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「制限」というトリガー
vol.135
『ネギイチバン』と『マッシュルームイチバン』。
2つの調味料が今、話題になっています。
〈現代ビジネス / 2024年9月16日〉
こちらは、千葉にある食品メーカー「風土食房」の商品。
地元のFMラジオ局「ベイエフエム」とコラボして開発したことで注目を集めました。
「話題」「注目」という言葉を使っていますが、その反響がなかなかで
ネギイチバンは月に1万本、マッシュルームイチバンは1万5000本も売れているのです。
産直店や高速道路のサービスエリアで見かける高価格帯の調味料の瓶詰めは、月に1000本売れたら“よく売れた”と言われる世界。
2つの調味料がいかに凄いかということが、よく分かるかと思います。
ヒットの要因の1つは、リスナーを巻き込んだこと。
商品名をリスナーから募集したり、候補のパッケージデザインを公開し投票で決めたり、さらには販路を広げてもらったりと、番組では様々な協力をお願いします。
これは、人は応援する(参画性がある)能動的なアクションがあるとファン心理が高まるという、まさにファンマーケティングの典型的な好事例。
商品に求心力が生まれる理由が詰まっているのですが、もう1つハッと気付かされたポイントがあります。
それは、ラジオは音声のみのメディアであることです。
ベイエフエム編成局制作部の田久保優以さんは、ラジオの強みをこのようにお話しされています。
「ラジオは商品を見ることができず、想像を膨らませることしかできないんです。でも、その想像している時間はリスナーも楽しいですし、考える時間が長くなるぶん、頭の中に商品の記憶が残りやすくなるのではないでしょうか」
なるほど、「想像」とは自ら考えるという能動的なアクション。
「音しかない」からこそ、足りない情報を埋めようと思考するわけです。
これは、「文字だけ」という条件でも同じだと思います。
例えば、小説は一人一人のキャラクター、一つ一つのシーンのイメージを自分で創造しなければなりません。
だからこそ、映画化した時に何か「違和感」がある。
つまり、文字だけという不完全な状態があることで、自らが作品の完成に関わることになる。
もちろん、小説は作家のものではあるのですが、読み終わった頃には自分の中では共作になっているというわけです。
だからこそ、作品に対するファン心理が高まる部分もあるのかもしれませんね。
今は動画で全てを明確にし、分かりやすく伝えることが主流な時代ですが、言うなれば、これは顧客に至れり尽くせりをしている超受動的なサービスの状態。
参画性をつくるファンマーケティングのような効果を狙う際は、実は制限のあるメディア(コミュニケーション)の方が適している場合もある。
そんなヒントが詰まっている事例なのではないかと感じるのです😊
私はテキストベースの情報発信が好きな人間なのですが、テキストにしかできないこともある。
だからこそ、テキストならではの魅力を突き詰めていきたいと思える本日の事例でした。
noteでも、そんなことを意識をしながら、書き続けたいと思います🫡
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!