ビビりを分解する〜台風10号への備えを例に〜
あなたのお住まいの地域の天候はいかがでしょうか?
台風本体の雨雲、台風による湿った空気の流れによる大雨、秋雨前線…
各地でいろんな要因で雨が降っています。
一方で「雨?」という地域もあります。
私事ですが、今日は通院日でして、人生初と言っていいくらいの大雨・冠水を経験し、帰宅しました。
そこでふと思ったことがあります。
そんな経緯で、災害への備えの感じ方は人それぞれだなぁ、つまり、「ビビり」具合はケースバイケースであり、難しいなぁと感じたことを今回まとめます。
ここでは、安易な言葉ではありますが、備えに対する不安な気持ちを一括して「ビビり」と表記することにします。
百聞は一見にしかず
実際に被災を経験したことのある方ほど、しんどい気持ちや苦労話があると思います。
その経験を糧に、備蓄なり、掃除なり、備えを進め、時には避難を選択することが頭に入っていることでしょう。
まさに「百聞は一見にしかず」です。
台風10号の背景
今回の台風は、話が複雑だと思っています。
とりあえず列挙すると、
・ノロノロ台風
・進路が読めない
・でもとりあえず日本列島に大ダメージとはわかる
・強い勢力の台風
・台風本体の雨雲以外の地域でも大雨
・交通、流通の乱れ(計画運休を含む)
・防災。そういえば「巨大地震注意」により防災意識がぐっと高まった
項目が多いですね。絡み合っています。
次からは本題の「ビビり」の種類を、分けて触れていきたいと思います。
1. 「巨大地震注意」発表により、防災への基礎意識が高まっている
日向灘を震源とする地震には、多くの方が動揺したのではないでしょうか?
水を購入したり、防災グッズの見直しをしたり。あるいはそのような報道の数が増えたり。
国民全員とは言いませんが、台風10号が発生する前に、多くの人々が基本的な防災意識が身につく事件(地震)があったという事実を強調しておきます。いわゆる、日頃からの備えが浸透した、ということです。
2. 日頃からの備えのベースの上に、差し迫る災害への備えを各々がしている
そして、台風10号が発生しました。
毎日、台風の予想進路は大きく変わり、なおかつ進路が定まらないという曲者です。
これには精神的に参っています。
・「えっ、来るの?」
・「飛行機・新幹線・電車は?」
・「立てていた予定(出張を含む)はどうなるの?」
・「雨、やばいんですけど…」
・「風も出てきたんですけど…」
・「…土砂災害警戒情報。」
そりゃあ不安になりますよね。
個人的には気象予報の時間になると緊張しています。
備えとして共通していることは、情報収集です。
ですが、モノ・ヒトの備えに対しては人それぞれ、ということをここでは強調します。つまり、「なにを」「どのくらい」警戒するのかはその人の価値観や立場、地域によって変わる、ということです。
ですので、ここからはさらに「ビビり」を分解する必要があると思います。
3-1. 台風から離れた地域
台風上陸している地域に比べ、そうでない地域の方がこころに余裕があるのは想像しやすいことでしょう。
今回の台風の影響を受けない地域は少ないと思われますが、仮にまだ接近していない場所では災害への備えをする準備期間が残されています。
このタイプの「ビビり」の原因は、情報過多によるものであり、行動としては非常食を買いだめすることが考えられます。
さらに「ビビり」具合が低い場合、遠くに出かける判断をすることも考えられます。
表情としては、「怖いですねー」と発言しつつもどこか微笑んで話せる余裕を見せている気がします。テレビの街頭インタビューが極端な例です。
誰が悪いというわけではなく、環境が自然にそうさせているのだと思います。だから行政は積極的に呼びかけをし、商店では商品を販売し、市民は購入するサイクルが機能するはずです。
3-2. 台風本体の影響を受けている地域
こちらもある意味わかりやすいタイプかと思います。
