
スッタニパータ 第1章『田を耕すバーラドヴァージャ』Kasibhāradvājasuttaṃ(カシバールアドヴァージャ・スッタ)第80偈
原文
「Evamesā kasī kaṭṭhā, sā hoti amatapphalā;
Etaṃ kasiṃ kasitvāna, sabbadukkhā pamuccatī’’ti.」
訳
「このようにして私の耕作は成される。
それは不死の果実をもたらす。
この耕作を成し遂げた者は、
あらゆる苦しみから解放されるのだ。」
話の背景
この偈では、仏陀が自身の修行を「耕作」として締めくくっている。
物質的な作物ではなく、精神的な努力による悟りの収穫こそが、
不死(涅槃)という最終的な果実をもたらす。
修行を続けることで、すべての苦しみから解放されることが説かれている。
注釈・補足
「このようにして私の耕作は成される(Evamesā kasī kaṭṭhā)」
「Evamesā(エーヴァメーサー)」 は「このように」、
「kasī(カシー)」 は「耕作」、
「kaṭṭhā(カッター)」 は「成される、完成される」。
仏陀が説いた修行の道が、耕作に例えられている。
「それは不死の果実をもたらす(Sā hoti amatapphalā)」
「Sā(サー)」 は「それ」、
「hoti(ホーティ)」 は「なる」、
「amatapphalā(アマタッパラー)」 は「不死の果実(涅槃)」。
精神的な修行の成果は、涅槃という究極の解脱をもたらす。
「この耕作を成し遂げた者は(Etaṃ kasiṃ kasitvāna)」
「Etaṃ(エータン)」 は「この」、
「kasiṃ(カシン)」 は「耕作」、
「kasitvāna(カシットゥヴァーナ)」 は「成し遂げた者」。
修行を実践し、完成させた者を指している。
「あらゆる苦しみから解放されるのだ(Sabbadukkhā pamuccatī)」
「Sabbadukkhā(サッバドゥッカー)」 は「すべての苦しみ」、
「pamuccatī(パムッチャティー)」 は「解放される、脱する」。
修行を完成させた者は、輪廻の苦しみから解放されることが示されている。