一問一答で動いちゃいねェ世の中 〜HR担当者のネガティヴ・ケイパビリティ〜
『ONE PIECE』という海賊のマンガに「百獣のカイドウ」というそれはそれは強い敵キャラが出てきます。
彼が戦いの中で放ったのが👆のセリフです。
仕事をしていると、上長や取引先から端的でわかりやすい報告を求められる場面がよくあると思います。
しかし、特にHR領域のように、直面している現実や課題が複雑なときには、断定や強い主張をしにくいことも多いのではないでしょうか。
私もHR関連のデータ分析に携わっているとしょっちゅうあります。
ああでもないこうでもないと反芻したり、曖昧な物言いになって「で?🤔」という反応を頂いたりした経験は数え切れません😭。
問いや課題にシンプルな答えが与えられる「一問一答」のシチュエーションはなかなかないよなあ…と、先のカイドウのセリフを見てうなずいていました。
そんな折に、当のセリフが引用されている本を見つけました
タイトルのとおり「ネガティヴ・ケイパビリティ」というキーワードをテーマに哲学者や公共政策の研究者が対談している本です。
その内容がHR領域の仕事にも強く関わってきそうだったのでご紹介します。
ネガティヴ・ケイパビリティは、「謎や不可解な物事、問題に直面したときに、簡単に解決したり、安易に納得したりせず、宙吊りにしたまま抱えておく力」だと説明されています。
日常生活や業務で加速的に求められるようになっている「即断即決」の力とは逆行するニュアンスで、「ネガティヴ」な能力と呼ばれています。
この一見すると消極的な能力がなぜ注目されるのか、著者のひとりである谷川嘉浩氏は次のように説明しています。
答えが決まっていないことや不確かなことを、掘り下げて考えるために立ち止まる力とも言えるでしょう。
先のカイドウのセリフは、SNSのインフルエンサーの発言に見られるような一問一答形式の語りは痛快でわかりやすく便利だけれど、現実の複雑さを見過ごしてしまったり、表層的な納得で思考停止したりしてしまうのではないかという文脈で引用されていたのでした。
ネガティヴ・ケイパビリティについて考えさせられる場面は、HR関連の仕事でもよくあるのではないでしょうか。
人と組織に関することは、古今東西の研究者たちが問い続けているテーマであり、いまだに万能薬のような正解はありません。
定説になっている理論や事例共有はありますが、自分たちの組織に当てはまるかどうかはまた別の話という、まさに曖昧で不確かな領域です。
過去の「ゆる読みHR」を見ても、、
などなど、一筋縄ではいかない現実と取っ組み合っている様子がうかがえます。
HRに関わる仕事の大変なポイントとして挙げられることが多いですが、ネガティヴ・ケイパビリティという概念を持ち込むと、こうした難しさに向き合い続ける経験を積んでいることをケイパビリティ、つまり能力と捉え直すことができるのではないかと思います。
以前TalkCampで実施した「採用担当のキャリア座談会」でも、以下のような議論が交わされていました。
簡単に答えがでない領域で考え続けているからこそ、表層的な解で納得しない思考体力が、本人も気づかぬうちに養われているのではないでしょうか。
今回のゆる読みHRは、某海賊のセリフを入口に、ネガティヴ・ケイパビリティとHR関係者の経験・強みについて書いてみました。
これからも、「一問一答で動いちゃいねェ世の中」を航海するみなさんと共に、対話と学び合いを続けていければと思います。
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