空想お散歩紀行 星の海をはるばると
ふと自然に目が覚める。
上半身を起こし、周りを見る。5時間くらい寝ていただろうか。
時計を見ないと今何時なのかはっきりしない。
何せ、外はずっと夜のようなものなのだから。
いや、正確には昼とか夜とかの概念自体が希薄なのだ。窓の外を見て改めて思い知る。
一面の星々。まるで絵画のようにずっとそこにあるように見えるが、ゆっくり動いている。
宇宙を行く銀河寝台列車の旅はかくものんびりだ。
ハイパードライブによる光速を超えた空間移動技術でこの銀河系のどんな場所でも、24時間以内には行けるようなった。
そんな中、数日から一ヶ月は掛かる銀河寝台列車の旅は亀のごとき歩みかもしれない。
いずれ、この列車も廃れていくのだろう。
だが、この星の大海を悠然と飛ぶ渡り鳥のような旅が私は好きだ。
このゆったりとした時間は自分もこの宇宙の一部なのだという感覚を感じさせてくれる。
ちっぽけな光に見えるが確かにそこに存在する星のように、全てがただそこに在る、無駄なものが一切ない完璧に調和したこの世界の一部だと。
こんな考えが頭に浮かんできて、それをじっくり考える時間があるのがこの旅の魅力でもある。
さて、食堂車に行こう。きっとそこでも見えるのは、代わり映えしない星の風景だろうけど。
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