
スッタニパータ 第1章『田を耕すバーラドヴァージャ』Kasibhāradvājasuttaṃ(カシバールアドヴァージャ・スッタ)第81偈
原文
「Gāthābhigītaṃ me abhojaneyyaṃ, sampassataṃ brāhmaṇa nesa dhammo;
Gāthābhigītaṃ panudanti buddhā, dhamme satī brāhmaṇa vuttiresā.」
訳
「詩をもって讃えられた食事は、私は口にしない。
見識ある者にとって、それは正しき法ではない。
仏陀たちは、詩をもって讃えられた食事を拒む。
バラモンよ、これは正しき法に立脚した生き方なのだ。」
話の背景
仏陀は、バラモンのカシバールアドヴァージャが乳粥を供養しようとした際、
「詩をもって讃えられた食事」は受け取らないと述べる。
これは、供養が正しい意図によってなされるべき であり、
名声や報酬のための供養を避けるという仏陀の教えを示している。
注釈・補足
「詩をもって讃えられた食事は、私は口にしない(Gāthābhigītaṃ me abhojaneyyaṃ)」
「Gāthābhigītaṃ(ガーター ビギータン)」 は「詩をもって讃えられた」、
「me(メー)」 は「私の」、
「abhojaneyyaṃ(アボージャネーヤン)」 は「食べるべきではない」。
仏陀は、賞賛や報酬を目的とした供養を拒む。
「見識ある者にとって、それは正しき法ではない(Sampassataṃ brāhmaṇa nesa dhammo)」
「Sampassataṃ(サンパッサタン)」 は「見識ある者にとって」、
「brāhmaṇa(ブラーフマナ)」 は「バラモンよ」、
「nesa dhammo(ネーサ ダンモ)」 は「それは法ではない」。
真に正しい道を歩む者は、供養の意図を重視する。
「仏陀たちは、詩をもって讃えられた食事を拒む(Gāthābhigītaṃ panudanti buddhā)」
「Gāthābhigītaṃ(ガーター ビギータン)」 は「詩をもって讃えられた」、
「panudanti(パヌダンティ)」 は「退ける、拒む」、
「buddhā(ブッダー)」 は「仏陀たち」。
仏陀の教えは、供養の動機が純粋であることを重視する。
「バラモンよ、これは正しき法に立脚した生き方なのだ(Dhamme satī brāhmaṇa vuttiresā)」
「Dhamme(ダンメー)」 は「法に」、
「satī(サティー)」 は「立脚している」、
「brāhmaṇa(ブラーフマナ)」 は「バラモンよ」、
「vuttiresā(ヴッティレーサー)」 は「この生き方は」。
仏陀の生活は、法(ダンマ)に則ったものであることが強調されている。