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空想お散歩紀行 空の上、溢れる川

空を見上げて、彼女は心配していた。
どうも天候が思わしくない。
このままでは来月に控えた、愛しのあの人との逢瀬が難しくなるかもしれないと。
自分の頭上にある空間は漆黒に包まれ、今日も無数の光がそこに在る。
大きなものもあれば、小さなものもある。
星々は昨日も今日も明日も変わらないようにそこに在るかのように光を放っているが、実は違う。
日ごとに消える光もあれば、新しく生まれる光もある。ただ星の数があまりにも多すぎるためになかなか気付くことができないのだ。
そして今日も、多くの星が輝く尾を引きずりながら天を走っていく。
流れ星自体は珍しいものではない。だが、このところその数があまりにも多い。
彼女、乙姫は心配していた。
このままこの豪雨ならぬ、豪流星が続いたならば、天の川が氾濫する可能性がある。
そうなれば来月の大切な日に影響が出るかもしれないと。
しかし、自然の前に彼女は為す術はない。ただ自分の想いを小さな紙に書き、祈りを捧げることしかできなかった。

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