#13 モノトーンの世界
場所は新潟、長岡。
早朝に目覚めてカメラを持って車を走らせる。
走っても走っても霧が濃く、果たして写真は撮れるのか。
現場に着いて東の空を何度も見返しながら、真っ白いしけった空気をまとった私はかすかな期待をしながら三脚にカメラを据えた。
太陽が山の頭から顔を出す。一気に暖かさと光がやわらかく射し込んできた。
すると一帯の景色が幻想的な世界のように一変。
霧で霞んだ中に無数に立ちならぶ枯草のシルエット。
まるで、一面がセピア色に染まったのではないかと思うほどの暖かい橙の光。
夢中でシャッターを押し、この絵が切り抜けたときは思わず心がじわっと温まり、笑顔になった。
写真は中学から。
鉄道の記録ばかりしていたが、高校で入った写真部で問題提起、雰囲気、演出することなど、新たな視点での写真を学ぶ。
気が付けば目がファインダーの世界になっていることもしばしば。
夢中になってシャッターを切っている。それが純粋に楽しい。
その写真をこうして、ふと思ったことや思い出と共に残せることはもっと楽しいし、自分を残せてうれしいと思えるようになった。
ものかきでも写真のプロでもなんでもない。ただ、自分の感性をアウトプットして満足するだけの場所。
普段奥底に入ってしまっている、潜在的な自分に向き合ってアウトプットしよう。
私のこころのディスカバーを。
『朝靄の枯草群』Photo by Taromaru
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