心の剣(第3話)
「我は夢を見ている。」
「そう。あなたは夢を見ています。ここは夢の中。夢の世界では現実の世界のあなたのスペックも影響されてきます。この夢の世界は万物の万物に対する闘争状態の世界です。故にあなた自身の身はあなた自身で護ってください。そしてあなたのBIG5を紹介します。これは10段階であなたのスペックを厳密に分析したものですげ。 」そう、電子音声が告げる。
E(外向性)2/10
A(協調性)3/10
C(誠実性)5/10
N(神経症傾向)9/10
O(開放性)7/10
「EとAすなわち外向性と協調性の度合いで身を守るための武器の、Cすなわち誠実性の度合いで防御の質が決まって来ます。
そして、全体の安定性としてNが作用し、Oが武器と防御の創造性、独自性を決めてきます。」
「なんだそれ。ゲームの世界みたいだな!俺はなんで急にこんな世界に迷い込んだんだ??」
「それは答えかねます。」
「そうなの。これ、夢だったんならいつ覚めるの??」
「この世界での一日が終わるか、3回気絶するかで、夢の世界から出られます。」
「了解」
そう言うと同時に目の前から俺に説明をしていた、映像の世界は消えた。
「戻ってこられましたか。」
「この世界はなんなんですか??」
「私にも分かりません。ですが、推測ならできましょう。現実との平行世界。もしくは、現実から派生した2次的な世界とでも言いましょうか。この世界での出来事は“ほとんど“現実には影響しませんが、逆に現実からの影響はこの世界において顕著に現れてきます。故に現実のサブの世界とでも言いましょうか。」
こちらの世界の人はまだ5人しか見たことがないが、それらの人を見ている限り、ランダムに選ばれて、この世界に来るのだろうか、それとも何か共通する点があるのだろうか?
「お兄ちゃん、早くコーヒー飲んでよ!冷めちゃうじゃん!せっかくマスターが挽いたのに!」
「ごめんごめん。」そう言ってそのコーヒーを飲む。すると見る見るうちに眠くなる。睡眠薬?なのか?
「もうこっちの世界には迷い込んで来てはダメだよ。さぁお行きなさい。」そうマスターがコーヒーのカップを拭きながらそう呟く。
***
いつもと同じ
朝。いつもと同じように起きる。そして、ニュースをつけ、自分と母の分のベーコンエッグトーストをオーブンで焼く。
母の分はラップをして、机の上に置いておく。
「広島県の上空で、ラッパのような音が聞こえたと住民からの通報が相次いでいます。これかに関しましては、関さん。どうお考えでしょうか?、、、」
もう9時だ。さぁ二限に行かなきゃ。
そして、1時間に1本しか来ないバスに5分前に着くように歩いていく。
そうすると今日は珍しく、先に待っていた人がいた。それは真っ白い髪のお婆さんであった。
「あんた、昨日夢を見たようだねぇ。」
風が強く吹きゴミを目に入れないようにと閉じた次の瞬間そのお婆さんは姿を消していた。
昨日から変だ。俺は。
その後何も無く、いつも通りに通学する。
「おい!夢現!夢現ってばぁ、昨日の模試どうだったったか?つって聞いてんだよ!」
「ん?昨日?それ昨日も聞いてたやんけ!!」
「なんでやねん!昨日もしの成績発表やってんから今日聞くの普通やろがい!!」
「昨日が発表?は??」
「お前成績悪かったら言うて誤魔化すなやボケw」
「あ、あぁ。ちょっとトイレ行ってくるわ。」
「顔しっかりあろてこい!!」
***
結局1日昨日と全く同じ授業を受け、家に帰る。そして、奇妙なラジヲも聞く。
ダメだ、完全に昨日を繰り返した。
親が過呼吸になっていれば、完全に同じだ。と思い、家に帰ると、家に帰った瞬間当たりが暗くなり、おぞましい音響と共に、また夢の世界へ来ていた。
***
目を覚ますと裏路地で寝ていた。とても薄暗い裏路地、オシッコをちびりそうだ。1人だと心細いが、この夢の世界では案内の音声がある。それにすがる。
「我は夢を見ている。」
「おぉ!あんちゃんまた来たか!俺はな案内人のアリエルやねん!よろしく〜」
元気を貰えそうなやつが出てきた。目の前に精霊のようなものが具現化してきた。小狐で見た目は可愛らしいが、話し方がゴリゴリの関西人でそのギャップが面白い。
「あ、よろしくお願いします。早速なんですけど、俺はこれからどうすればいいんですか?」
「あ〜あんちゃんな〜厄介なことにこの世界から嫌われとんねん〜。でも安心!ワシがあんちゃんのお供に着いたからには守っちゃる!!することは色々あるけどまぁまずはこの一日を生き抜く事やな〜そやないとこの世界に二度と来れんくなってしまうねん〜!」
「え、別に、この世界に来たい訳じゃないんですけど。」
「いや〜そやゆうてもな〜昨日で1回途中で起きてしもたやろ?それがあも6回続くとな、あんちゃんの現実世界でも悲劇が起こんねん。これはあかんやろ〜。まぁ1ヶ月耐え抜けばまたストックが7回に戻るから大丈夫や〜!」
「現実世界に悲劇?そんなわけないでしょ。馬鹿馬鹿しい。」
「でもあんちゃん現に、同じ日をループしたやろ?あれが夢の世界が現実世界に影響を及ぼしてる証拠や。悲劇って怖いで〜あんちゃんと関わりのある人全員死ぬと思ってええわ。」
「は?なんでそんな?なんで俺だけがそんな?そんなこと起こりっこないよ!」
「まぁそりゃ想像力の少ないアホな今のあんちゃんなら仕方ないか〜。まぁでもあんちゃんの事情だけやなく、わしもあんちゃんに去ってもろたらこまんねんな。まぁ仲良くしよや。だまされたおもて、俺についてきー!」
どんだけこいつが怪しがろうと、こいつに従う以外することがないからこいつの指示に従うことにした。
***
裏路地から大通りの方へ出ようとしたその時
「あ、あんちゃんあかん。今出たあかんは。聖騎士様たちのお出ましや。」
3人の高身長イケメンたちが大通りを闊歩している。
「あれってもしかして俳優の?」
「そやでぇー現実のスペックを反映するから表にでてる人でキラキラしてる正義感強い人等はあんな感じでこの世界でも勝ち組の聖騎士になれんねん!」
「聖騎士って、この夢の世界ってもしかして宗教国家なの?」
「お、よう気づいたな、世界史の勉強してるだけあるやん。あんちゃん、神様クソ喰らえ思想やろ。だからそんなみすぼらしいカッコやし、性格もひねくれてるから闇側の人間としてこっち来てん!」
「まじかよ、夢ってそういうもんなのかよ。夢ぐらいは夢見させて欲しいよ。」
「まぁそない落ち込むことあらへんで。闇側なら闇側でのしあがっていこや。」
こっちの絶望とは裏腹に、聖騎士たち3人は大通りを闊歩する。
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