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ガールズプラネット999から見るオーディション番組のマーケティング戦略

普段はUIやwebデザインついての内容をメインで書いておりますが、今回はいつもと違った内容の記事を書いてみようと思います。


30過ぎて突然k-popにハマった自分の行動や思考から、最近人気のオーディション番組のマーケティング戦略について考察してみました。

リアルタイムではないですが、私はsixteenやプデュ、niziプロ、I-LANDなども一応見てました。
が、正直わたしは思いっきり新参者です。
ガチのファンダムの方とは全然知識量や経験が違うので、あくまでもライトなファン層の考えと思って読んでいただければ幸いです(いつもと違ってセンシティブな内容を取り扱うのでちょっとビビりつつ執筆しています笑)。

オーディション番組はなぜ人気なのか

ここ近年で行われているオーディションのほとんどは「視聴者参加型オーディション」であるとこが特徴的です。
「視聴者参加型オーディション」とは、オーディション参加者がパフォーマンスを披露したり、ビハインドと呼ばれる練習風景などを番組上で公開し、それを見た視聴者がデビューさせたいオーディション参加者をネットで選び投票をする、という仕組みです。

つまり、視聴者全員が「国民プロデューサー」として少女達を評価し、デビュー前からずっと見守り続けています。
そのため、自分の「推し」を何としてもデビューさせようと、応援に一層熱が入るのです。

さて、このようなオーディション番組がなぜこんなに人気になったのでしょうか。
理由としては主に4つあると思っています。

1.パフォーマンス以外の人間性の部分を見ることができる(いわゆるビハインド)
2.デビュー後の人気も担保できる
3.世界の視聴者をターゲットとしていた
4.多様なコンタクトポイント

それぞれについて、詳しく見てみましょう。


1.パフォーマンス以外の時の人間性の部分を見ることができる

オーディション番組の一番の面白さは、なんと言ってもこれだと個人的には思ってます。
どんなにクオリティの高いパフォーマンスやビジュアルだけ見ていても、おそらくその人達に強い感情移入まではしないでしょう。
少女達がお互い高め合ったり競ったり、笑ったり、時には涙して…そんな部活の青春のような彼女達の成長ストーリーが魅力的な要素の一つであると思っています。

ちなみに、ガールズプラネット999(以下ガルプラ)で特徴的なのが、K(=韓国),C(=中国),J(=日本)の3カ国合同のオーディションであることです。
K,C,Jでチームを組み、異国間でのコミュケーションをしながらパフォーマンスを成し遂げなければなりません。
そのため、国民性の違いがあったり、言語の壁であったり、多くの困難が彼女達に降りかかります。

本気で練習してくれないメンバーに怒りをぶつけたり、望んでたパートができず泣いてしまったり、リーダーを巡って争ったり、難しいパートで上手くゆかず悩んだり、実力がやや不足しているチームでリーダーを任され重荷になっていたり、宿舎で落ち込むオンニ(お姉さん)を励ましたり…

そんな数多くの人間らしい彼女達のストーリーを見て、人の感情は揺さぶられ、結果「沼落ち」していくのでしょう。

Mnet(番組制作会社)は悪編(悪魔の編集)などと言って、面白くするためにあえて、彼女達の発言した時間の前後関係を変えたり、わざわざ無表情の顔を抜いたり、いろいろとあるようですが、ある種、番組を盛り上げるためには必要なのかなと個人的には思ってます(過度な炎上を招くようなものはNGではあるけど)


2.デビュー後の人気も担保できる

視聴者参加型オーディションであるものの、オーディション参加者の合否は、視聴者の投票だけか全てではありません。
「マスター」と呼ばれるk-popのプロ達が審査員として、彼女達のパフォーマンスを評価します。
つまり、視聴者の投票と、マスターからのベネフィットと呼ばれるボーナスポイント両方を加味し、最終的に合格者と脱落者が決定される、という仕組みになっているのです。

この仕組みにより、「プロの目から見た技術面や成長性への評価」「ファンから見た市場への需要や人気などの評価」両方をクリアできるグループを生み出すことができます。
結果として、人気を担保でき、デビュー後も安定的に活動することができるのではないかと思います。

一方、視聴者であるファン達は、毎日せっせと投票していたことにより「あの子は俺が育てた」という感覚を得ることができ、デビュー後も熱狂的なファンになってくれます。

ちなみにですが、オーディション番組慣れしている視聴者達は、自分の「推し」を合格させるための戦略を持っています。
例えば「死票」と呼ばれる戦略。
一般的に「死票」とは、選挙で落選者に入った票のことを言いますが、オーディション番組では意味が大きく異なります。
オーディション番組での「死票」とは生存確実の人気上位の子に投票し、自分の票を無効化させることを言います。
なぜこんなことをするのかというと、投票のシステムによるものであると言えます。

まず、投票の仕組みとして、はじめのうちは、一人に投票するのではなく、必ず複数人に投票しなければならない、という方式になっています。
オーディションが進むにつれて、投票する人数が減ってゆき、最終的に1人(1Pick)にしか投票できなくなります。
このようなシステムであれば、はじめのうちは、自分の「推し」以外の子にも投票する必要が出てきますよね。
一般的に考えれば、2番目、3番目に好きな子に投票…と考えがちなのですが、オーディション番組慣れしている人たちは違います。

