企む面白さ!《noteの書き方》
このところずっと続けて書いてきた「シリーズ」が終わりました。
・新しいプロジェクトを始めた知人を応援する記事 ↓
・我が子の後ろ姿の写真を集めた記事 ↓
・アートの見方について考察した記事 ↓
・妻の誕生日にバースデーカードを買った記事 ↓
・友だちについて書いた記事 ↓
以上5作品を、ひとつの「シリーズ」として送り出しました。
◇
それぞれが独立した記事であり、共通点はないように見えます。これのどこが「シリーズ」なのか? そこに私の密かな企みがあります。
今回は私独自の「シリーズ」という考え方と、それぞれの記事を解説することで、noteの遊び方を提案してみたいと思います。
* * *
その前に。
なぜ自分の記事を解説しようとしてるか、その理由を書いておかねば。
カミーノさんが紹介した「デザイン視点で文章を見直す話」が面白かったんです。つい興奮して、こんなコメントを残してしまいました。
カミーノさん!これ私の得意分野じゃないですか? デザイナーではないけど、分かるわかると腑に落ちました。(中略)偶然自分の記事を読み始めた人が、最後まで読んでくれる保証はなくて、むしろ途中で離脱するほうが多いはず。どうやったら最後まで読んでくれるだろうといつも試行錯誤しながら、noteを書いてます。
このテーマでnote書けそうですね。ちょっと考えてみまーす。
ちょっと落ち着きなさいよと過去の私に言ってやりたい。どうしてこんなこと言っちゃうのかな。あとで困るのは自分だよ? そう、いま困ってるんだ。
◇
いざ書こうとしてもまるで書ける気がしない。小手先のテクニックを紹介しても面白い記事になりそうもない… 。実用的じゃないんだな、私のnoteは。
カミーノさん、降参です。反省。
その代わり、ふだん何を考えながらnoteを書いてるかなら、書けそうです。その中でテクニックらしきものも紹介できる気がします。
せっかくなのでこの機会に、自分の頭の中を探検してみます!
* * *
ふだん何を考えながらnoteを書いてるか?
一番大切にしてるのは日々の暮らしです(noteでの交流も含む)。その中で感動したことや面白いと思ったことを書いてます。これをネタと呼ぶなら、ネタの良さが全てだと思ってます。無理して面白く書く必要はないというのが持論です。(面白く書ける人がうらやましい)
もしも、自分が感動したことを相手にダイレクトに伝える装置があったら?と想像してみてください。自分と趣味嗜好の異なる相手だって、100%伝わるんだったら、間違いなく自分と同じように感動するはずです。
そんな装置は発明されてないけど、その実現の手助けをしてくれるのが、言葉や文章だと思うのです。自分の感じたことを100%そのまま相手に伝えるのは不可能です。でも100%に近づける努力は誰にでも出来ます。そこが文章を書く面白さであり、難しさではないでしょうか?
◇
例えばびっくりした出来事があって、それを相手に伝えたい場合。
「びっくりしたことがあってね」と前置きすると、相手はそう思って聞くから、びっくりした出来事を話しても「へえー」とか「ああそうなんだ」で終わってしまいがち。自分と全く同じようにはびっくりしてくれませんよね。
反対に前置きせずに話すとどうでしょうか?自分に起きたことを順に説明して、最後にびっくりしたことを話すやり方です。相手が最後まで聞いてくれたらいいけど、話が長くなると途中で興味を失くしてしまうかも。これが文章なら、読み手は途中で離れてしまいます。面白いのは最後なのに!
あったことをそのまま書いても100%を伝えることは出来ないのです。
無理して面白く書く必要はない。けどこうも言えます。
「面白く読ませる工夫は必要」
それが文章テクニックだと思うわけです。文才は必要ありません。
では、次の章へどうぞ。
* * *
企む面白さ!
私の頭の中はいつも企みでいっぱいです。そう書くと悪い人のように思われそうですが「企み」とは「企てる」こと。つまり企画の「企」です。
こうしたら伝わるんじゃないか?とか、こんな表現は出来ないかな?とか、そんなことばかり考えています。それもこれも100%に近づけるためやっていることです。こういうのが好きなんでしょうね。
うまく出来た!と思えた時はひとりでガッツポーズします。誰か気がついたときのことを想像すると楽しくなる。これが企みの醍醐味です。スキやフォローの数はあまり気になりません。誰かひとりでも私と同じように感じてくれたらそれで十分。それが最高にうれしいです。
では、具体的にどう企んでいけばいいのでしょうか?
