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【2025年2月読書記録】
第2弾。
前回はこちら。
2月中に読んだ本を無理やりアウトプットすることで、さらに脳へと定着させようという自己満足な企画です。
もしかしたら、皆さんも興味が湧く本があるかも……?
読書はイイゾ。
○『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』(著:鈴木博毅)
名著『失敗の本質』をわかりやすく解説してくれる入門本。
元の本も読んだことあるが、私レベルの読解力では意味がさっぱり分からず何の役にも立たなかったので、一般読者はこちらで十分と思われる。
隠蔽的な体質や、改革を主導する立場の者に対して、日本的企業は非常に厳しい。
異分子を排除する方向へと動きがちで、組織がさらに硬直化する悪循環を生み出す。
これは与えられた任務を粛々とこなす人間が評価される人事評価体制の影響であり、システムの変革者を評価していないから。
そもそも目指すべき目標地点や、人事制度そのものに欠陥があるかを精査する必要がある。
指針としているもの自体が誤っていれば、以降の戦術は無意味なものとなる。
学びの多い良書で、『失敗の科学』(著:マシュー・サイド)と併せて読めば、組織心理学の大方は学べるのではないかと思う。
○『人新世の「資本論」』(著:斎藤幸平)
行き過ぎた消費資本主義による環境破壊に対し、マルクスの思想から示唆を与える本。
記事にもしている。
これまではグローバルサウスに不当な環境負荷の押し付けをしてきたが、グローバルサウスまでも成長をし、押し付ける場所がなくなってしまった。
このままだと、地球環境は不可逆的な打撃を受けてしまう。
現状の生活を維持したままで、この環境危機を乗り越えられる望みは限りなく薄い。
そうなると、我々は究極的に「脱成長」を目指さなければならない。
無意味な価値を生み出す労働に従事する人々の無力感についても論じており、あまりにもこの世界は成長しすぎてしまったと思わされる一冊。
でも私は自分が死ぬまで経済成長すると思っているので、株式に投資している……。
○『描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方』(著:週刊少年ジャンプ編集部)
プロ無職(漫画描き)である友人から勧められて読んだ本。
想像以上に面白かった。
記事にもしている。
一部、漫画家しか関係ない個所(デジタル作画のやり方など)もあるが、創作者にとって学びが多い本であることは間違いない。
一流の漫画家たちが創作論を書いてくれており、ネットに転がる何者でもない素人の創作論よりはるかに説得力がある。
私も結構、ネタとして創作論を話してるけどね……。
書きやすいんだもん……。
○『フロー体験入門―楽しみと創造の心理学』(著:ミハイ・チクセントミハイ)
「ポジティブ心理学」の創始者である著者のフロー入門本。
明確なフィードバックがあり、スキルとチャレンジが適正なものであるときに、その作業へと没頭する「フロー」が発生する。
フローは究極の没頭状態であり、自我の喪失と時間感覚の歪みが起こるため、川の流れという意味で「フロー」と名付けられた。
活動自体が自己目的的になれば、何をしていてもその人は「フロー」にアクセスでき、幸福度が飛躍的に上昇する。
逆に目標がなく、何のためにやっているのか分からない物事(ブルシット・ジョブなど)は、著しく心理的エントロピー(乱雑さ)を招き、不安や鬱症状などへと直結する。
とても興味深かったので、今度はより専門的な『フロー体験 喜びの現象学』も紐解いてみたい。
余談だが、専門書は高いのでメルカリでしっかりと探した方がいい。
平気で3,000円くらいするので。
○『幸福について』(著:アルトゥール・ショーペンハウアー)
ニーチェの『ツァラトゥストラ』『善悪の彼岸』を読もうと思っていたので、彼が影響を受けたショーペンハウアーを先に齧っておくかということで読んでみた。
著者の本だと『読書について』は既読。
ショーペンハウアーはストア派に影響を受けており、『生の短さについて』(著:セネカ)が愛読書の私とはそもそも相性がいい。
彼曰く、もっとも幸せな人生とは精神的にも肉体的にも苦痛がない人生を送ることであり、活気や喜びを積極的に求める人生ではないとのこと。
これは非常に納得のできる言説であり、世の中の無職戦士(または無職志望者)にとっても首肯できるのではないか?
現代人は押しつけられたモノサシに影響されて、自分の幸福を定義してしまっているが、内省することで世の中の風潮と己の感情との間のズレを確認できると思う。
また彼は、創作こそが直接的な幸せを与えてくれるものであると言及しており、やはり生産活動は大事なのだと再確認した。
ショーペンハウアーは「静寂と閑暇」を至高の善としているため、閑暇の時間に何をするかというのは至上命題のひとつなのだろう。
○『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(著:森岡毅)
現代のファスト教養を痛烈に批判した『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(著:レジ―)をオーディブルで聞いた際、本当の教養書の一つとして挙がっていた本。
著者の本だと『マーケティングとは「組織革命」である。』に強い感銘を受けていたので、本作も読んでみた。
何よりも消費者視点が最重要であり、消費者が何を求めているのかをマーケターは常に考える必要がある。
良いマーケターは特定の商材に対する消費者ニーズを追求するだけでなく、根底に流れる人間の欲望や価値観にも精通し、人間の行動をリバースエンジニアリングする姿勢を忘れない。
マーケターの使命は商品が持つブランドイメージを消費者へと「貯金」することであり、これが積み重なることで購買が行われる。
「いかにしてブランドイメージを築き上げるか?」は大事な視点であり、百合SRPGを作っている私にも示唆を与えてくれた。
マーケティングの入門として良い本だが、私みたいな組織から抜けようとしている人向けではなく、企業のマーケティングに携わる人向けの内容ではある。
○『ドリルを売るには穴を売れ』(著:佐藤義典)
マーケティングの入門本としてよく名前が上がる本。
イタリアンレストランの復活劇をサブストーリーとして展開し、マーケティングの基本をとても分かりやすく教えてくれる。
今回読んだマーケティング関連の本だと、本書が一番読みやすく、企業・個人の両方において使える部分がある。
「顧客の価値を考えて訴求する」「差別化をしないと売れない」など定番の考えもありながら、「おっ?」という視点もあった。
その一つが「争っているのは同業他社だけではない」ということ。
私に置き換えると、百合SRPGを作っており、競合しているのは「百合作品」「SRPG作品」だとばかり思っていたが、よくよく考えると「ゲーム」「小説」「漫画」「アニメ」「映画」などの「娯楽」全部と競合していることに気づいた。
そうなると、それらを押しのけるほどに「やってみたい!」と思わせなければいけないという胃が重くなるような気分になるとともに、「やってやるぞ!」という気分にもなれた。
○『シュガーマンのマーケティング30の法則』(著:ジョセフ・シュガーマン)
色々なインフルエンサーが推しまくってる本。
さすが読み継がれるだけのことはあって、軽妙な語り口ながら本質を捉えまくっている。
対面販売に関する示唆に富んでおり、確かにこれはモノを販売する人にとってとんでもなく価値がある内容だと思う。
私も創作者として作品を売り込む必要があるわけだが、ここに書かれたテクニックで「すでに使っているもの」「効果がありそうだと思っていたが使っていないもの」「全然知らなかったもの」があり、今後は色々と利用していきたい。
ここに詳しい内容を書いてしまうと「コイツ、マーケティングしてるな……」とすぐにバレそうなので書かない。
自分で読んでみて、納得してほしい。
間違いなくお金の無駄にはならない一冊で、今月一番の当たり本だった。
おわりに
今月は8冊を読了しました。
暇だったんですかね?
月5冊くらいのペースで読めればいいと思います。