⑥本音と対峙して…理不尽との闘い
不安だった。
受験勉強をしながら、ずっと不安だった。
このままだと、知らなくていいことを
知ってしまうのではないか。
母の本音を知ることになってしまうのではないかと。
精神状態がいまいちだった割に、受験はそこそこうまく行き、第一志望にしていた国公立の医学部に合格した。
これはたまひよの一世一代の賭けだ。うちにお金がなかったとして、私立大学に4年間行くのと、国公立の医学部に6年通うのでは、さほど学費は変わらない。だからもしこれで医学部進学を反対されたら、それはお金以外の問題ということになる。
私は心臓が目からも口からも飛び出そうなほど緊張しながら、母に医学部合格を告げた。すると母は言った。「ふうん。そう。行きたいなら行ってもいいよ。その代わりお金は一切出さないし、家も出て、うちとは縁を切りなさい」私は賭けに敗れた。
今だったらこう思う。家を出よう。国立の大学ならば、奨学金をもらってバイトをすれば、学費を払いながらでも生活できる。
だけどあの頃は、そんなこと無理だとしか思えなかった。要するに私はまだまだ子どもで、自立出来ていなかったということだ。結局、私は医学部を諦め、栄養学科に進むことにした。
そして必然的に母の本音を知ることとなった。おそらく母は、兄と私の差が開くことが耐えられなかったのだろう。これは後から知ったことだが、母は兄に言われたそうだ。「たまひよはお父さんに似たから頭がいいんだ。僕はお母さんに似たから頭が悪いんだ」と。
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