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物流「2024年問題」への一手

column vol.1099

来年4月からトラックドライバー時間外労働の960時間上限規制改正改善基準告示が適用。

労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されています。

いわゆる「物流の2024年問題」ですね。

私がコーディネーターを務める小売業協会・生活者委員会の中でも重大な問題として議題に上がっております。

そんな中、4月に向けてさまざまな動きも見られます。

たくさんのトピックスがあるので絞りにくいいのですが…、個人的に気になったニュースを3つほどご紹介させていただきます。


新幹線が新たな物流ルートに!?

最初は新しい物流手段についての話題です。

JR東日本は先月31日、新幹線に乗客を乗せずに大量の荷物を積み込んで運ぶ実証実験を行いました。

〈NHK NEWS WEB / 2023年8月31日〉

実験を行ったのは、上越新幹線の臨時列車

およそ750箱の荷物を積み込み、新潟市内の車両センターから東京北区の車両センターまで輸送したのです。

荷物の中身は新潟県で生産された農産物鮮魚などで、新幹線から降ろされると、車に積み込まれ、首都圏各地のスーパーマーケットなどに向けて運ばれていきました。

今回の実験で明らかになったのは、新幹線での輸送はトラックと比べて東京・新潟間の輸送時間を1時間半から2時間ほど短縮する効果が期待できるということ。

JR東日本マーケティング本部マネージャーの堤口貴子さん

乗客の安全確保に気を遣う必要がない環境での荷物の輸送方法を確認できて良かった。今後は回送列車を使った実証実験なども検討していきたい

と話しているそうです。

新幹線が新たな輸送手段として定着するかどうか?

今後の展開が非常に気になるところです。

フォークリフトの自動化で人手不足を解消

続いては倉庫内作業における人手不足解消を目指す取り組みです。

NECフォークリフト「自律遠隔搬送技術」を開発したことを先月28日に発表。

同社は、今回の取り組みを共同で進めてきたNIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)の倉庫などで実証を進めた後、2024年以降の展開を目指しています。

〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2023年8月28日〉

物流倉庫内では、トラックで搬送されてきたさまざまな物資をフォークリフトによって移動し、整理する必要がありますが…

物流量が増加傾向にある中で、何と…フォークリフト資格保有者は減少

そうした環境下で、フォークリフトによる事故で労働災害が発生するなどの課題も表面化しているのです…

また、物流拠点である倉庫内のオペレーションが滞り物資の入搬出に時間がかかると、配送トラックの稼働効率を下げることにもつながりかねません…

これにより、2024年問題はより一層深刻なものになってしまうわけです…

その救世主として期待されるのが、フォークリフトの「自律運転機能」、

なのですが…、導入コストの高さがネックでした。

そこでNECでは、既存のフォークリフトに「後付け」できる自律遠隔搬送技術を開発。

まだ全てを自動化することは難しいという現実面を捉え、人の手で操作する必要があるケースでは手動操作に切り替えたり、さらに遠隔からコントローラーを使って手動で管理・操作したりすることもできるようにしています。

人の活躍どころの集中と選択を行うことで、コスト面を抑えながら、人手不足を解消しようとしているのです。

倉庫内作業を効率化することで、トラックの稼働効率も上げていく

そんな自律遠隔搬送技術の可能性に、今後ますます期待が集まるでしょう。

「送料無料」表示を「送料込み」に変更

小売の現場で今後なくなっていくのが「送料無料」という表記でしょう。

2024年問題により、運送会社では収入減少によるドライバーの離職売上減、そして荷主企業では運賃値上げの可能性などが危惧されている中、

政府はその改善策や商慣行の見直しの1つとして、「送料無料」表記の見直しの議論に着手しています。

〈ネットショップ担当者フォーラム/ 2023年9月4日〉

「送料無料」表記の見直しをいち早く実施したのが楽天グループ

2020年、「楽天市場」で採用していた「送料無料」の名称を「送料込み」に変更しています。

さらに最近では吉野家が、自社ECサイト「吉野家公式通販ショップ」ECモール店の「送料無料」表示を「送料込み」に変更することを表明。

今後、他のさまざまな企業も送料の有料化もしくは「送料込み」表記に変更していくでしょう。

ちなみに、吉野家は、利用している配送キャリアであるヤマト運輸の送料改定を受け、送料を以下のように改訂しました。

【自社ECサイト/dショッピング店/Yahoo!ショッピング店】
→吉野家が負担する「送料込み」のラインを5000円(税込み)から8000円(税込み)に引き上げ
クール宅急便(冷凍食品)…990円(税込み)→1100円(税込み)
宅急便(常温品)…660円(税込み)→880円(税込み)。

【楽天市場店】
クール宅急便(冷凍商品)の「送料込み」ラインを5000円(税込み)から8000円(税込み)に引き上げ
※9月14日に改訂

送料については、未だ悩む企業はきっと多いでしょうね…😅

ということで、本日は【物流「2024年問題」への一手】と題して、来る来年4月に向けた各社の取り組みの一部をご紹介させていただきました。

ちなみに、文部科学省「2040年の未来予測-科学技術が広げる未来社会-」を見ると、2034年にはレベル5の自動運転(場所の限定なくシステムが全てを操作する)が社会実現されるだろうと予想されているので

10年後の世界は全く違うものになっていることも予想されますね🤔

いずれにせよ、物流は経済の動脈だけに今後の展開が非常に注視されるところです。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

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