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46通目 愛を嫌っているのか、考えてみる
高瀬舟を読み直して数分、涙が出そうになりました。
その後、山椒大夫を読み直して、身に覚えのあるような、まだ結論のない話の中にいるような気持ちになって、ようやく用事のあとの食事をしました。
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同心を勤める人にも、種々の性質があるから、この時只うるさいと思って、耳を掩いたく思う冷淡な同心があるかと思えば、又しみじみと人の哀を身に引き受けて、役柄ゆえ気色には見せぬながら、無言の中に私かに胸を痛める同心もあった。
「わたしのことは構わないで、お前一人でする事を、わたしと一しょにする積でしておくれ。お父う様にもお目に掛かり、お母あ様をも島からお連申した上で、わたしをたすけに来ておくれ」
すっかり打たれ慣れて、誇りも無い、これ以上は何の、誰のために自分の意志を持つのかわからなくなると、わたしは常々言います。
情けないとはこのことでしょう。
守るものを手放すとは、情が無くて、信じるに値することが少なかった証だと、感慨を受けてに耽って、真面目に考えている。
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人の心には必ず、信じても良い性分があると、わたしは今でも信じています。
わたしも最後には、道端で歌っているか知れません。
信じるに値できる人が一人もいなくて見つからなくて、人を恋しがる心が、絶望に終わっても、やっぱり心を捨てて生きられない、わたしはワガママ人間です。
ワガママだとは思ったけれど、何かを強く想って、思慕して、守ろうとして、自分を保っていると、今はよく判ります。
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わたしは何にせよ出来るだけ良い影響で生きたいと思います。
それで、生き延びる小さい選択肢の中で、沈黙を選ぶことが、一つの不誠実だとばかり思って嘆いていましたが、沈黙と言葉の間に正直らしいこともあると思い直しました。
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少しずつ、無感覚から慎重に戻りつつあります。
今日、もう昨日になってしまいましたが、久々に、自分を責め過ぎないで、紙のノート2ページまで、小さい字でたくさん記憶と感覚の記憶を取り戻そうとする文を書けました。
話した人は、誰しも「風邪を引きやすく感じる」と言っていましたよ。
お体に、気を付けて。 草々不尽
二〇二一年十二月十五日付
11.729光年彼方へ枯渇しても愛を湧かす 45
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