種の垣根を超える意識や今の自分(会社)にはない知見を学ぶ姿勢が必要になります。
これは新規事業を創造する仕事にも通ずるでしょう。
一芸一能は「0→1人財」への入口
…とはいっても、…なかなか「0→1人財」を育てていくというのは難しい…
ステージが大きく変わるので、取っ掛かりが必要になります。
特にチームリーダーをこなせるようになり、「0→1人財」を目指し始める社員は30代半ば〜40代前半の世代。
次の成長を考えながらも新しいことに挑戦するのが億劫にもなる時期でもあります…
さらに、子育て中の社員は時間に余裕がないのです…
そこで、まずは自らの「一芸一能」に目を向けて、そこを起点に次のステップを目指すというわけです。
会社としも学習機会を提供するなど、本人に動機付けして能力を開花してもらう必要があります。
例えば、会議で話を回すのが得意なデザイナーがいるとします。
それなら、単に司会が上手い社員から「ファシリテーター」と名乗れるほどのレベルアップを本人と会社がタッグを組んで実現していく。
そうすれば、その社員は「クライアントとの合意形成をデザインするのが上手い」デザイナーとして、チームの垣根を超えて活躍するかもしれません。
さらには、デザイナーの花形仕事であるブランディングの仕事が回ってきやすくなるでしょう。
自分の強みが顕在化してくると自信がどんどん出てくるので、より仕事の楽しみが高まっていく。
働きがいが生まれる、だけに留まらず、そのことにより成長への意識も変わってくるはずです。
なぜなら、人は自分の強みを評価されると、その強みをさらに活かそうと他の分野も学ぶ意欲が湧いてくるからです。
先ほどの例で言えば、
ファシリテーターとしての能力を開花させたデザイナーも、クライアントのマーケティング部の方々相手なら、今までの専門スキルだけで良いでしょう。
しかし、ブランディングまで依頼されるようになったら、お相手はクライアント企業の経営陣にまで広がっていきます。
そうなると自然と「経営陣の考えをより読み解くため、経営のことも勉強しておいた方が良いな」という気持ちが湧いてくるでしょう。
気がつけば、よりゼネラリスト的な視野の広さになっていく。
一芸一能が、そのきっかけになることが理想なのです。
何より「会社外」で学ぶ姿勢が大事
もちろん、ゼネラリストにならず、一芸一能を磨いて「よりスペシャリストとして生きたい」と思う人もいるはずです。
ただ、どちらにせよ大切なのは「会社外」でも学ぶ姿勢。
元マイクロソフト業務執行役員で株式会社圓窓代表取締役の澤円さんはこのように仰っています。
この先の変化し続ける時代では、言われたことをこなして平均程度の成果を挙げたり、特定の会社や場所の枠組みのなかで上手く立ち振る舞ったりしていても、キャリアとして積み上がっていかない可能性があります。
先ほどお話ししたように会社のスキル・ノウハウは、その職種みんなが学んでいることなので、それだけを学んでいたら、その人ならではの強みがなかなか際立ってきません。
そして、澤さんが仰るようにその会社の業務だけで成長しようとしてしまうと、非常に限定的で偏ったスキルやノウハウしか獲得できない可能性もあります。
そこで、会社で学んだことを起点に新しいスキルやノウハウを取り入れていく。
そんな姿勢が重要なのです。
『レイヤー化する世界』、『そして、暮らしは共同体になる。』などの著者でフリージャーナリストの佐々木俊尚さんは知人のデザイナーを例にこのようなお話しされています。
私の知り合いで、広告デザイナーとして転職を繰り返し、キャリアを積んできた女性がいます。最初は広告制作会社でデザインの基礎を学んでいましたが、10年ほどして、全体の中の広告の位置づけを知りたいとメーカーの広告制作部署に転職しました。さらに最先端のアドテックを学びたいとテック系の広告会社に行き、今ではデジタルメディアについて勉強を続けています。彼女は、管理職の仕事が来ると断ります。でも、時代の変化をつねにキャッチアップしているから40代になっても転職できるし、若手が出てきても恐るるに足らず。余人をもって代え難い知識とキャリアを身につけているのです。
つまり、この方は転職を戦略的に繰り返すことで、唯一無二の人財として自分を高めている。
…私としては社員に転職されても困りますので…、、、
会社では学べない学習機会を提供することによって、スペシャリスト人財にも余人をもって代え難い強みを磨いていって欲しいと思っています。
自信を持って楽しみながら成長していく
最終的には、ゼネラリストであっても、スペシャリストであっても「一芸一能」を磨き、「私は常に必要とされている人財だ」という実感を持ってもらう。
その上で「仕事を飽きずに楽しんでもらいたい」ということに集約されます。
自分の強みを認識しながら、イキイキと仕事をしてくれている人を増やせば、会社はますます価値を持ち、魅力的になっていくからです。
理想は『サイボーグ009』のように、それぞれの特殊能力を持ったメンバーが集まり、お互いを活かし合う組織。
そうした会社になれるように、社員を肯定し、成長する機会を提供していきたいと思っています。
そんな話が、皆さんの何かしらのヒントになれば幸いです😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。