安全第一、我が身の危険をいかに守るか。あの手この手を尽くして命を守ろうとすることでしょう。摂生したり、SNSでヘルプを出したり、そこまでではなくても家でおとなしく過ごしたり。
何に「ビビって」いるかに答えるならば、自然の猛威や自身の命の危うさ、と考えました。
鉄道や物流はストップ、それは命を危険から守るためです。暴風警報なら子どもたちも休校です。
報道も、記者が現場中継するのではなく、定点カメラや視聴者提供動画に切り替わります。もっと有事になると電話で情報を入手します。
問題は、次のタイプです。
3-3. 雨雲がかかり始めている地域・突発的に降っている地域
白か黒か、はっきりしないのは、非常に難しいです。(個人的に発達障害という理由から理解しにくいだけかもしれませんが。)
まずは一般市民。
「いつ」「どの段階で」身の安全を確保するのか、それは人それぞれになります。指針として警報などがありますが、過信から「この程度なら避難しなくていいや」と判断する人・場合があります。
雨が降り始めたばかりの頃に対策として買い物に出かけたら、帰るときには洪水で…なんてオチもあり得ます。「いや、どうしても断れない仕事があって…」と出社したものの、びしょ濡れで帰宅する場合も。
このとき、「ビビり」は両極端に分かれる気がします。安全意識が高い人・地域ほど避難所へ向かい、安全意識が本当に低ければ「ビビり」なんて皆無の域に達するのではないでしょうか?
あるいは、残念ながら災害に見舞われた状況では「助けてー!」と恐怖に陥るかもしれません。
次に行政側や管理職の立場です。
何が怖いって、それは世論からのバッシングです。
例えば、警報を出していなかったら。命を失ってしまう場合もあり、世間の目は鋭く「なぜだったのか?」と批判するのが日本です。
逆に、避難指示等を早々と出していたら。「人命優先してのことでした」と説明しても「ビビって(チキって)出しただけでしょ?」と市民から言われる始末。これ、私の実体験です。地域やその行政の人が特定されてしまうので伏せますが、後日の新聞にその旨報道されました。もう少し中立的に書くと、その新聞は「避難した人わずか◯%」とタイトルをつけました。
管理職になったことがないので具体性は衰えますが、適切な判断を下すことの難しさ、お察しします。例えば「計画運休」。これは一般的に世間の理解を得つつあるので、人命優先の決断をしているのなら、めげずに早めの対応を続けてもいいのかな?というのが個人的感想です。(つまり、仕事をサボリたいから、という理由じゃなかったらオッケーです。)
報道関係者は、行政や管理職の判断を、冷静に正確に伝えることでしょう。能登半島地震の際を例に挙げると、被災地ではない地域において、ほとんどの放送局が災害情報を発信していました。
ですが、視聴者は気が滅入り、そんな中1局だけエンタメを放送していました。そのときSNSで「ありがとう」の投稿が増え、話題になりました。「ビビり」ながらも息抜きが必要なことを明らかにした例です。
この例は、台風10号にも応用できると思います。定期的に台風情報を確認しつつ、するべきことに集中して過ごすのが、台風接近中の地域・それに付随する影響の地域の人ができることなのかもしれません。
まとめると:災害が起きないことを祈ります
今日、スマホが「避難指示」の速報で鳴りました。通院先で、です。私は市外へ通院していますので、すばやく帰宅しました。ですがやっぱりドキリとするものです。今回の内容に沿うなら「ビビり」ました。
先ほど台風の予想進路を見たところ、予報円は大きく、しかも重なっており、まだ迷走する模様です。
今回様々な「ビビり」を整理しましたが、どの「ビビり」であっても人間として正常な反応だと思っています。発達障害当事者として避けたいことは「ビビり」ではなく「混乱」です。みんなが混乱している様子を見ると自ずと混乱してしまいます。落ち着いて、冷静に、この台風10号を無事にやり過ごしたいものです。皆さまもどうぞご安全に、そして場面に応じた「ビビり」をどうぞ。