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「光る君へ」第37回「波紋」〜教科書に載っている紫式部日記って?

第37回は紫式部日記の記述に従って進んでいく。
「紫式部日記」で教科書に載っているのは、
・「秋のけはひ入りたつままに」で始まる冒頭
・前回描かれた一条天皇が敦成親王に会うために土御門邸に行幸する日に向けた準備をする場面。
・清少納言を始めとする女房達への批評
この三つがほとんどである。
今回のドラマで描かれた、大晦日に盗人が入る場面もたまに載っていることがある。

まずはこの盗人が入る場面から。
紫式部日記では、衣を奪われた女房を見つけた紫式部が、まだ宮中にいるはずの弟、惟規(高杉真宙)を呼ぼうとするが、もう退出していなかったいうくだりがあるがそれは描かれなかった。日記のほうは、紫式部日記にしてはユーモラスな筆致なのだが、ドラマのほうでは道長がまひろに次の東宮を第一皇子 敦康親王(あつやすしんのう)ではなく、第二皇子 敦成親王にすることを漏らしてしまう場面として使われているという印象。
これがタイトル「波紋」の最初の一滴なのか。

そしてドラマではあまり強調されていなかったが、これは実は大晦日の日。
大晦日には追儺(ついな)の儀が行われる。
追儺というのは、今でいう節分の行事の原型と言われていて、豆まきこそしないけれど、鬼の役がいて、それを追い払うという儀式。
日記によれば追儺の儀が終わってから盗人が入っている。
伊藤健太郎さん演ずる双寿丸が青紺色の衣服に鬼の顔を描いたものを顔の前に下げていたけれど、あれは追儺の鬼の役。鬼の面をめくった姿が美しくて、これからどんなふうに物語に関わってくるのか、とても楽しみ。


教科書に載る紫式部日記の中で印象に残るのは、ライバル視する方々への批評。
和泉式部(泉里香)、赤染衛門(凰稀かなめ)、清少納言(ファーストサマーウィカ)に対して、ちょっと褒めてあとは貶す、もはやDEATH NOTE。
紫式部って性格悪いよねーという感想を抱いてしまう。
しかも教科書だから、こういう印象を抱いてきた人は大勢いたはず。
もちろん、まひろを見ていると、そんなふうには思えないけれど。
今のところ、ドラマではそんな気配はないのだけれど、今後の展開でどう変化するのだろう。また、自分のことを日本紀の御局とあだ名をつけた左衛門の内侍(菅野莉央)に対しても手厳しい評価。これはあの源氏物語朗読会でのエピソードが発端になっている。

教科書には載っていないのだが、同僚女房、宰相の君(瀬戸さおり)、小少将の君(福井夏)、宮の宣旨(小林きな子)といった方々のことは、褒めちぎっている。
宮の宣旨のことは、日記では宮の内侍と書いてあり、その美貌を褒めちぎっている。そしてこの人の妹という「式部のおもと」については「いとふくらけさ過ぎて肥えたる人(とてもふっくらしすぎて太っている人)」と書いてある。

そうか、ドラマの宮の宣旨はこの姉妹を合体したキャラだったのね。
私はこの宮の宣旨、とってもチャーミングで大好き。
平安時代はふっくらした女性がモテたと聞いたこともあり、まさに平安の女房だなあと思っていたのだ。まさか姉妹合体キャラだったとは!


さて、中宮彰子さまが命じた源氏物語の冊子作りの様子も紫式部日記に載っている。
ドラマでは33巻まで献上していたが、この33巻「藤裏葉(ふじのうらば)」で源氏は准太上天皇という待遇を得て、栄華を極める。
ここまでが源氏物語の第一部と言われている。
まひろがドラマの途中で「罪と罰」と書いていたけれど、この「罰」が第二部では描かれる。「罪」は第35回の記事で書いた、藤壺の宮との禁断の恋のお話。道長の言う「不義」の話。

この罪のしっぺがえしとでもいうべき「罰」が第二部では待っている。
そして第三部はいわゆる宇治十帖という光源氏死後の子ども達の物語である。

源氏物語でこれからまひろが描くのは、光源氏の人生の翳り。
そして、道長は今から栄華を極めることとなる。
この二つの物語がどうリンクしていくのか、
来週も楽しみ。

追記
コングラボードいただきました。お読みくださった皆様、ありがとうございました。


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