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記事一覧
交響曲第1番「街の喧騒」:散文詩と私
駅前を歩いていると
どこからかジャズが流れてきた
電子ピアノと電子ドラム
サックスにトランペット
高架下の四重奏のスウィングは
ネオンの輝く街の彩りを
より一層華やかにしていた
こうして行き交う人々を見ていると
みなが思い思いの音楽を奏でている
真新しいスーツとカバンの若い男は
社会という練習曲の譜面に齧り付く
派手な出で立ちのナンパ師が
甘く小夜曲を囁くけれど
ヒールの音色をフォルテ
極彩色の夢:散文詩と私
不思議な夢を見た
私が立っていたのは
見たこともない景色の中
線路沿いに延々と続く
イチョウ並木の遊歩道
一面黄金色の眺望は
時折アップダウンしながら
どこまでも続いているかのよう
列車や自転車が通り過ぎるたび
風に巻き上げられる金色の欠片
次の瞬間
私はその列車の座席に居た
車窓越しに目に映るのは
夜の帳の下りんとする深い蒼から
水平線の向こうに沈まんとする夕陽の紅へ
美しいグラデー
欲求:散文詩と私
どれだけ言葉を紡いでも
どれだけ情熱を示そうとも
どれだけ愛を歌おうとも
涸れることない心の泉
溢れ続ける貴方への想い
どれだけ言葉を囁かれても
どれだけ賛美を送られても
どれだけ耳を傾けられようとも
満ちることない心の器
求め続ける貴方からの想い
もっと もっと
”スキ”を もっと
空気:散文詩と私
空気になりたい。
何にも縛られず自由にたゆたうもの。
常に誰かの傍に寄り添いながら
それでいて誰も気にする事のないもの。
人が生きるために不可欠でありながら
誰かに必要だと意識される事のないもの。
時に暖かく、やさしく。
時に冷たく、厳しく。
きまぐれに人の頬をくすぐり
心地良さで包み込む。
そんな空気のような人に
私はなりたい。
不自由な言葉:散文詩と私
言葉は不自由だ
こんなにも伝えたい事があるのに
うまく形にならない
言葉は不誠実だ
伝えたい想いを正しく
届けてくれるとは限らない
言葉は不条理だ
考えた事とは違う思いを
届けてしまう事がある
言葉は不安定だ
言い方ひとつで
まるで別の意味を持つ
言葉は不思議だ
それだけで
人の喜怒哀楽を操ってしまう
言葉は不可欠だ
人として
社会を生きていくのならば
でも言葉は不必要だ
カラフルな世界:散文詩と私
心に想う人が居ると
不思議と世界は彩度を増して見える
それは
桜咲き誇るパステルピンクのように
新緑芽吹くエメラルドグリーンのように
高く澄んだスカイブルーの空のように
紅葉に彩られたレモンイエローの山々のように
銀世界のスノーホワイトのように
色鮮やかな明るい世界
今日もあのコに会えるかな
秋雨:散文詩と私
秋に降る雨は
どうしてこうも物悲しいのか
ギラギラとヒリつくほどにエネルギッシュな
夏の終わりを告げるからか
どこまでも青く高く澄んだ秋の空を
覆い隠してしまうからか
紅葉の儚くも美しい最後の彩りを
散らせてしまうからか
しとしとと降り続けるその雨音は
心做しか短調のメロディを奏でているようだ
雨露に濡れひっそりと咲くシクラメンの
ピンクの花は何を語りかけるのだろうか
ワタシ ハ マボロシ:散文詩と私
貴方が見ているのは幻
ワタシという名と姿のマボロシ
私が見ているのも幻
わたしという名と姿のまぼろし
貴方には本当の私は見えない
私には本当の私がわからない
貴方は言う
ワタシはそんなにバカじゃない
ワタシはそんなに冷たくない
ワタシはそんな人じゃない
私は言う
わたしはそんなに賢くない
わたしはそんなに優しくない
わたしはそんな人でしかない
貴方が見ているワタシ
私が見ているわたし
キミからの問い:散文詩と私
ワタシのこと、まだ好きなの?と
キミが問う
ボクがキミとサヨナラしたのは
キミがそれを望んだから
ボクは何も変わりなどしない
ワタシのこと、キライになった?と
キミが問う
この世に不可能なことがあるとしたら
キミがそれを望んだとしても
ボクがキミをキライになること
ワタシのこと、愛しているの?と
キミが問う
ボクにはキミを愛せない
キミがそれを望まないから
ボクがそれを望んだとしても
君だけのハーモニー:自由詩と私
・・・おやおや?
君、さっきまでここに居たよね?
どうしてわかるかって?
僕は君の”気配”を感じることが出来るんだ。
僕は君だけを探知する「超能力者」なんだ。
・・・ウソウソ。
君が残した”モノ”を見つけたんだ。
え?それは”何”かって?
僕は君の”香り”を感じることが出来るんだ。
僕は君だけを嗅ぎ分ける「警察犬」なんだ。
・・・ホントだよ?
君がつけてるその香水。
僕が「好き」と言
いつも、見てる:散文詩と私
キミ 最近さ
すごく イイ顔 してるよね
うん ボク 知ってるよ
キミ 今 恋 してるんだよね
クラスの 1番前の ポニーテール
キミ いつも 見てるよね
スラッとした 細い腕
キレイな黒髪の 学年一の秀才
あのコを見てる キミの瞳
とっても 輝いてるよ
え? 何?
手紙書いたの?
そっか いよいよなんだね
もちろん 応援してるよ ボク
きっと 大丈夫
だって ボク 知ってるよ
キ