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空想お散歩紀行 平和な未来

世界は混沌としていた。
人間を始めとした多種族による見境のない争い。昨日まで異種族間で争っていたかと思うと、今日は同族間で血を流している。
そんな情勢の中にあって、何とかしたいと多くの者が立ち上がるが、志半ばで散っていった。
もはや人の身一つでは状況を変えることは叶わぬと、伝説に救いを見出した一人の男。
運命の女神なる存在は、どんな願いも叶えてくれるという。
しかし、その女神に会うには想像を絶する過酷な試練を乗り越えなければならない。
男は心を決め、その伝説に挑んだ。
自らの力を鍛え、誰よりも強い魔法使いとなり、そして長い旅の末、ついに運命の女神と向き合うことができた。
「運命の女神よ。あなたはこの世の未来を見通すことができ、あなたはどんな願いも一つだけ叶えることができるという」
男は自らの願いをそのままに女神にぶつけた。
「世界に平和と安定をもたらしてほしい。これ以上傷つく人々が生まれないように」
「分かりました」
女神は短く答えると、手を天を掲げ、そして男の方へとかざした。
その瞬間、男の姿が消えてしまった。文字通り跡形も無く。
「だれよりも強い魔法の力を身につけたあなたは、世界を救おうと尽力します。しかし、世界の醜さに絶望したあなたは魔王となり、全てを支配し絶望の底へと叩き落すでしょう。それが未来。だからあなたの願いを聞き入れましょう」

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https://note.com/tale_laboratory/m/mc460187eedb5

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