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榎木建 著 『すべては「好き嫌い」から始まる』ブックレビュー

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経営学者、榎木建の著書『すべては「好き嫌い」から始まる』についての書評。まずは著者について。一橋ビジネススクールの榎本教授、彼の研究分野は「企業の競争戦略」。資本主義社会において、各企業は儲けを出さなければいけない。利益を出すことで従業員を雇い、商品サービスを人々に届けていける。目標は継続して「儲ける」こと。すると、他者とどう違いを出すのか?ここが焦点となるようだ。これを常に考えるのは経営学者と言える。

*「好き嫌い」で生まれる発想とは
多くの人は「良し悪し」で物事を判断する。これは自分の目でものを見ずに、社会の原理に従うことだ。個人でも会社でもこの発想から考えると、目指すところは皆一緒になる。そうなると企業は独自性を打ち出せないし、人も没個性となってしまう。見方を「好き嫌い」にすれば、これがだいぶ変わってくる。この好き嫌い、人それぞれ誰もが違うからだ。

仕事において「好き」だけでやれている人は少ないと言える。なかなか「好き」では、金は稼げない。仕事は我慢してやるとして、好きな事は趣味としてやっていく。ほとんどの人がコレだ。だが社会には「好き」を仕事として稼いでいる人たちもいる。どうしてこれが可能だったのか?

私が思ったのは、おおくの漫画家たち。この人たちのやっている仕事は、半端ではないということ。榎本の考えから導きだせば、「好き」だったから、長いこと続けられ、人気を得たということになる。例えば「ゲゲゲの鬼太郎」作者水木しげる。貸本漫画家時代、貧乏のドン底だったが、それでも彼は描き続けた。そうやって長いこと仕事をした結果、内容も良くなり、他の漫画家には真似できない作品になったということだ。「好き」でなければ到底できない。

*努力の娯楽化、凝るということ
漫画家が、毎週毎週なん作もの作品を描く。ものすごい努力だと思ってしまう。だが、本人たちはそう思っていないようだ。楽しいからこそやっていける。これは一つの物事に凝ってやっているということだろう。そもそも努力はそんなに長続きはしない。かならず苦しくなってどこかで辞めてしまうのだ。

だが、好きであれば話は別。水木しげるの話にあるように、彼はすぐに成功したわけではない。全く金にならない日々があった。それでも彼は描き続けた。それは好きという言動力があったから。水木しげる、始めたころ描いたのは「墓場鬼太郎」。どこかオドロオドロしく、画風もかなり怖かった。

しかし、これでは人々に受け入れられないとして、今のタイトルと画風に変えたという。成功には読者のへの配慮も必要だった。「好き」を基本として、自分の道をまっすぐに進み、時代や人々の感性にも合わせる。成功にはこれが大事と言えるようだ。

*「好き嫌い」な理由を言語化すると?
漫画家に例えとしているので、さらに漫画家の話しで進める。一口に漫画家といっても、ストーリーがあって、そこに絵がある。昔はこれを1人でやっていた。だが、これだとかなりハードルは高い。2つの才能が必要だからだ。現代では、ストーリー作りと絵作りは分業していると言う。

接客業や営業のような人と相対してする仕事は嫌い。また手先で、工作をしたり絵を描くことが好きではない。一方で、ひとり部屋に閉じこもり、物語を考えるのは好き。こんな人だったら、ストリー作家がいい。また物語を考えだすのは苦手。だが絵であれば大好きで、何時間でもやっていられる。こんな2人がいれば、共同で作業をおこない漫画家になれる。

*超悲観的に考え、始めてみる!
どんな仕事でも、初めから成功する事は無い。ほとんどは半ば失敗する!そう思って始めることが大事といえる。とにかく、まずは「やってみること」。そしてうまくいかなかったとしても、それほど気にせずに次をやってみることだ。これの繰り返しである。

そんな中で、ちょっと反応がある仕事が見つかるかもしれない。失敗すると思い始めた仕事は、なぜかうまくいった!このときの喜びと言うのは何とも大きい。幸せが大きければ、より仕事の励みになるのだ。そしてそれが継続につながる。成功とはそんなことだろう。

*まとめ
人間、好きなものを見つけられ、やり続けられれば、精神病で悩むこともないと言う。とかく生きづらい世の中、生活するだけでも苦しい。ましてや人付き合いが苦手なら、なおさら。自分の楽しみに活路を見出せれば、張り合いになるのだ。若い時にいろいろなことをやってみて、自分の「好き」を早めに見つけたらいい。周りの大人たちも積極的にこのことを伝えるべきだと考えるがいかがだろう。

教育についても同じことが言えるのではないだろうか。子どもは嫌いな学科、無理やりやらされるのだ。これではストレスになるし、続けることができない。このストレス、回り回って、イジメにもつながっているようにも思ってしまう。学校そのものも、子供の「好き嫌い」をもとに子供に教えるべきだろうと思う。そして何より、各学科を好きにさせる努力を教師が行うべきなのではないだろうか。

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