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「ショートショート」白花のガンマン ②

白花(シラハ)美由(みゆ)は一つのルールがある。いや。作ったが正しい。作ったルールはだいたい3日坊主か斜め上を行く。しかし、彼女は今までそれにすら気づけないか気づいても気づいていないふりをしている。

今日もお気に入りのジーンズにピンクのニット。
時間がないからと短時間の顔面工事。
どうせ、仕事してたら汗で決壊するしと言うのが彼女の言い訳である。

出勤前にいつものコンビニへ。
野菜ジュースにチョコラbb。これが白花のモーニングセットである。本当はリポDかモンスターを飲みたいが、チョコラbbが女の子っぽいと言うことからチョコラbbにしている。

いつもの外人さんの店員。

お会計を渡す。
お釣りを手渡しされる。

ありがとうございました。
アリガトウゴザイマシタ。

そう言うと足軽にコンビニを出た。
「今日もやってやったぜ」
野菜ジュースにストローを刺しチューチューと吸いながら足取り軽く店へと向かう。

そう。彼女はありがとうの早打ちガンマンだ。

なぜ、自称そう名乗っているかと言うと、彼女は気持ちが良いことが好きなのだ。カラーリングにきっちり揃えられたボブヘアー後の美容院。
レモンサワー2.5杯飲んだくらいのほろ酔い気分。
休みの前夜の爆食い。白花は自分が満足になる事をこよなく愛し生きる上での軸としていた。

しかし、彼女も駆け出しの社会人。そうそう財布の中身は膨れてはいない。毎日カラーリングボブも出来ないし、毎日居酒屋にも行けない。

やれやれと考えていた時に店のウエイトレスが手が空いてなく変わりにレジ打ちをした際にお客さんに手渡しでお釣りを渡しありがとうございましたっと言った。その時、彼女に電流が走った。

ははーん。コスパ最強じゃん。

このお客さんがお釣りを渡す前に私にありがとうって言ってくれたら嬉しい。っと言うことは逆に私がお客さんの立場なら私からありがとうって言ったら嬉しいはずだ。店員が嬉しいと思ってくれたら私は気持ちがいい。グヘヘ。グジュリ。

その帰り、家の近くのコンビニへ。
朝いる外人さんのコンビニ定員が夜勤入りしたばかりのようだった。

本日発売のファッション誌をとる。
レジに行く間に咳払いを2回。
彼女曰く弾を込めたみたいだ。

ターゲットはホットスナックをフライヤーに入れている最中だった。

白花に気づいた店員は事務的にバーコードを読み取り860円です。っと言って来た。

1000円を渡し、お釣りを手渡し。その合図がコルセットから銃を抜くタイミングだった。

ありがとうございます。
アリガトウゴザイマシタ。

キョトンとする外人さんコンビニ定員。
やってやったぜ顔の白花。

外人さんコンビニ定員に背を向け自動ドアをくぐる。
その後の心が軽くなる感覚。一生懸命に働いてるくれる外人さんコンビニ定員に感謝だわ。あー何て気持ちが良いのでしょう。白花は感謝に下心のスパイスを加えられていることに気づかず気持ちよく家路に着いた。

一度快感を得てしまうと歯止めが効かないのが白花である。

次の日の朝もモーニングセット購入後も外人さんコンビニ定員をありがとうございますで射抜き外人さんコンビニ定員がいない時は他の店員も射抜いた。

初めは同じタイミングでありがとうございます。とアリガトウゴザイマシタ。が重なってあたふたしたが、だんだん気を利かせた外人さんコンビニ定員が待ってくれる様になった。それにすら気づかないのが白花で、毎日満足そうにやってやったぜで野菜ジュースをチューチュー。その後のストローをフッ。気分はガンマンであった。

それから、外人さんコンビニ定員に何発浴びせたか数えきれない程経ったある日。

仕事帰りにいつもの様に射抜いてやるぞっと外人さんコンビニ定員を訪ねコンビニにより、エクレアとコーヒーを手にとりレジへと向かった。

レジにはいつもだったら休みの筈のコンビニ定員がおり、いつもいる筈の外人さんコンビニ定員がいない様だった。休憩か。チェっだぜっと思っていると、そのコンビニ定員があっと気づきレシートと一緒に小さなメモ用紙を渡してくれた。

「アルバから預かって渡して欲しいって言われたので。」

そう言うと私の後ろに並ぶ男性のお客さんにどうぞと言い接客を始めた。

私は外に出ると家の方へ歩きながら小さなメモ用紙を開けた。

メモには「アナタのありがとうわウサンクサイ。デモうれしかた。アリガトウゴザイマシタ。あるば」

っと書かれていた。

メモ用紙を見た白花はメモ用紙を折り目に沿って綺麗に畳み、財布の中のお守りの横に入れた。

次の日の朝、いつもの様にコンビニ行った。
野菜ジュースにチョコラbb。
レジに持って行くと研修生っと書かれた若い女性の外国人が不慣れ手つきでレジを操作していた。

1000円渡すと、小銭を間違えない様に1枚1枚数えている。

女性外人さんコンビニ定員はレシートを取り、小銭とレシートを不慣れに両手で持ち白花に渡す。

アリマトウゴザマスタ。
ありがとうございます。

お釣りとレシートを両手で受け取るとコンビニを出て野菜ジュースにストローを刺しチューチューと職場へ向かった。


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たのし
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