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Photo by
tanukichi008
あの夜わたしは閉じ込められていたかもしれない
男なら誰しも、悪代官になってお姫さまの着物の帯をくるくると剥がす例のアレ、一度は夢みたことがあるのではないでしょうか。
私は中学生の多感な時期に「夢」にみました。
夢の中の自分は巨漢の悪代官。
薄暗い中世の塔の中で、着物をきたお姫様を帯をくるくると剥がし
その白くか細い身体の上に、大きな怪物のような私はのしかかりました。
お姫様はあらん限りのチカラを振り絞って抵抗しますが、男の、しかも怪物のように大きな身体の私のチカラには及びません。
静寂の闇の中に、興奮した私の荒い鼻息が響き、
「おやめください!」
必死に訴えるお姫様の声がこだまします。
「おやめください!おやめください!」
私はやめる気など全くありません。もう理性もありません。
同時に、なんとなく「夢」であることがわかっていました。
なんとか「夢」から覚めないよう、自分の息遣いと、目の前の美しい女性に全神経を集中させていました。
「おやめください!このまま続けたら、もう戻れなくなりますよ!」
ふと自分が選択を迫られていることに気がつきました。
目の前の快楽を求めて、やるか。
夢から覚めるために、やめるか。
一瞬迷った私に、彼女の言葉が続きます。
「本当にもう戻れなくなりますよ!」
必死に訴える彼女の言葉で我にかえった私は、「やめる」ことを選びます。
そして、ふと目が覚めたのです。
「本当にもう戻れなくなりますよ!」
この時の叫び声が今でも頭の中に残っています。
「夢」の中の悪代官ではなく、現実の私に向けた言葉の残像。
あの夜わたしが選択を間違えば、「夢」の中に閉じ込められていたのかもしれません。
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これは怖くないですか?人が嫌がることはやめましょう。
おしまい。