
#熟成読書 17年物
先日つぶやいた、こちらの本。初版は2002年、今から17年前だ。
当然のことながら17年も経っていると、今読み返すと「古いな」と思う部分が出てくるし、題材的に正直「バブルの残り香」が鼻につく部分もある。ところがこの本、それ以上に「これ最近の傾向…先取りしてたんだ!」という部分が多く、驚きと共に読み耽ってしまった。
その「驚きの部分」を、キーワードを基にまとめてみたいと思う。
☆キラキラ女子✨あるあるのアレって…?!
初めての人に会った時、「会社はどこですか」「お宅はどこですか」と名刺の交換をします(中略)。
住所が南青山になっていると、「南青山!この人は景気いいのかな」という先入観を抱きます。
それを一番よく知っているのは詐欺師です。
詐欺師は、「○○ホテルに泊まっていますから、ここへ電話して下さい」と必ず一流ホテルの名前を挙げます。
― 9.ステイタスのあるところに住んで、偏見に負けない。
南青山…ちょっと前にナナメ上の感じで話題になりましたが(^^;、この本を出した時、著者の中谷氏は南青山に住んで10年位だったよう。
この部分を読んで軽い眩暈と共に脳裏をよぎったのは…キラキラSNS女子
”○○ホテルのアフタヌーンティーで女子会✨”
そう、この場合の「○○ホテル」は間違ってもアパホテルじゃない。
いや、アパホテルの中の飲食店って結構侮れないんだけど、この場合はそういうことじゃない。ヒルトンとかハイアットとか、まぁその辺りだ。
なんとこの手法、こんなにも古典的・原点回帰な伝家の宝刀の、目眩ましの術だったとは!!
どおりで・・・よく見たわ
☆ホテル住まいという概念
住むところはすべての原点です。
藤本義一さんが東京に泊まられる時は、ホテルニューオータニの同じ部屋をずっと使っていました(中略)。
日本にはまだ少ないですが、究極は、僕は年をとったら、ホテルに住んでもいいと考えています。
家を持つことにあまり興味がないのです。
― 21.家賃が高いは、幻想。少し離れても、それほど変わらない。
現在の中谷氏がどこにお住まいかは知りませんが、この方はホテル住まいと公言している(たぶん今も)。
☆超コンパクトワンルーム
この言葉、耳にしたことない方もいらっしゃるかと思う。
概要は
まとめ記事
この内容の、本の見出し
28.キッチンがなくても、まわりの店をキッチンにできる
29.レンタルビデオ店があれば、自分でライブラリーをそろえる必要はない
30.あらゆる荷物を減らすことができる
29.の、レンタルビデオ店⇒スマートフォンに置換かなと(^^;
28.の章の最後にはこう書かれている。
持たないシンプルライフをしよう。
今でこそ、そこここで聞かれる言葉だ。
が、もう一度書くが、こちら2002年初版本だ。
「断捨離」という言葉が生まれたのはどうやら2010年頃なので、やっぱり相当な「先取り」だ。
☆大学キャンパスの都心回帰
ちょっと古いけれど、本ほどは古くない(^^;、概要はこちらで
一方本では、「8.刺激がある」の章で
都会には刺激があります。
今大学がどんどん地方に移転していますが、これは間違いです。
言い切っちゃう?!
勉強している時は、あらゆることを体験しなくてはいけないし、情報を集めなくてはなりません。
それが刺激のないところに行ったらおしまいです(中略)。
大学が街なかにあるのは、あらゆる刺激がそれだけ存在するからいいわけです。
引用したネット記事の方では「利便性」という言葉を使っているけれど、内容としては同じ感じ。
早稲田大学は街なかにあるから早稲田大学であって、都会でない郊外に行ってしまったら、早稲田大学ではありません。
青山学院大学は青山にないとつまらないのです。
名指しでつまらないって言われたら、戻ってくるよね(ちなみに中谷氏の母校は早稲田大学)。
ま、こちらに関しては「先取り」「先見の明」というよりも、そもそも国策大失敗だよね、という事に尽きるんだろう。
ただこの往復の移転費用、全額ではないにせよ学費に上乗せされるんだよね?「なんちゃら寄付金」「かんちゃら特別金」とかいう名称で。
親としては堪りませんわ。
あとがき ― 時を超えて ―
自分が持っているこの本、奥付を見ると「第1版 第1刷」のもの。
そこから察するにたぶん初版の出版直後の購入とすると、ちょうど独り暮らしを始めた頃だ。
本の「12.行きつけのある街に、かならず住むようになる」をなぞるように、行きつけの飲食店のある街でひとり暮らしを始めた。
そこは結構な都会で、みんなに「家賃高いんじゃないの」と言われつつも決めて、そんな自分の背中を押されるようにこの本を読んだ。
ちなみに家賃は築年数次第で何とかなる。そしてそれも本に書いてある。
実際に暮らしてみて、「この選択は間違いじゃない」と思った私は結婚しても同じ街に住むことを選択し、今も住み続けている。
今回、たぶん結婚直後以来にこの本を読んだが、上述したような「先取り」部分の発見をはじめとして、当時とはまた違う読み方が出来て、とても楽しかった。
内容以前に言い回しが古臭く感じて、読み進められないものが結構な割合であることを考えると、小説やエッセイなどではなく、いわゆるハウツー本で、17年後もこうやって読める本はなかなか無いと思う。
そんな本をちゃんと「初版本」で押さえておくなんて、17年前の私もなかなかやるじゃん、とちょっと思ったりもする。
※文庫版も出ています。