* * *
最後まで読んでもらうためには?
そもそも読んでもらわなければ何も始まらないですよね。パッと見の印象は思った以上に大事と言えます。
noteで言えば、見出し画像+タイトル+書き出し+最初の数行。
私自身、知らない人の記事は、PCやスマホの画面で最初に表示される部分だけで読むかどうか判断してることがほとんどです。最後まで読めばきっと良い記事はあると思うけど、そこに時間を使うよりは、この人いいな!と思う人を見つけてじっくり読みたいタイプです。そのためにはたくさんの人の記事を読み飛ばす必要があるんです。ごめんなさい。
PCやスマホに最初に表示される画面は、その人の顔にあたる部分。
すごく大事ですよね。
◇
さて、では首尾よくクリックさせたとしましょう(やっぱり悪い人だ)。
文章に自信のある人や、すでに多くのファンがいる人なら、最後まで読んでもらえるかもしれないけど、あいにく私はその両方とも持ち合わせていないので、あれこれ企みを画策するわけです。
読み手の関心をどう維持するかには、いくつか型があります。
| なぞ提示型 |
最初に謎を提示して、読み手の興味を惹き、そのあと謎解きするタイプです。なんだろう?と思わせて、なるほどそうか!と導く面白さ。
つい読みたくなってしまうし、謎が解けた時のすっきり感もあってオススメです。いかに情報を伏せるかがポイントになります。平たく言えば、思わせぶりな書き方をしましょう、ということです。そういう目線で、ほかの人の記事を読んでみてください。あ!このことか、と分かるはずです。
大きな謎の間に、小さな謎をいくつかはさむと、読み手を最後まで飽きさせない工夫になります。一緒に覚えておきたいコツです。
| ゴール提示型 |
「なぞ提示型」が先の読めない面白さなら、「ゴール提示型」は先が読める安心感を与えてくれます。長い記事にオススメです。
「これからみなさんに3つお伝えしたいことがあります」こうやって始めるプレゼン多いですよね。これがゴール提示型の典型です。
これの利点は、聞く側は前もって心の準備ができること。私がイメージするのは空っぽのハコです。頭の中にハコが勝手に3つ出来て、順番に中に入れていく感じ。あといくつハコが残ってるか把握できるし、どこがゴールかあらかじめ分かってるから、安心して話が聞けます。
じっくり読んでもらう記事に向いてるタイプです。
noteならインデックス機能を使うのもアリです。
| ふんわりトーン型 |
思いつくまま書いた(書いたように見える)記事です。企みの多い私には書けない記事で、このタイプの文章には憧れもあります。最後まで読ませるというよりは、ずっと読んでいたいと思わせるのがこのタイプ。
書き出しから終わりまで、文章のトーンを統一するのがポイントです。
| 呼び戻し型 |
ゴール提示型の応用編がこのタイプです。今回はこんな話をしますと、最初にゴールを提示しておきながら、全く関係ない話を始めるのがこのタイプ。
読み手が忘れたころに、初めに示したゴールの話題に呼び戻すやり方です。
長い記事で、前半と後半で話が大きく変わる場合、最初に後半部分をちらっと紹介することで、読み手の頭の中にハコだけ準備してもらうやり方です。
話を分割したほうがいい長い記事の場合でも、このやり方だと1つの記事として成立させることができます。
私もたまにやることがあります。
* * *
はい。そういうわけで冒頭に話は戻ります。
そうです。今回の記事がまさに呼び戻し型です。
今回は私独自の「シリーズ」という考え方と、それぞれの記事を解説することで、noteの遊び方を提案してみたいと思います。
ではこれまでの話を踏まえて、これから具体的な事例を見ていきましょう。
* * *
まず、私が言う「シリーズ」とは何かを説明します。みなさんはどうやって記事を書いてますか? 私の場合は、ひとつ記事を書き終えると、それが呼び水となって連想が広がり、次の記事を書くモチベーションになります。
記事と記事がゆるくつながり、どこまでつながるか楽しみで、それは読み手のためというより、書き手である私がnoteを楽しむ方法です。
これが私の「シリーズ」という考え方であり、遊び方です。
◇
では今回紹介する「シリーズ」は、何がどうつながるのか?
