日本にまだない「探究型の中学」。 小5〜中学生対象のラーンネット・エッジが入学者募集
23年前に神戸にマイクロスクールを立ち上げ、子どもたちとの探究学習に取り組んできたラーンネット・グローバルスクール。そのラーンネットが、小5〜中学生を対象とした新しい探究型スクール「ラーンネット・エッジ」を2020年4月に本開校します。
2020年4月に入学を希望する方はもちろん、”まだ入学する年齢ではないけど、面白い中学を探している人”や”保護者ではないけど、自分たちで探究型スクールをつくってみたい人”を集めて、新スクールラーンネット・エッジの説明会が9/8(日)に神戸で行われます。
そもそもラーンネット・エッジってどういう学校なんだろう?いったい何が新しいの? 学校を立ち上げ中のラーンネットスタッフ、駒崎さんと奥村さんに話を聞いてみました。
ー ラーンネット・エッジという探究型スクールを新しく立ち上げられていると聞きましたが、どういう学校なんでしょう?
駒崎:中学校というものを再構成してみたいと、私たちは考えています。今って、高校が大学の受験予備校化しているんですよね。「塾に行かずに大学に行けますよ」みたいなことをアピールしている高校もあって。で、そういう高校に入る受験勉強のためのつなぎの期間みたいに、中学校がなってしまっている。エネルギーを部活で発散させて抑えながら、高校受験の勉強をさせて、すごいプレッシャーのかかった世界に中学校がなっているなと感じていて。
でも子どもにとって、10代前半っていうのは体も心も成長するすごい大事な時期のはずなんです。そういう大事な時期の成長を、もっとちゃんと支えていけないかと思っているんです。
ー 中学生をメイン対象として受け入れているスクールだそうですが、カリキュラムはどのようなものを行うのですか?
駒崎:最も特徴的なのは、「マジ探究」っていう本人が得意なこと、やりたいことを本気でやる時間が、午後に毎日あることです。探究型スクールでもそういったマイプロジェクトの時間は週1程度のところが多いですが、マジ探究の時間が Learnnet Edgeには毎日あります。
また午前中は、さまざまな学問領域を横断して教養を身につけていく、リベラルアーツ的な科目を行います。外部講師の方を13人ほど招いていて、たとえば横浜の知窓学舎の矢萩さんには「自由への教養」という科目を担当してもらっています。最近起きている時事ニュースをみんなで読み、記事にタイトルをつけてみたり、自分の意見をディスカッションしたりする。各自が持っている認知バイアスをどう明らかにしていくか、ものの考え方をどう論理的にしていくかなどを対話の中で学んでいきます。
あと国語や数学など、いわゆる通常の学校で行う知識供給型の授業みたいなものは全くありません。スタディサプリなど自学できる教育サービスが今はいろいろあるので、必要であれば各自でやってくださいねというスタンスです。 ラーンネット・エッジでは、ここに通学してやる意味があることに絞って、カリキュラムを作っています。
ー とても面白そうですが、誰でもに合うわけではないかもしれませんね。どのような子どもが向いているのでしょう?
駒崎:アドミッションポリシーを5つ挙げているのですが、「探究したいテーマが 1 つ以上ある」ことが1番のポイントです。毎日ある「マジ探究」の時間も、やりたいことがある子にとってはすごく楽しい。でも自分でやりたいことがない子にとってはすごく辛い時間になってしまう。
他には、「誰かと一緒に物事を作り上げることに価値を感じられる」「友達やナビゲータとコミュニケーションがとれる」「能動的に必要な情報や人にアクセスしようとする」「学習進度の管理が自らできる」などです。
今年の4月からプレ開校していて、京都・大阪・神戸の子どもたちが通ってくれています。今年度はほとんどがラーンネット外部出身の子ですが、今後はラーンネットのフルスクール(小学部)から進学する内部生が半分、外部からの入学が半分を想定しています。「現在の勉強だけでは物足りない」「自分の好きなことをもっとやりたい」というような、積極的不登校と言えるような人たちも来てくれています。
ー 奥村さんは、お子さんが今年4月からラーンネット・エッジのプレ開校に通っていると聞きました。
奥村:娘はラーンネットに幼稚部・小学部と3歳から12歳まで通いました。ラーンネットでの学びを充分満喫したので、本人の希望もあり中学は地元の公立に行ってみたんです。先生や友人との関係も、学習面でも特に問題はなかったんですけど、だんだん学校に行くこと自体がつまらなくなってきたようなんですね。
話を聞いてみると、それまで当たり前にやってきた「自分で考える」ことや「自分から行動する」ということが、ラーンネット以外の学校では当たり前じゃないことに気づいたようでした。「公立に行ってみて良かった。これまでの環境がどんなに恵まれていたか分かったから。でもこの経験は1年で充分です」という本人の意思で、1期生としてラーンネット・エッジに入学しました。
入学してからの変化でいうと、穏やかで丁寧な彼女が戻ってきた、といえるかもしれません。娘は自分のやりたいことがはっきりあるので、ラーンネット・エッジではそこに時間を充分使えることにとても満足しているようです。また、午前中のカリキュラムにある「アート」や「自由への教養」などの時間も自分自身との対話の時間になっているのではないかと思います。
色んなことをギュウギュウ押し込まれる場所ではなく、自分の時間を何につかうのか、自分で選択できる。時間を自分で紡いでいるような感覚があるので、落ち着いて楽しく過ごしていると思います。「休みいらんわー、早くエッジ始まったらいいのにー」とよく言っています。子どもも大人も色んな個性の人たちがいるスクールの環境が面白いようです。
ー 最後に、入学を検討している親御さん・お子さんへのメッセージがあればお願いします。
駒崎:「自分をもっと知りたい」という人は、ラーンネット・エッジにぴったり来るんじゃないかと思います。偏差値とか相対的な位置付けだけで、人と比べて生きるって苦しいと思うんですよ。自分は何が好きなんだろう、何にどんな感情を抱くんだろう、そういうことが知りたい人、自分自身を大切にしたい人に、この学校に来てほしいかな。
このスクールは、安心して自分を出せる場所になってきていると思うし、それをこれからも続けていきたい。来年入学じゃなくても、面白い中学校を探している小3〜4の親御さんなども、ちょっと早めに見にきてもらって検討してもらえたらと思います。
奥村:誰にでもフィットするカリキュラムかどうかは分からないし、日本中の中学がみんなこうなったらいいとも思ってないです。けど私たちは、中学生の年頃の子がこういうことを学んで、こんな風に過ごすことができたら本当にいいよね、と考えて環境を作っている。このスクールでしかできないことをみんなでやって、他に必要なことは自分で勉強してねというスタンスですけど、合う人が来てくれたら嬉しいです。
あと私たちは、自分たちがこれから500人規模の学校になっていこうとは思っていない。でも、こういう40人〜50人規模の学校が、日本中にもっとたくさんできたら面白そうと思ってるんです。なので親御さんだけじゃなくて、「こういう学校おもしろそう」「自分たちの地域でつくってみたいな」と考える人も説明会に来てくれたらいいなと思っています。
(1番右が駒崎さん、1番左が奥村さん。ミレニアムスクールの先生たちと)
2022年に取材した、ラーンネット・エッジについての記事はこちら。
ラーンネット・エッジについての最新情報は、下記よりご覧ください。