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空想お散歩紀行 まだ知らない夏

今日も青すぎるほど青い空に真っ白な雲が浮かんでいる。
太陽の光は木の葉の緑をより濃く輝かせている。
蝉の声を聞こえるが、それは窓のガラスに阻まれてかなり抑えられている。
そう、私はこのガラス越しにしか夏を見たことが無い。
清潔で常に空調が適切に効いた部屋のベッドの上、私の居場所はそこしかない。
病気で外に出られない私にとって、南側の壁の一面に貼られたガラス窓から見る景色が夏の全てだ。
たった一枚ガラスの向こうなのに、私にはとても遠い世界に見える。
それはまるで映画の中の世界を見ているような感覚だ。
全ての色が濃い、あのガラスの向こうの世界はどんな匂いがするのだろう。
肌が日に焼かれるとはどのような感覚なのだろう。
私は毎日、夏を見ている。だけど、私は夏のことを何一つ知らない。

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