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#新潟
#26 SLが魅せるシネマ
12月の下旬。世間はクリスマス。
SLは雨が降りしきる中、会津若松から一路新津へと向かう。
力強い鼓動とレールのジョイント音をBGMに、ゆっくりと流れる車窓を眺める。
なんてゆっくりした旅なのだろう。
せわしなく停まったり動いたりすることもなく、新幹線のように急ぎすぎることもない。
トンネルが近づけば、ボックス席の窓側の人が煤だらけにならないように慌てて窓を閉める。
「危なかったですね。顔真っ黒
#23 ファインダー越しの会話
写真を本格的に始めたのは高校のころ。
それまではコンパクトカメラをぶら下げ、駅で列車を撮っていた。
やはり一眼レフを持っていることへの憧れと、もっと写真をちゃんと撮りたいという思いから、中学になって中古の一眼レフを手に入れたのだった。
ただ、写真の仕組みを学んだのは高校から。
「お前たちはまず撮ることから始めなさい。写真をやるからには撮らないと始まらない。」
写真家の先生からの話を受けて、
#14 緑、青、夏、新潟。
毎日が東京の鉛色の空の下で過ごす日々の中、久しぶりの新潟は天気予報が裏切り、気まぐれな青空を見せてくれた。
稲たちが喜ぶほど、雨は大地を潤したのかは定かではないが、空は圧倒的にお日さまと青空が優勢だ。
下に目をやると緑のじゅうたんがふさふさと風になびき、弥彦山と角田山はここが新潟なんだと誇らしげである。
ゆっくりとした風に乗るふっくらとした雲。
まだまだ降らせるぞという意気込みの一方で、もう
#13 モノトーンの世界
場所は新潟、長岡。
早朝に目覚めてカメラを持って車を走らせる。
走っても走っても霧が濃く、果たして写真は撮れるのか。
現場に着いて東の空を何度も見返しながら、真っ白いしけった空気をまとった私はかすかな期待をしながら三脚にカメラを据えた。
太陽が山の頭から顔を出す。一気に暖かさと光がやわらかく射し込んできた。
すると一帯の景色が幻想的な世界のように一変。
霧で霞んだ中に無数に立ちならぶ枯草の