空想お散歩紀行 異世界ワークスタイル
失業率という言葉が昔はあったらしい。
仕事をしていない人の割合みたいなものらしいが、信じられないことである。
今の時代、仕事をしていない人間はいない。
それは、キツイ仕事でもイヤイヤやっているから、やらざるを得ないからという意味ではない。
数十年前に発見された、異世界とのトンネル。
これにより数えきれないほどの異世界との交流が始まった。
そして、異世界の数だけ仕事も多種多様にある。その無限に等しい仕事の中には必ず自分に合った仕事があるということで、今の時代は失業率が0%になっているのだ。
こっちの世界では大変な仕事、誰もやりたがらない仕事も、別の世界の住民から見たら大したことないものだったりする。
ワープの魔法がある異世界人や空を飛べる異世界人はこっちの世界の配送業で活躍できるし、とてつもない身体能力を持っている異世界人は工事現場などで重宝される。
逆に、こちらの世界では当たり前の知識が別の世界では貴重なことも当たり前に存在する。
絵や音楽の無い世界では、こちらの世界では素人に毛が生えたレベルの腕であっても役に立つことができる。
興味深いのは、各世界のルールは決して他の世界の人たちには使えないことだ。
魔法が無い世界の住人はどれだけ訓練しても魔法は使えないし、楽器の無い世界の住人は決して演奏はできない。子供でも扱えるような簡単な機械の操作さえ例外ではない。
こうして、無数の世界の無数の人たちがそれぞれに合った働き方をしている。
そのほとんどが、こんな当たり前のことをするだけでお金もらっていいのだろうかという変わった疑問を持ちながら。
そんな私もその内の一人だ。私が好きなのは旅と、自分が感じたことを文章にすることである。
だから無数の世界を巡り、そこでの人々の働き方をこれからいくつか紹介していきたいと思っている。
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