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田丸久深
2024年11月25日 00:23
「普段、あまりカフェには行かれない感じですか?」「そうですね、缶コーヒー飲むだけで」「缶コーヒーも美味しいのたくさんありますよね」 プライドを傷つけないよう、コーヒーの頼み方は自分もわからないふりをしたのだが。Dさんは「いやー、わっかりませんね」と鼻で笑うばかり。 やがて運ばれたコーヒーは、こだわりの店だけあってとてもおいしかった。素直においしいと感動する私と対照的に、Dさんは無言で口をつ
2024年11月24日 01:55
プロフィール写真を変更してから、会員サイトのマイページにお見合いの申し込みが続々と届いた。 入会してすぐ、天童よ〇みの写真の時期とは申し込みのペースが違った。その露骨さに、嬉しさは感じない。 プロフィールが公開されたのは10月下旬、本格的に活動が始まったのは何の偶然か34歳の誕生日一か月前だった。仲人からの紹介と自分からの申し込みは月が替わるとリセットされてしまうため、残る10日でこちらから
2024年11月11日 01:28
『田丸さんがどうしてもお写真に納得できないというのなら、プロのクオリティには及びませんが、わたしがあらためて写真をお撮りしましょうか?』 天童よ○み写真への嘆きメールを確認した桜田さんから、その提案が来た週末。私は再び結婚相談所のオフィスを訪れていた。 相談所の活動は担当仲人との二人三脚だが、対面でやりとりする機会は限られている。活動中の主なやりとりはメールや電話。あとは1ヶ月、3ヶ月と定
2024年11月4日 20:00
○「それで、写真はどんな感じにできあがったの?」 休み明けの月曜日。昼休憩でお弁当をつつきながら、先輩の甲斐さんが言う。「撮影前、スキンケアとかエステとかいろいろ頑張ってたじゃない。メイクで綺麗にしてもらえた?」「……こんな感じになりました」 私が差しだしたスマホの画面を見て、甲斐さんが「へえ」と声を上げる。「いいじゃない、プロに撮ってもらった写真っ
2024年11月2日 21:00
くどいようだが、私は地味顔だ。 離れ眉に小さな奥二重、白玉を丸めて乗せたような団子鼻。唇はおちょぼ口であり、全体的な印象は市松人形に近い。肌の白きは七難隠すと言われるが、若い頃はニキビ肌でいつも真っ赤だった。 思春期で自分の顔にコンプレックスを抱き、大人になって化粧を覚えると少しでもマシに見えるよう努力した。メイク教室を利用して離れ目を寄せて見せる技を覚え、奥二重は成長とともに幅が広がっ