組織文化はクラフト。だから面白い。
組織文化をデザインするお仕事に携わるなかで、映像制作時代に感じていた「地道にひとつずつ、手づくりしていく感覚」が蘇ってきて、こんな言葉が思い浮かびました。
Culture is just like a craft.
実際は「組織文化って、クラフト感あるなぁ」と思っただけです(日本語で)。カッコつけて英語にしてスミマセン。
本記事では、私がインハウスデザイン組織の文化体験(Culture eXperience)をデザインする中で感じた見解を共有します。組織文化という概念は、働くすべての人に関わるものだと思います。この記事を通して、今まで意識しなかった方にも「組織文化って面白い」と感じてもらえたら嬉しいです。
組織文化とクラフトの共通点
さて、クラフトとは「機械による大量生産ではなく、手作業で手間暇かけた作品」だと思ってください。
そこには、自分と向き合う、人の温かさ、歴史、こだわり、一貫性と進化などの職人的な要素があります。
組織文化にも、クラフトと共通する要素があると感じます。というかもうほぼクラフトです。具体的にその大切な要素を挙げつつ比べてみましょう。
自分と向き合う
企業・組織の文化は、外からもってくるものではなく必ず内側(社内)から形成されるものです。そのためには、本当の自分(自社)と向き合う必要があります。深く向き合うことができれば心底大切にしている本質に辿り着いて、じんわりと文化が象られていきます。勝手なイメージかもですが、工房の職人も作品を作る時は自分自身と向き合いますよね。
人の温かさ
私は今の仕事で、デザインした文化を浸透させることも求められます。組織には100名強のメンバーが所属していますが、1対100で発信しても浸透していく感じはほとんどありません。なので、一人ひとりに声をかけるという風な泥臭いやり方で、1対1を意識して発信します。地道ですがこれが一番の近道だと実感しています。クラフト作品は、職人の手作業の温もりにより共感が生まれます。組織文化も、人とのつながりを育むことで共有することができるのではないかと思います。
歴史
組織文化とクラフトはどちらも、受け継がれる伝統や歴史を持ちます。組織の創始者や先人たちが築き上げた基盤の上に、新たなメンバーが自身のアイデンティティを追加していくことで、独自の文化が形成されていきます。結局、組織は人が集まってできる集団です。その集団から出てくる文化というものは、一人ひとりの個性やスキルから起こる行動の積み重ねなのです。
こだわり
組織文化をクラフトと捉えると、それはまさに職人的なプロセスです。クラフト作品は、職人の自己表現やこだわりが反映されたものです。同様に組織文化にも組織内のメンバーの自己表現やこだわりが組み込まれています。自身のアイデアや意見を発信し、個々の得意分野や関心を追求することで、多様性と創造性に満ちていくものだと感じています。
一貫性と進化
クラフト作品は、職人の手によって一貫して作られますが、同時に進化もしています。資源の乏しい日本では、「職人の技」が最先端のテクノロジーを支え、世界と戦う競争力にもなっています。組織文化も同様で、一貫性と進化のバランスが重要です。組織内での基本的な価値観や目標が一貫している一方で、環境や市場の変化に応じて柔軟に進化していくことで、組織文化は活力を保ちながら成長していきます。
余談メインのまとめ
組織文化とクラフトには共通点があります。組織文化のクラフト的な側面を活かすことで、メンバーは自己実現や創造性を追求し、共通の目標に向かって結束力を高めることができるでしょう。
という、それらしいことに結びつけつつ、なにより組織文化はクラフトのようなモノづくりであり、創造性に溢れていて、手ざわりや人間らしさがあって、なんだか面白いなぁと思うのです。
ここから余談です。
23年6月に発刊された「企業文化をデザインする(著:冨田 憲二)」では、組織文化を「気」という観点から説明しています。その説明に、震えるほど共感しました。
クリエイティブに携わる人たちは特に「元気」や「やる気」などの目に見えない精神的な部分への理解が深く、大事にしていると思います。納期ギリギリまで「やる気」待ちという先輩がたくさんいましたし、良い案が出ないから散歩いくというのが日常な世界だという認識です。
なのでクリエイティブ領域に携わる私は、目に見えないものをビジュアル化するというか、企業文化・組織文化のその効力をしっかりと発信していくことが使命のような気がしています。
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