ずばり「noteでの交流」です。
これを念頭に置いてそれぞれの記事を見ていくことにします。
|最初の一歩をここから|
シリーズのきっかけになったのがこの記事です。
新しいプロジェクトを始めた知人を応援する記事を書きました。
知人といってもnoteで出会った方です。この記事を書いたことで、noteで交流のある人を紹介するシリーズを思いつきました。
では、この記事の企みポイントを書いていきます。
冒頭「これは応援記事です」と断りを書いてます。知らずに読んで、ただの応援記事か…と後でがっかりさせたくなかったからです。それを承知で読んでくれるなら、ああこんな人がいるのか!と思ってもらえる記事を書いたつもりです。興味のない方にはUターンを勧めるゴール提示型と言えます。
企みポイントはもう一つあって、新プロジェクトを紹介する動画をどうしたら見たくなるかに頭をひねりました。そこでこんな風に書いてみました。
今回の応援記事で一番伝えたいのはココです。この動画を見てもらいたいと思って、この記事を書いています。
なんて身もふたもない・・。でもストレートな物言いも時には必要かな。
この記事は見出し画像にずいぶん助けられました。記事のイメージにぴったり。タイトルの「最初の一歩をここから」は、このイラストから着想しました。モモリ スウさんというクリエイターのイラストですが、あまりに素敵すぎて、シリーズラストを飾る記事「君は僕の友だちだから」の見出し画像にも別のイラストを使わせてもらいました。最初と最後の記事で同じクリエイターさんの見出し画像というのも、実は密かな企みポイントです。
|後 ろ 姿 を 撮 る|
我が子の後ろ姿の写真を集めた記事を書きました。
「後ろ姿写真の醍醐味。」というNomuraさんの記事が面白くて、私も同じテーマで書いてみようと思ったのがこの記事です。
企みポイントとしては、Nomuraさんの記事を読んでもらいたいという狙いがありました。だからあえて説明しすぎないようにしてみました。
こんな感じの書き出しです。
Hiroka Nomuraさんのnoteを読みました。
《 [リンク]後ろ姿写真の醍醐味。》
こんな風に仕事をされてる方もいるんですね。なるほどそうか後ろ姿かあ。
「こんな風に」とか「なるほどそうか」と言われたって、何のことだか分かりません。明らかにNomuraさんの記事に誘導しようとしてます。思わせぶりな書き方をしてるので、軽めのなぞ提示型と言えるかもしれません。
◇
もう一つの企みポイントはタイトルです。Nomuraさんの記事と勝手にコラボしてるつもりだったので「後ろ姿」という共通キーワードは外せません。
今回はストレートに「後ろ姿を撮る」というタイトルに決めました。しかしこのままだと、どうにもインパクトが弱い。「後ろ姿」を「撮る」という一風変わったシチュエーションのはずなのに、文字の見た目のインパクトが弱くて、タイムラインで目立たず埋もれてしまいそう…。
そこで思いついたのが「1文字ずつ半角空ける」という荒業です。少し違和感を感じさせると、かえって文字の意味が頭に入ってきやすくなると考えました。漢字と平仮名が交互になってるのも、デザイン的に面白いですよね。
「後 ろ 姿 を 撮 る」いかがでしょうか?
|耳 を澄ませ|
アートの見方について考察した記事 を書きました。
これは、アマンダさんの 『「難しい知識がなくてもアートは楽しめる」憧れ原田マハさんの教えてくれたこと 』 という記事が興味深かったので、同じテーマで勝手にコラボさせてもらった文章です。
この記事はインパクトで勝負するなぞ提示型です。読んでも何のことを書いてるか分からない謎めいたメモの存在を、読み手に提示するミステリーっぽい展開。これを楽しんでほしくて、冒頭たった2行の導入部にしました。
感じたことをスマホに打ち込むことがあります。
これもそのひとつ。
必要最小限の説明にとどめてます。
あれこれ書くとその後のインパクトが薄れるからです。
実際メモを読んでも、これだけで何について書かれたものか、分かる人は皆無のはずです。あまりに突拍子もない謎は、早めに解かないと読み手の関心が離れてしまうと考え、答えをすぐ後に書きました。博物館を訪れた時にスマホに走り書きしたメモだということが、ここで分かります。
推理小説に例えるなら、これは探偵が犯人を告げたシーンに当たります。ここから探偵が推理を披露するのがお約束です。同じようにこの記事ではメモを書いた経緯を説明しています。説明を読み終えてもう一度メモを読み返すと、今度はそのイメージでしか読めなくなってるはずです。謎が解けたすっきり感を味わってほしくて書いたけど、いかがだったでしょうか?
