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"ちょうどいい”人事制度のつくりかた

トラックレコードの芹川です。
猫の名前はワサビです。

当社の面接や商談時に会えることがあります

採用候補者の方に人事制度について質問されるのでnoteで公開しようかと考えたのですが、書いてみたら半分くらいは人事制度の作り方に関するコンテンツになりました。

  • これから人事制度を作りたいけど、右も左もわからない

  • そろそろ人事制度をアップデートしたいけど、何をどこまで変えるべきか整理できない

という方などには、多少参考になるのではないかと思います。
当社での仕事に関心のある未来の社員候補の方にも、もちろん読んでいただきたいです


人事制度はいつ作るべきか?

どの程度しっかり作るこむかはさておき、人事制度自体は少しでも早く作った方がよいと言うのが僕の意見です。

トラックレコード社では一人目の社員が入社するタイミングからシンプルな人事制度を作っておきました。
たとえ一人であっても曖昧な方針や基準で評価をしてしまうと、違和感が発生してしまった際にあとから修正するのが簡単ではありません。些細なことで重要な社員を失う潜在的なリスクを感じていたので、初期段階から基本方針くらいは明確にしておきたいと考えたからです。
また、当社は僕と野崎の共同代表制なので、2人の人事制度に対する考え方にズレがによって社員に迷惑をかけることは避けたく、早めに僕と野崎で認識合わせをしたかった側面もあります。

正直に告白しておくと3つの制度ともあるべき水準まで完成していないし、決めたことも100%完璧には運用できてません。ただ、最初に設計していた制度のフレームワークと、各制度の方針は明確化できているので、現状はそれなりに機能していると考えています。
その意味で、人事制度までは急いで作らなくてもいいけど、どんな人事制度にしていくかを決める人事ポリシーは早めに言語化しておくといいと思います。

人事制度の構成要素

一般的には、人事制度の基本になるのは「グレード制度」「評価制度」「報酬制度」の3点セットになります。
他にも作り方はありますが、ゼロから人事制度を考える際には王道にしたがってこの3つを軸に設計することをオススメします。その方があとからチューニングもしやすいからです。
3つの制度の機能や制度間の関係性を理解しておくことがまず大事です。
「グレード制度」は、社員の役割や責任、職務などを定める基準であり、人事制度の根幹となるものです。
「報酬制度」は、社員の労働と貢献の対価としての報酬を決定するためのルールです。
「評価制度」は、グレード制度に基づく評価の仕組みやプロセス、評価の基準を定めるものです。

制度間の関係

3つの制度はそれぞれ関係しており、セットで運用されますが、中心となるのはグレード制度です。
評価制度とグレード制度は、評価の基準がグレードごとに決められるという関係にあります。また、評価自体がグレード対比で行われ、評価結果はグレードに反映されるという関係にもあります。
報酬制度とグレード制度は、報酬テーブルそのものがグレードに対して決められるという関係にあります。
評価制度と報酬制度は、グレード制度を経由して間接的に関連しているものになりますが、評価結果に基づき昇給・減給も決まってくるので、部分的には影響しています。

このように3つは相互に連携して機能するものなので、作るなら3つ一気に決めたほうがよいと思います。

当社の人事制度の特徴

当社の人事制度すべてについて解説しても長過ぎるので、ここでは割愛します。
そもそも人事制度はあまり新しい発明をする必要がなく、基本に忠実がよい派です。
制度の基本は本を読めばだいたいわかります。この3冊で十分だと思います。


難しいのは自社の戦略や文化に合わせたり、どの粒度で決めるべきかを判断したり、どのタイミングで制定・見直しすべきかを判断することです。
以下では、自社の戦略や文化に合わせると意味で、当社の人事制度において一般的ではないポイントを敢えて紹介します。

①人事制度ハンドブックで背景まで解説する

そもそも当社は人事制度を「人事制度ハンドブック」という形で社内に公開しており、制度そのものだけでなく、その制度設計の背景にある考え方まで詳しく言語化しています。
これが制度そのものと同じくらい大事だと考えています。
その理由は人事制度ハンドブックの理由に書かれているので、そのまま紹介します。

