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【営業担当者向け】ヒアリングフレームワーク「BANT」とは?

(※この記事は2024年9月17日に更新されました)

BANTは、BtoBマーケティングや営業戦略において顧客にヒアリングをする際に活用される基本的なヒアリング項目のフレームワークです。
BANTを導入することで受注の確度を測れるようになり、案件の管理がしやすくなります。
今回の記事では、BANTの定義、活用法、聞き方、注意点などについてご紹介いたします。


BANTの定義

『BANT(読み方:バント)』とは、『Budget(予算)』『Authority(決裁権)』『Needs(ニーズ・需要)』『Time frame(導入時期)』の頭文字を取った略語で、法人営業の担当者が顧客に質問するときの営業ヒアリングフレームワークとして活用され、受注の確度を判断する指標になるものです。

BANTのBudget(予算)

『Budget(予算)』は、顧客が製品やサービスを導入するための予算のことです。
予算をどのくらい確保しているのか?を商談時に把握できれば、その予算に合わせて見積もりを調整するなど、有利に商談を進めることが可能となります。

BANTのAuthority(決裁権)

『Authority(決裁権)』は、製品やサービス導入の決裁権のことです。
製品やサービスの導入の決裁権がある担当者であれば、商談をスムーズに進めることができます。
うまくいけば、その場で、「購入する」と決めていただくこともできるでしょう。
『決裁権を持つ相手に営業すること』がBtoB営業では重要となります。
決裁権を持つ相手に直接営業できるか、できないかで、受注までのリードタイムは大きく左右されます。

BANTのNeeds(ニーズ)

『Needs(ニーズ・需要)』は、一般的な定義では「顧客の欲しているもの・こと」ですが、BANTでは、組織的なニーズに成長しているかどうか?を意味します。

「組織的なニーズ」とは、ニーズが個人レベルか、組織レベルか、のことです。
担当者が「独断」で「この製品を購入したい」と検討しているレベルなのか?
ある部門で検討しているレベルなのか?
それとも会社全体で検討しているレベルなのか?

個人的なレベルであれば、仮に商談が進んだとしても、組織的に導入を反対される可能性があるため、なかなか受注に至りません。

逆に全社的に検討されている場合は、関係者全員で前向きに検討されるため、受注となる可能性が高いといえます。

BANTのTime frame(導入時期)

『Time frame(導入時期)』は、商品・サービスの導入希望・予定日のことをいいます。
顧客が希望する具体的な導入時期を知っておけば、その顧客に対する営業の優先度を調整できます。

例えば、早い段階での導入を希望している顧客ならば、集中的なクロージングと営業フォローが必要となり、営業の優先度も高くなります。
そうでない場合は、継続的なフォローをしつつも、時期を見ながらクロージングしていく必要があり、営業の優先度はやや低くなります。

このように、導入時期が早いか、遅いかで営業のリソースを振り分けることができるようになります。

以上がBANTの各項目の概要です。
これらを組み合わせて総合的に受注確度を判断していきます。

BANTの活用方法

BANT条件として使う

BANT条件とは、商談の確度を判断するときの社内条件のことを言います。
BANT条件を定めることで、具体的にどんな条件を満たせば確度が高いといえるのかを明確にできます。
例えば、ある会社では次の3点を満たした商談を高確度とみなし、インサイドセールスからフィールドセールスに商談を引き継ぐ社内ルールを定めています。

 Budget(予算):既に概算を提示しており、お客様に予算化の意思がある
 Needs(必要性):組織的なニーズが顕在化している
 Time frame(時期):お客様は1年以内に発注する予定である

BANT条件は社内事情により自由にカスタマイズできます。
例えばSEに商談を同席させる条件として使ったり、予算にしきい値を設定して商談の優先度をランク付けするなど、様々な活用ができます。

商談攻略のために使う

BANTを活用したヒアリングをしていれば、商談のボトルネックがどこにあるのか把握しやすくなります。

例えば、Aさんが取り組んでいる商談は組織的なニーズが顕在化しているものの、今期必要な予算を確保できていない、Bさんが取り組んでいる商談はニーズもあるし予算も確保できているが、お会いしている窓口のお客様に決裁権がない、といった具合です。

