あれは生き残りの日本兵だったのか?
これは実際に私が体験したお話です。
ある夏の夕暮れ。私は知り合いから譲ってもらったポンコツ軽自動車に乗って、車通りの少ない峠をこえようとしていました。
ヒグラシが、なにか懐かしいような、異空間に誘うような声で鳴き続けています。走り慣れた道でしたが、いつもと違うような不穏な感覚があり、ヒグラシのせいだと自分に言い聞かせていました。
上り坂で急に、眩しい夕焼けの逆光に見舞われ、私は目の上に手をかざしました。
赤い太陽光が目を突き、眩しい。
同時に、反対方向から一台の車が