⑩哀しみが抑えきれずに溢れだして…発症
事件のあと、私は何も変わらずに生活を続けていた。
そう思っていた。私だけは。
私はそんなことすっかり忘れていたのだが、
実は周りの親しい人たちは、みんな何かおかしいなと
気付いていたらしい。
4年になったばかりのある日、私のことを何かと気にかけてくれる大学のK先生に話があると呼び出され、こう言われた。「実はね、私精神的に調子を崩してるの。眠れないから、通勤途中の駅前にあるきれいなクリニックでおくすり貰って飲んでいるんだよ。たまひよちゃんも眠れないなら行ってみれば?」
私はま