ロダーリ ガリバルディ橋の釣り人 を読んで
みなさん、こんにちは。ロダーリの「猫ととともに去りぬ」に収録されている「ガリバルディ橋の釣り人」を読んだ感想を書いていきます。
あらすじです
アルベルトーネと呼ばれているアルベルトが主人公です。彼は釣り人でガリバルディの橋をはじめ、多くの川へ釣りをしています。餌は魚に応じて分別できる知識を持っていますが、ある問題がありました。
それは
アルベルトは魚たちに好かれていないのです。
周りは魚が釣れているのを見て、アルベルトは焦りを覚えているのかもしれません。
とりあえず、どんな魚でもいい、食いついてくれ。
という思いと裏腹に、冬だろうが夏だろうが、どんなに辛抱強く待っても、アルベルトの釣り餌に魚が食いつくことは全くありませんでした。
いつものように、アルベルトはガリバルディ橋で釣りをしています。相変わらず、魚が食いつく気配はありません。一方、彼の3メートル離れたところで男の人が釣りをしていました。
男はアルベルトのように釣り人の恰好ではなく、訪問販売員を彷彿させるような恰好をしています。彼が川に向かって釣り糸を投げると、すぐにギンブナが釣れました。釣れたギンブナをびくに入れ、釣り針にミミズをかけ、川に投げていきます。すると30秒も経たないうちに大きなニゴイが釣れました。ギンブナやニゴイも男に釣られて、幸せそうな笑っている様子です。
「ちくしょう、なんでアイツのところだけ、寄ってくるんだ」
アルベルトがそう思っていると、男の人は釣り糸を投げるたび、何か呟いていました。アルベルトは男のところに近づいていきます。
お願いします。ジュゼッピーのところに来て下さい。
という願い事のような言葉を言った後、魚たちがいとも簡単に食いつきました。
「あのーすいません、ジュゼッピーさん。どうすれば、魚が釣れるのでしょうか? コツを教えてください」
アルベルトは我慢できず、男に声をかけます。彼は男からアドバイスを聞き、早速試しますが、魚が食いつくことはありませんでした。それを見て、男はあることを思い出しました。
実は
ジョルジョという名前で呼び名がジュゼッピーのところに魚が食いつくようになっている
という謎の風潮っぽいことをアルベルトに言います。男の名前はジョルジョで呼び名はジュゼッピーでした。
「それが正確でないと、魚たちは全く食いつきませんよ」
アルベルトにそう言いました。
それを聞いたアルベルトは早速、近くの旅行代理店に向かいます。
旅行代理店でタイムマシーンを借り、自分の父親が生まれた年にタイムスリップします。アルベルトはなんとか自分の父親と親しい関係になるようこじつけ、生まれてきた子供をジョルジョ、呼び名はジュゼッピーにするように言います。父親はアルベルトの言うことを守り、そういう風にしました。
それが成功すると、アルベルトは現代に戻ります。これまでの人生は全く変わっていませんが、元アルベルト(現在の名前はジョルジョ、呼び名はジュゼッピー)になっていました。
アルベルトは早速、釣り糸を川に投げ、男から教えてもらった呟きを言いましたが、全く魚が食いつきませんでした。彼はすぐ、男に文句を言いました。
すると、男は冷静な口調で「そんな呟きはもう、とっくに変わりましたけど、ご存知ないのですか?」と言います。
それから、アルベルトは男の言葉に振り回されるようになります。魚が食いつくための呟きが言えるよう、自分の妹を犠牲にしたり、警察に逮捕されたり、と散々な目に遭います。それでも、アルベルトのところに魚は寄ってきません。
男は相変わらず、魚が寄ってきます。大きなサメが釣れたり、珍しい魚が釣れたり、鯨まで食いつきます。
アルベルトは魚が食いつくための呟きを色々と試していきますが、相変わらず、魚が寄ってこない日々が続きました。
感想です
アルベルトの魚釣りは、まるで合コンや街コンなどのイベント、あるいはマッチングアプリで恋人を作ろうとする必死な男のように思えました。魚の餌というのは、女性に対する口説き文句といった感じと似ています。
モテる男(ジョルジョ)を見て
身なりなど女性を意識していない雰囲気なのにモテるのは、何故だろう
というモテない男(アルベルト)が嫉妬したくなるのも、分かる気がします。
アルベルトはジョルジョから呟きといった、アドバイスを貰いますが、まるで恋愛マニュアルを意識するあまり、周りが見えていない気がします。
自分の周りの人が結婚したり、当たり前のように恋人がいる
という取り残された感覚に陥り、アルベルトは焦っているのだろうと思います。
一方、女性たち(魚たち)がそんなアルベルトの姿を見て、関わりたくないし、近づきたくない、と考えられます。
今は自由に恋愛し、結婚できる世の中になっていますが、恋愛に対して不器用な人は多く、中には、付き合ったこともない人もいると思います。
そんな彼らを見て
いつまでも恋人ができないのは、こいつの人間性などに問題があるのかもしれない。
という偏見を抱く人も、中にはいると思われます。
そして、よく似たものとして
この年で付き合ったことのない人はおかしい。
メディアやネットなどで誰がそんな当たり前を決めたのか、分からない風潮は今でも存在しています。
その風潮を真に受けすぎて、アルベルトのように
何かを犠牲にしたり、迷惑をかけてでも恋人を作ろうとする執念
そんなことをするのは、ますます自分の個性や強みが無くなっていくと思います。
そのような風潮を気にせず、
自分が夢中になれることを見つけ、それに集中し、自分の個性や強みを磨いていく
そうすることで、いつか周りの人たちを気にせずに過ごすことができ、今後の人生の経験に役に立つかもしれません。
最後まで、読んで頂きありがとうございます。
過去にロダーリの作品を読んだ感想の記事を載せておきますので、良ければご一読下さい。
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