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アンチエイジングの救世主!?レスベラトロールとは何か?~腸活ラボマガジンVol.22~


はじめに

こんにちは、やまだです。今回は、よく赤ワインに含まれていることで話題を集めているレスベラトロール(resveratrol)について解説したいと思います。そして、その解説のために必要なサーチュイン遺伝子についても解説したいと思います!参考になった方はぜひスキ(いいね!)してください!

加齢と長寿(サーチュイン)遺伝子

加齢は、細胞レベルで見てみると、細胞の機能や修復機能の低下によるものです。そして、個体レベルで見ると、臓器などの機能不全、フレイル(虚弱)の増加、疾患の発症率の上昇などが見られます。

そして、加齢に抗い、健康寿命を延ばす手段のひとつとして、サーチュイン遺伝子ファミリーの活性化がこれまでの研究から明らかになっています。
サーチュイン遺伝子は、代謝、ストレス応答、タンパク質合成、ゲノムの不安定性、神経変性、DNA損傷の修復、炎症などに関連しているとされる、非常に保存されたヒストン脱アセチル化酵素のファミリーで、哺乳類では7つの遺伝子が知られています。
その中でも着目を浴びているのが、SIRT1で、触媒活性のための補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を必要とします。以前NMNについて解説しましたが、NMNの補給も、加齢に伴って減少するNAD+の増加、結果としてサーチュイン遺伝子の活性化を起こすことが目的です(ref1)。

図1 サーチュイン遺伝子とNAD+、NMNの関係
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/063000692/?P=2

これまでに、酵母や線虫、ハエ、マウスにおいてSIRT1(同族体)を強制的にたくさん発現させると、それぞれの動物の寿命を延ばすことが明らかになっています。
さらに、カロリー制限をすると、サーチュイン遺伝子が活性化され、結果的に寿命が延びることが多くのモデル生物で証明されています(ref2)。

哺乳類においてもSIRT1、SIRT3およびSIRT6は、カロリー制限と関係しており、その発現はカロリー制限と運動によって誘導されます。
そして、それらのSIR1遺伝子を破壊するとカロリー制限と運動によってもたらされる効果は打ち消されてしまいます。
また、SIRT1またはSIRT6を過剰発現させると、カロリー制限と運動で観察される生理学的効果を模倣し、寿命を延ばすことができます
そこで人間は何を考え出したかというと、カロリー制限も運動もせずにこれさえ取れれば、サーチュイン遺伝子を活性化できるものを探そう!ということです。楽してアンチエイジングしたいわけですね!

レスベラトロールとは?

そして、カロリー制限と似たような効果をもつ物質を探す努力の末、いくつかのポリフェノール化合物が特定されました(ref3)。その中で最も強くサーチュイン遺伝子を活性化させたものがレスベラトロールだったというわけです。

図2 レスベラトロールの構造
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Resveratrol.svg


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