これがこの記事の企みポイントです。
謎のメモの話はここで終わり、後半はアマンダさんを紹介する内容になっています。シリーズをこっそり展開している私にとって、実はこっちの後半パートのほうが重要だったりします。本当はこっちのほうを書きたかったんですよ。シリーズを通した私の密かな企みポイントです。
|vlogと紙刺繡|
シリーズ4作目。私のnoteをずっと読んでる方はそろそろ私の企みに気づく頃かもしれません。なんか毎回誰かを紹介してるなって。
そしてここでもnaeさんという方を紹介しています。ただし今回は妻のバースデーカードを買った話の中に登場する形にさせてもらいました。シリーズ通していろんな紹介のパターンを試しています。密かな企みポイントです。
誕生日プレゼントのメインがバースデーカード? と意外性のある書き出しなので、これもなぞ提示型ですね。読むとこのカードがいかに特別なものであるかが分かる話になっています。
それとこの記事は、ひとつ前の記事と少しだけ関連があります。
アートと時間に関する考察です。
ひとつ前の記事で「美術品」について、こんな考察をしました。
自分の知らない過去の時間がここには封じ込められている
そしてこの記事では、こんなことを書きました。
一針一針、糸を編みこみ、時間を編みこんで、このカードは作られた
明らかに前の記事から影響を受けてます。これが「シリーズ」の面白さであり、企みポイントです。誰も気づかなくても、自分が楽しいからいいです。
あともう一つ。
この記事では、導入部のあと2か月前にポンっと話が飛んでいます。この時間を飛ぶ感覚が好きで、私はよく使っています。映画的な手法で、場面転換や、ここぞという時に使うと効果的です。これも企みポイントに入るかな。
|君は僕の友だちだから|
シリーズをまとめる記事です。最後はこの記事を書こうと初めから決めてました。このゴールを見据えながら一つひとつの記事を書いたというのが、本当のところです。そんなの誰も分かるわけないですよね。誰も気づく必要のない私だけの密かなひそかな企みポイントです。
この記事にはあまり解説を加えたくありません。それだけ大切な記事です。
でもひとつだけ。
実はこの記事のラストには、当初載せようとしたバージョンがあります。ちゃんと完成してました。一般受けするのはこっち。たぶんいつもならこちらを載せたと思います。でも、書き直したものを決定稿として投稿しました。
そうじゃなくて、そうじゃなくてと何度もつぶやきながら書き直しました。
内容は同じです。でも雰囲気が違います。
その違いが私の伝えたいメッセージだと思ってくれるとうれしいです。
読み比べてみますか?
◇
ここまで長い長い記事を読んでもらって、ありがとうございました。
最後に2つのバージョンを載せて、この記事の終りとさせてもらいます。
(「1年半前~分かり合えるのが友だちなら」まではどちらも同じです)
読んでない方のために。こちらからオリジナルが読めます ↓
* * *
【未公開バージョン】※本邦初公開です
1年半前noteを始めたとき、私はnoteの持つ可能性にわくわくしました。
ここに人がいる!きっと私が出会いたい人たちがいる!
ゆっくりと時間をかけて、いろんな話をして、そうやって生まれた1対1のつながりは、私にとって何より大事なものになりました。リアルの世界では話せないことも、ここでなら話せる気がします。分かり合えるのが友だちなら、いっそ友だちと呼んでしまいたい。
ブレイディさんの息子の言葉には、もうひとつ大切なことが隠されてることに私は気づきました。それはこんなメッセージです。
友だちなら 出来ることがある。友だちと呼ぶことで 始まる何かがある。
見えない壁をとっぱらって、ネットの世界に新しい関係が作れたらいいな。
【決定稿】
1年半前noteを始めたとき、私はnoteの持つ可能性にわくわくしました。
ここに人がいる!きっと私が出会いたい人たちがいる!
ゆっくりと時間をかけて、いろんな話をして、そうやって生まれた1対1のつながりは、私にとって何より大事なものになりました。リアルの世界では話せないことも、ここでなら話せる気がします。分かり合えるのが友だちなら、この関係はすでに友だちなのかもしれませんね。
◇
ブレイディさんの息子の言葉から、私はこんなことを思ったのです。
友だちなら、出来ることがある
手を差し伸べることができる、一緒に悩むことができる、励ますことができる、そして一緒に笑うことができる。
お互いがお互いを思うことで成り立つのが、友だちという関係です。
私はそんな関係を作ってこれたかな。
そうであったらいいな。 君は僕の友だちだから。
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