彼らは、とにかく自分の「推し」を確実にデビューさせたいのです。
そのため、自分の「推し」のライバルである子達には、できるだけ票が入らないようにしなければなりません。
そこで考えられたのが、「死票」というワケです。
つまり、「推し」に対して、確実に脅威になり得ない程、圧倒的人気を誇っている子に自分の票を投じることで、ライバルに票を入れないようにするという手段を取るというわけですね。
こうした戦略がたちまちネットで広まり、多くのファンが同じ行動を取ったことで、意外な投票結果となり、大きな話題となりました。


3.世界の視聴者をターゲットとしていた

コロナににより在宅時間が増え映像コンテンツを見る時間が増えたことはもちろんですが、その分、様々なコンテンツが乱立していて映像コンテンツの戦国時代のような状況にもなっています。
そんな多くのコンテンツがある中でも、オーディション番組が成功した理由として、世界放送でリアルタイムで字幕がつく、という点が大きかったように思えます。
世界中の視聴者を巻き込み、かつ番組放送後の影響がスピーディーに見られるという点において、世の中の時代にとてもマッチしていたコンテンツであったのではないかと思います。

実は、ここ最近増えた日韓共同オーディション番組であるNizi ProjectやPRODUCE101 JAPAN SEASON2、I-LANDなどはコロナ以降放送されているものなのです。
今後はさらに、ローカライズ型のコンテンツマーケティングが主流になっていくと思われるので、一層このような番組は増えていくのではないかな〜と思います。

4.多様なコンタクトポイント

オーディション本編以外でも視聴者との接点を作り、コンタクトポイントを多様化させた点は、ファンの心を掴むには非常に効果的な手段であったと思います。
いわゆる「単純接触効果」ってやつですね。

SNSやTicTok、UNIVERSE(k-popコンテンツ配信アプリ)、オフラインのペンミ(ファンミーティング)など、多様なチャネルで彼女達のプライベートな一面などを垣間見ることで、ファンとって一層身近な存在として認知してもらうことができます。
さらに、オンライン上に書き込まれた視聴者の生の反応を見て、番組作りに反映させることで、さらなる魅力的なコンテンツを制作することができるようになっていきます。


あの子はなぜ人気になった?心理学の観点から考えてみよう

最後に、ガルプラでいろいろ話題になった子達について、心理学の観点から考察してみようと思います。
個人名は出しませんが、ガルプラを見ている方ならすぐ誰のことかわかると思います(笑)


▼アンダードック効果

状況が不利な方を応援したくなる心理効果のことです。
圧倒的な人気練習生よりも、なかなか報われない子の方を応援したくなる心理現象のことですね。
過去のオーディション番組で脱落してしまった子なんかも多く参加しているので、彼女達の切実さを見ていると応援したくなりますよね。


▼ゲイン効果

初めのマイナスの印象だったものが、後からポジティブな面を見せることでプラスの印象に変わっていく効果のことです。
初めのマイナスが大きければ大きいほど、プラスになる影響力も大きいと言われています。
別名「ジャイアン効果」とも呼びます(笑)

最初のミッションでは、やや過激な発言により炎上していた少女ですが、番組が進むにつれ、おちゃめな一面や仲間想いな一面、キュートな一面など、たくさんの表情を見せてくれたことで、人気が急上昇していきました。
炎上直後は、youtubeの個別紹介動画に低評価が激増してしまったのですが、今では高評価の方が圧倒的に多くなったという逆転ホームランを見せてくれました。
今となっては、当時の炎上した発言に関しても、仲間の士気を上げるための彼女なりの優しさだった、とファン達が彼女の布教活動に勤しんでおり、かなりの愛され具合だと思います。
特に日本での人気が高いとのことですが、どちらかといえは控えめな国民性である日本人から見て、清々しくて頼りになるお姐さんという雰囲気の彼女は、憧れの存在なのかもしれませんね。


▼ピグマリオン効果

他人から期待されることによって成果が上がる現象のことです。
コンビネーションミッションで不本意なラップチームになってしまった少女でしたが、チームのオンニのサポートやラップマスターからの好意的な評価により、急成長。
ついにはラップの才能を開花してしまいました。
中間評価の時とは別人ではないかと思うほどに本番では自身に満ち溢れたパフォーマンスを披露し、マスターや視聴者達を驚かせました。

初めはオンニ達の足を引っ張っちゃったらどうしよう…とポロポロと涙していた彼女でしたが、未経験から韓国語でのラップ作詞なんて本当に良くがんばったね…と胸アツなストーリーでした。



最近流行のカッコいいガールズクラッシュ系が多くて見応えあるし、異なるタイプの少女達のケミストリーが見れたり、楽しめる要素が非常に多いので、ガルプラが人気になるのも納得ですね。
順位の変動もかなり激しく予測がまったくつかないので、今後の動向も楽しみです。

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