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揺らぐ美力
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白黒はっきりしないことをグレーという風に色で表現しますね。
それは白から黒の「グラデーション」で、グレーにも濃淡があります。
今月のレッスン課題は「フォー・カマイユ」。
camaïeu/ カマイユとはフランス語で単色使いという意味。
それに”faux/ フォー”が付くと、単色使いから少し調子が外れた
同系色のグラデーションという色使いを意味します。
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今回使ったリシアンサス(トルコキキョウ)はブラックバードという品種で、一本から沢山の花を付けるスプレイ咲きなのですが、濃いパープルから淡い色のグラデーションで咲くのです。
一目惚れして即買いでした。(上画像)
フォー・カマイユのポイントとしては、調子を外す、ズラすということです。
単色使いは変化や躍動感に乏しい。
そこへ、色に幅を持ってリズムを付けていく感覚ですが、それはコントラストではなくグラデーションで緩やかに動きを出すこと。
今回の場合は、青みがかったパープルを基調として、そこから少し黄色味へ色をふってみるとか、黒へ近づかせてみたりと、色を揺さぶってみる。
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これは18世紀のヨーロッパで画家たちがよく使った色技法です。
現在ではインテリアやファッションの世界でも好んで使われています。
自然界はゆらいでいるし、人間もゆらいでいる。
そのゆらぎを色で表現するのがフォー・カマイユ。
自然と心に馴染む配色なのです。
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花は自然界が生んだ色をしているので、比較的グラデーションが作りやすいのです。
ちょっと色調を変えてもそれが美しいハーモニーになってしまう。
夏から秋へ、揺れ動く季節と心にしっとり寄り添ってくれるリシアンサス。
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揺れ動くから、古くなった荷を振り落とし、より自由に軽やかに生きて行ける。
Liberté et légèreté, c'est faux camaïeu.
9月のレッスン予約は終了しました。
10月のレッスンはオータムローズ。