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空想お散歩紀行 子供の頃にあった物は以外と限定的

冒険者ギルドには今日も多くの人間が集まっている。
よほどこだわりのある冒険者でない限り、各地にある冒険者ギルドを利用する。
ここでは、その土地で募集されている仕事に関する情報が集まる。
短期の肉体労働から、ダンジョン攻略、魔物討伐など、冒険者ならではの仕事のラインナップだ。
単純に冒険者同士の情報の交換という意味でもギルドは有効だ。ここで知り合った冒険者がパーティを組み、その後長い付き合いになることも珍しくない。
冒険者ギルドが、商人ギルド以外の職業ギルドと違う点は、様々な土地からの人間が集まるという点だ。
だからこそ、どこの冒険者ギルドも会話のネタには事欠かない。
「子供の頃さあ、学校通う時バッグに守護札貼ってたよなあ。あれダサくて嫌いだったんだ」
「・・・何それ?知らないんだけど」
「え、マジ?全国でそうじゃないの?」
「いや、ホントに知らない」
生まれ育った土地が違えば、文化も違う。ギルドでは、今まで本人が常識だと思っていた過去の思い出が実はローカルな話だったと気付くことが実に多い。
「そうかあ。確かに悪魔系の魔物が多い土地だったからなあ。それ対策だったな、確か」
「子供が学校通う時と言ったら、術式バッグだろ」
「・・・それこそ知らねーよ」
「え?ホントに知らない?手提げバッグで、中に最低限の各属性の対応道具が入ってるやつ。道具の内容は時代によって変わるけど」
「知らねーよ。どんなとこで育ったんだよお前は」
特に子供の頃、周りに普通にあった物は、世界中にある物だと思い込みやすい。
「学校が長期休みの時に出る宿題と言えば・・・」「せーの」
『夏精霊の友』
「そこは一致するんだ」
生まれ育った土地や文化が違うことが話題になることもあれば、意外なところでの共通点もまた話題になる。
冒険者と言っても、年中冒険しているわけではない。
今日もギルドでは、有益な情報と、特に意味の無い情報が玉石混交で入り乱れていた。

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https://note.com/tale_laboratory/m/mc460187eedb5

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