空想お散歩紀行 それはとてもリアルな死の演技?
アンデッド。死なない体。別に願って、欲しくて、手に入れたものではない。
ある意味事故みたいな感じで私はこの不死という特性を手に入れた。まあ、その辺は話すとめんどくさいので省くが。
とにかく、別に欲しかったわけではないので、不死になったからって何かをやるとかは最初はなかった。
怪我や病気で死ぬことはない、四肢がもげようが、首が飛ぼうが死ぬことはなく元通りになる。
だが歳は取る。つまり不老ではないのだ。加齢による自然死は起こるので、厳密に言えば不死ではない。
だけどせっかく手に入れたものなので私はこれを活かすことにした。
それは銀幕の世界だ。
死んでも死なないので、どんな過激な演出にも私は耐えることができる。
大量の爆薬で吹っ飛ばされようが、高度1000メートルから地面に落ちようが。
どんなスタントマンにも真似できない、どんなCGでも出せない生の迫力を作り出すことができる。
私が出る映画は、いかに私が凄惨に死ぬかが一部のファンにはストーリーより興味を持たれているらしい。
だからか、この間公開された新作では、あえて私が最後まで死なないという展開をして賛否両論を呼んだ。
私としても、役者なんだから演技の方も見てほしいという願望はある。
今のところ、不死という特性は役者としての評価とはイマイチ結びついていない気がするが、まあいい。この力のおかげで役者というおもしろい道を見つけることができたのだから。私にしかできないことを、これからも楽しめそうだ。
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