前者であれば、来期に予算化をしてもらうためのスケジュール案をつくる。
後者であれば、お客様との次回打合せで決裁権をもっている役員の同席を打診する。
といったように、BANTのヒアリング情報を起点としたアクションプランを立てることが可能です。

聞き方

まずはN

N(必要性)は一番先に把握すべき情報です。
ポイントは表面的な「〇〇したい」という情報を確認するだけではなく、お客様はなぜそうしたいのかという背景を深堀りすることです。

例えば、現在利用しているサーバーの保守サービスが終了すると発表されたから、メーカーに代わり保守してくれる業者をお客様が探しているとします。
このとき保守延長以外の選択肢(最新のサーバーに入れ替えする等)を取らない理由をお尋ねすることで、お客様のニーズをもう一段深く掘ることができます。

また、顧客ニーズを深く理解していると示すことで「この人はうちのことを分かってくれているんだな」とお客様にポジティブな印象を与えることもできます。
お客様との信頼関係が築けていないうちは、ニーズをできるだけ深く把握することに集中し、信頼を稼ぐことが大事です。
もしあなたが聞き方に不安があるとしたら、ベテラン営業に同行してもらいヒアリングの仕方を見せてもらいましょう。
ニーズ把握に成功すれば、一般的に聞きにくいとされるB(予算)やA(決裁権)を聞くハードルを下げることができます。
ニーズ把握はお客様の信頼獲得の基礎となります。BANTの中で最も大事です。

Nの次にT。段取りを示す

「導入時期はいつ頃をお考えですか?」と確認するだけでは少し勿体ないです。
このときセットで逆算したスケジュール案を用意しておくのが望ましいです。

T(時期)のヒアリングは、段取り上手をアピールするチャンスです(ここも信頼獲得ポイントです)。
まずは最短スケジュールのステップを一枚ペラで事前に作っておいて、お客様にGiveしましょう。
いつまでに何をしなくてはいけないのか、よく分かっていないお客様もたくさんいらっしゃいます。
あなたが段取りをガイドしてあげることで、お客様は「いついつに導入する必要があるんだな」と気づくことも多くあります。

最後にBとA。直球で聞かないほうがいい

B(予算)と決裁権(A)は、聞き方が直接的にならないよう、すこし工夫しましょう。
例えば、予算であれば「金額的に全く的外れの提案をお持ちするのは失礼にあたるため」と枕詞をつけるとよいです。
決裁権であれば、いきなり誰ですか?とは聞きづらいので「稟議の承認プロセスについて教えていただけませんか?」から入っていくとスムーズです。
前提としてニーズを理解しお客様の信頼をある程度得ていること、導入時期について会話できていることは抑えておきましょう。

注意点

Bはお客様も分かってないことが多い

比較対象の基準となる見積もりを過去に取得していない。
もしくは、使える予算を上司から聞かされていない。
といったように、予算についてお客様がそもそも把握できていないケースはよく有ります。

特に窓口のお客様が管理職であるかどうかはポイントです。
管理職でなければ予算管理業務を任されていないことが多いため、聞かれても答えられないのは普通でしょう。
担当者が予算を把握していない場合、金額を提示するタイミングで上司を同席させてくる場合が多いです。
同席させてこない場合、予算を管理している方は誰なのか聞いたうえで、大事なことなので説明の機会をいただけないかと打診しましょう。

Aをおさえにいくときにありがちなこと

前述の通り、A(決裁権)を持つ人に直接アプローチできていることは理想ですが、そうならない商談は多いです。
このとき、決裁権を持つ人にアプローチをかけることが目的化してしまうとよくないです。
今お会いしている担当者をよく見るべきです。会えないのは何故でしょう?
担当者と信頼関係を築けてますでしょうか?
Yesなら「一度しっかりとご説明したいので」と同席を頼みましょう。
Noなら、担当者は上司にあなたを会わせたくないと思っている可能性が高いです。
目の前の担当者に信頼してもらうことがAを抑えるうえで重要です。
決裁者に会うことなく決まる商談もたくさんあります。
目の前の担当者をよく見ましょう。

まとめ

BANTを活用することで受注の確度を測りやすくなり、次のアクションを考える際に役に立ちます。
この中で最も大事なのはN(必要性)です。
ニーズを理解していることを示すことでお客様との信頼を育んでいきましょう。
筆者としては、N→T→B→Aの順で確認していくのがおすすめです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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