このドキュメントの趣旨

このドキュメントを作成した目的は、当社の人事制度自体を知ってもらうためだけではありません。
結論(手段)としての人事制度が、どんな目的のために、どんな思想や価値観に基づいて設計されているかを理解してもらうためのものです。

自分がサラリーマン時代に感じていたこととして、人事制度(および制度外の非公式運用ルール)は「なぜこうなっている?」という意味不明なものも多く、疑問を呈してもまともに説明できる人がほとんどいなかったからです。

おそらく、以前は機能していた制度が会社フェーズの変化とともに合わなくなったり、誰かがよかれと思った作ったルールが実は部分最適に過ぎなかったり、大人の事情で十分な説明なく導入されたルールの背景にある大人の事情を知る人が誰もいなくなったりとか、そういうことだと思います。

これは全く納得感を持てないし、会社に対する信頼を損なうので、とてもよくないです。

なので、人事制度については制定時にそのときに決めたことの背景をきちんと言語化し、あとから入社する人にもわかる状態をつくることが大事なんじゃないかと思います。

人事制度は法律も絡んできて複雑で難しく、理解するのも大変です。

中途で入社してきた人は最初に人事制度のハンドブックが配られたりして、どんなルールになっているかは知ることができますが、なぜそうなったのかは全く伝わらないので、ルール自体もいまいちピンとこないし、腹落ち感も持ちにくくなります。

そうした反省も踏まえて、制度そのものと同じくらい、制度が作られている背景について、きちんと説明して納得感をもってもらうことが大事なのではないかと考えています。

僕(=芹川)は「ルールの正しさの意味 わからないまま従えない」という小室みつ子先生の教えに従って生きてきたので、読んでもらった上で理解できない点や腹落ち感を持てない部分は可能な限り説明します。遠慮なく聞いてください。

(注)大人になった僕は「理解できなくてもルールには従う大切さ」を十分に理解しています。

株式会社トラックレコード「人事制度(β)ハンドブック」より

3つの各制度についても、制度の内容そのものだけではなく設計の背景をそれぞれ詳しく言語化しています。
たとえば、報酬制度について以下のようは設計と、その方針を重視している理由まで書いてたりします。

②人間の評価能力の限界を前提とした制度づくり

もう一つの特徴は、評価者の評価能力そのものに限界があることを前提とし、恣意性・属人性を極力排除しようとしている点です。
その姿勢は上述の報酬制度の設計方針にも書かれていますが、具体的には「評価時の評価がマイナスでなければ昇給幅は一律定額」という制度に現れています。

そもそも人の能力はとてもファジーなものですし、評価するのは簡単ではありません。いかに経験豊富な人事担当者やマネージャーであっても、「この人の昇給は10万円が適切か、30万円が適切か」という評価を十分な客観性を持って判断できる人はいないと考えています。必ず主観的な評価になります。それゆえに、そんな細かい評価はできないという前提で、一定の条件を満たした場合は定額昇給という形を取ります。
その代わり、グレード変更を行うべきかの評価はかなりしっかり検討・議論して行います。グレード変更されると、あらかじめ決められているグレード別給与テーブルに従って給与改定が行われるので、特定の人に対する個別判断が行われません。

これらは当社の特徴はどんな会社にもオススメするものではありません。
大事なのは、自社の戦略や文化からスタートし、それを実行できる強い組織をつくるために人事制度において何を強化すべきかをよく考えることだと思います。
制度をつくるより、その手前で考えることの方が重要だし大変です。

人事制度のアップデート

人事制度の見直しタイミングについて一般解などありませんが、社員数の増加や今後の採用計画などは重要はファクターですし、スタートアップなどでは社員の在籍期間や年齢構成の変化なども考慮対象になります。ストックオプションなどを導入している場合は、事業規模やバリュエーションなども影響します。
人事制度は組織のOSみたいなものなので、ときどきメジャーアップデートのようなものが必要なのです。

当社の今の人事制度も制定してから時間が経ってきました。その間に社員数も増え、今後増えそうな職種の解像度も上がってきたので、そろそろ多少のアップデートが必要になりつつあります。
具体的にどのような点をチューニングしたいかはここでは書きませんが、当社でのお仕事を検討してくださる方は、直接聞いていただければ回答します。

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