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テレビのコトバ 〜「虎に翼」第18週〜
放火事件の裁判をめぐって、裁判官の入倉始の「火のないところに煙は立たず、ですよ」という言葉に対する、星航一の言葉。
関東大震災。
佐田さんもあまり記憶にない?
じゃあ、あの時、朝鮮人が暴動を起こした、という流言が飛び交って、大勢の罪のない朝鮮人が殺されたことは?
差別が生まれる理由はさまざまです。
火のないところに煙は立たずで終わらせるのか、
それとも
その煙を上げたのは誰なのかを見極めるのか。
この日の放送をめぐって、こんなニュースになっていた。
朝鮮人虐殺にふれだたけで、NHKは左翼だ、なんて書き込みをする人がいることに開いた口が塞がらない。
これに関連して思い出したこと。
もう20年ほど前のことだけれど、某教科書出版社の編集の方とお話ししたことがある。教科書がマイナーチェンジしていて、ジェンダー論に関する評論が別のものに差し替えられていた。
あの評論、良かったのにどうしてですか?
と何気なく聞いたら、
検定は通っても、ジェンダーに関するものを載せるとね、街宣車が会社の前を取り囲む、なんてこともあるんですよ。そうなると、やはり…。
言論を物理的な力で押さえ込もうとする人たちの存在に当時かなりの衝撃を受けた。
あれから20年も経つというのに、そしてドラマで描かれている時代からは70年以上経つというのに、自分とは考えが異なる人たちへの誹謗中傷や差別といった状況は良くならないどころか、悪化しているように思えてならない。
そして、星がかつて所属していたという「総力戦研究所」。
総力戦研究所?
全く知らなかった。
しかもwikipediaに載っていただなんて。
ちなみに私は、高校時代は日本史選択。大学の二次試験科目でもあったのでかなり勉強したという自負はある。
しかし、まるで知らなかった。
日本の敗戦が真珠湾攻撃の前に、すでに予想されていたにもかかわらず、机上の空論として退けられていただなんて。
ごめんなさい
そういって涙する星航一の無力感は、どれほど大きいものなのだろうか。
はたと自分自身の身の回りを振り返ると、情報の海の中で、あっぷあっぷしてもがくしかない現状。
それでも、火のないところに煙をあげようとするものを、見極めようとする姿勢は持っていたいと思う
。
さて、曲者と思われた杉田太郎弁護士だけれど、高橋克実さんが演じると、こうも味わい深い人物になるのかと、感服。
「どうして人を殺しちゃいけないのか」というサイコパス森口美佐江ちゃんが怖すぎますが、杉田ブラザーズの活躍にも注目しつつ、来週も楽しみにしています。