谷郁雄の詩のノート46
街は日々めまぐるしく変わり続けます。なじみの店が閉店してしまったり、新しい店がオープンしたりと、いつもどこかで工事中。街も細胞分裂をくり返しながら生きているのですね。そんな中、高円寺の高架下では、讃岐うどんの店がオープンの準備を進めています。やったー! うどん好きのぼくは、嬉しくて、ニヤニヤしてしまいました。オープンの日のランチはうどんに決まりです。うどんをすする自分を思い浮かべながら、回転寿司へと向かいます。インスタものぞいてみてください。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中)
「鳩」
紙の本
一冊分の重さだけ
ぼくの心は軽くなる
この本
きっと
いい本なのだ
鳩を抱くように
本を抱いて
これくださいと
レジの人に言う
「小さな声」
声が
小さい人も
心の中には
あふれるほどの
思いがある
その思いが
いつか世界を
変えるかもしれない
多くの人を
励ませるかもしれない
「姉妹」
妹に
すべての詩を
処分するようにと
言い残して
亡くなった
エミリ・ディキンスン
どうして
自分の手で
処分しなかったのか
燃やして
灰にすればよかったのに
妹に
詩の未来を
託したのだ
妹は
姉の詩を
燃やさなかった
いや
燃やせなかった
詩の中に
姉が
生きていたから
©Ikuo Tani 2024