空想お散歩紀行 全てが主人公
人生とは、一人一人が主役の物語だと、誰かが言っていた気がする。
そしてそれは正しい。
僕は小さい頃からそれが分かっていた。
なぜなら、僕の目には全ての人々が何かしらの物語の主役であることが分かるという、特に役に立つわけでもない能力があるからだ。
分かると言っても、その人の未来が見えるわけではない。
仕事なのか、スポーツなのか、それとも芸術なのか、何となくどの分野で主役となるのか。
さらに、順風満帆なのか波乱万丈なのか。世界的に有名になるほどの主役なのか、それとも身近な人たちの間の主役なのか、それらが朧気に分かるくらいだ。
なぜそんな能力が僕にあるのか。それも分かっている。
僕は脇役だからだ。僕はこの世界で唯一主役になることができない人間だ。
でもだからこそ見えるものもある。
多くの人は、自分が人生の主役だと思っていない。自分は何者でもない、モブ程度のキャラだと思っている。
とんでもない。物語に大小はあれど、誰もが自分だけの物語の主役なのだ。
そして僕は、世界中の人間の物語に脇役として登場することができる。
主役の近くで物語を見ることができるのだ。
それはそれでおもしろい人生ではないかと思うのだ。
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