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第30回_批評!「箱男」(2024)_2024.8.29

片倉洸一の耽楽的音声記録
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27年ぶりに映画化実現!という文句に惹かれて昨日レイトショーで鑑賞した映画について素人が批評を述べます。

1:映画「箱男」(石井岳龍監督)の内容批評
・「箱男」を観て―ネタバレ配慮一切なく語ります。
・原作の多義性は色々損なわれているなど問題あるが、そんなのも関係ないくらいの結末のひどさ
・鑑賞後「ひどい」連呼して帰宅
・細かな指摘点―音楽が合ってない、時代背景の整合性のなさ、無駄な登場人物の増加…安部公房の「娯楽作にしてほしい」を誤解した結果の半端な出来。
・「SNS社会を予見」という浅はかな解釈―現代SNSが促進するものに対して箱男の求めるものを考えてみれば?SNSは固有性、承認、顕示的浪費を促進する。時代はとっくに箱男を通過してるのでは。

2:原作「箱男」の良さを再検分
・関係の反転―見る、見られる 書く、書かれる オリジナル、コピー
※偽医者の結末が描かれた点は映画の数少ない良さ。
・当時萌芽してきたポスト構造主義、ポストモダニズムの思想を体現した「箱男」―ロラン・バルトの「作者の死」、オリジナルとコピーの反転、デリダの思想のような脱中心化などを文学で表現した作品と言えそう。
・「箱男とはだれか?」に対する態度の違い―原作はあくまで多義的でオープンエンド。「手掛かりが多ければ、真相もその手掛かりの数だけ存在していいわけだ」
一方、映画は最低のやり方。あまりにも古臭すぎて、逆に現在何も知らない人間が見たら新しいと勘違いしてしまうような結論を投げっぱなし。
・初期衝動だけで出てきたっきりの監督の限度を見た。

いい加減、文学作品の映画化という企画自体がつまらないコメディという事に気づいた方がいいぞ。

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