見出し画像

本紹介②教育は変えられる 第2章

前回の投稿から1週間。続けていきたいという強い思いのもと、明日も仕事ですがnoteを打っています(笑)

今回は前回の続き、山口裕也氏の『教育は変えられる』の書評になります。

前回は第1章をレビューしました。キーワードは「選択」と「決定」。子どもたちが自ら「選択」し、「決定」する機会を大人が(教師が)どれだけ取れているのか。そこがこれからの資質・能力の育成につながるキーになるというお話でした。

その意見には賛成です。現に私は、宿題を「選択制」にしたり、コースを自分で「決定」できるようにしています。ここら辺の話はまた後日noteに書くとして、今回は第2章のレビューを書きます!

第2章のキーワードは、ズバリ、「学びの構造転換」です!

学びの構造転換とは

第2章のキーワード、「学びの構造転換」とは何なんでしょうか。端的に言えば、「みな同じ」「一斉一律」から「みな違う」「多様性」「個別化」への転換を意味しています。

本著では、オランダのイエナ・プランを初め、オルタナティブ教育などの「もう一つの学校教育」の形が影響していると書かれています。日本では「きのくに子どもの村学園」がこれにあたるでしょう。

これらの教育は全体よりも個を大切にするイメージがあります。幸いにも私の周りにオランダへイエナプランを学びに行った教員が多くおり、話を聞かせていただく機会が多いのですが、「ブロックアワー」と呼ばれるイエナプランの手法はまさに個人に重きを置いた方法だと思いました。

「ブロックアワー」は週の初めに子どもたち一人一人が学習する計画を立て、それに沿って学んで行きます。異年齢集団なので、難しいところは先生や年上のお兄ちゃんお姉ちゃんに聞くことができます。

これらの「個」を大切にした学びへと構造を転換することが、「学びの構造転換」だと考えます。

学びの構造転換による学習者主体の学習

学びの構造転換には、さまざまな利点があります。その中の1つに「学習者主体の学習」になることが挙げられます。

子どもたち一人一人には、それぞれの特性があり、得意不得意が違います。学ぶスピードも能力も違います。
周りの「集団」に合わせる学びではなく、自分が選び、自分に合わせて学んでいくことができるようになります。すると国がいう「学びに向かう力」がどんどん上がってくるのではないでしょうか。

「個人」を大切にする学びは、「学習者」を大切にすることにつながるのです。
周りの友だちは不要になるのかというと、そうではありません。自分になかったものの見方や考え方を示してくれる、素晴らしい仲間です。競走し合うことも大切かもしれませんが、お互いを高め合う存在として認知することも大切ではないかと思いました。

学びの構造転換による授業の変化

いよいよ、具体的な学びの構造転換による授業の変化を見ていきます。2章では国語科を例に挙げられていました(他の章では他の教科が紹介されています)。

小学校6年生の国語科『海の命』です。

一般的な授業で言うと(私の見解です)、指導書通り、物語全体を読んで内容を掴み、子どもに考えさせたいと教師が思う内容をめあてにしていきます。本著では「登場人物の関係を捉え、人物の生き方について話し合おう」が挙げられていました。

ここで山口氏は指摘しています。「私たちが文学で触れる接点は、必ずしも「生き方」だけではないはず」と。

ここでキーワードである学びの構造転換に戻ります。「みな違う」と言う視点から、『海の命』から学べることは一人一人違うと言う考えに立つ必要があるのです。

つまり、教師側の意図する「生き方」を子どもに押し付けるのではなく、子どもから「問い」や「課題」を出させ、探究の計画を作っていくのです。もっと言えば、一人一人計画が異なっても良いということです。

山口氏は本著で、「なぜ、『海の命』がつまらないのか、どうして心に残らないのか」と言う「問い」を探究することも許容すると言われています。この視点は、批判的読み(クリティカル・リーディング)にもつながる視点ではないでしょうか。

教師は子どもと同じ共同探究者

「ファシリテーター」と言う言葉が盛んに聞かれるようになってきました。「ティーチャ」ではなく「ファシリテーター」と。

教師の仕事は教え込むのではなく、子どもと一緒に探究したり、子どもの意見や考えを引き出し、繋げていく役割に転換してくるということです。

先程の国語の話でいくと、教師はもちろん教材研究をしますが、これはあくまで「一人の先行研究者」と言う立ち位置です。

教師の教材研究を(教材解釈を)を子どもに押し付けるのではありません。「先生はこの物語から〇〇を考えたんだけど、みんなはどう?」と、一緒に探究していくのです。

しかし、教師が子どもに伝えなければいけないものがあります。
それが、各教科の「見方・考え方」です。

ここで繋がってくるので、京都大学の石井英真先生が言われている「教科する」学びです。また石井先生の本も読んでみてください!面白いですよ!(URL貼っていますので、読んでみてください)

今日はここまでにします。長々とすみませんでした。

また来週もよろしくお願いします。

いいなと思ったら応援しよう!