石徹白Life1605~1606日目【今シーズンも始まった民泊にて男子中学生5人を受け入れるドタバタ記】
大阪市から2泊3日で中学校3年生が郡上市にやってきました。1日目は「郡上民泊」で数人ずつ民家に分宿します。
今回は妻が道の駅「「白山文化の里 長滝」」通称:鮎パークへ迎えにいきました。
石徹白地区まで30分ほど山道を揺られてきます。
午後の民泊体験はそれぞれの家で何をするかは任されています。
私たちは何か特別なことはせずに、日々の暮らし、
その季節の旬を一緒に家族のように味わいたいと思っています。
まずは大西家が四季を通じて愛飲する「桂清水」へ到着したところで、
水汲みにやってきた私たちとちょうど遭遇しました。
その後は、川で石を投げて水切りをしたり、
参拝した白山中居神社では残雪に驚いてみたり、
見上げるような巨木の森を歩いたり、
人と人の間に春の山々が立ち会ってくれて、関わりをほぐしてくれました。
何かを説明したり、聞いたりするよりも、ひとり一人が自分に還っていく。
そんなひと時はとても大切です。
さて家に戻ったら農作業体験です。
狩猟採集民の私たちも不慣れなわけですが、
今回は畑の畝立てを一緒にしてもらいました。
初めて鍬をもって土を盛っていく作業は、
見た目よりも大変だと口々に話していました。
運動部の子でさえ部活のほうが楽だと。
部活に農作業を取り入れたら?と返しておきました。
持久力と自給力の根っこはつながっていると私は思います。
畑の脇に生えているアサツキやミントを採って食べてみて、
エグイ!という声があがったり。
え??なにこれネギやー--と盛り上がってみたり。
その後は5つの役割に分かれて、1人ずつ夕食作りをします。
・ご飯炊き。
・味噌汁
・郷土料理
・山菜の下処理
・野草料理
自分がやってみたいものを選んだら、重複なくすんなり決まりました。
我が家の5歳、9歳の子どもたちも自分がやりたい係を選んで、
中学生と一緒に働きます。
とっても楽しそうで、親としても嬉しい機会です。
庭では薪割も始まりました。
初めての中学生には、薪割歴8年の娘が教えています。
しかしNくんは高知県の四万十川にあるおじいちゃん家で
経験があるようで、細く細く薪を割っていました。
我が家の子どもたちの同胞に出会ったような眼差しが微笑ましく感じました。
薪割が終わったらNくんは鰹節を昔ながらの箱で削り、
自家製味噌を湧き水で溶いて、
山菜の具を入れ込んで味噌汁を仕上げてくれました。
お米炊きの担当はKくんです。
私たちはお米を無農薬無肥料で育てています。
米を研ぐところから、湧き水を注いで水加減も初体験。
裏山から杉葉を集めてきて、割ったばかりの薪を使って、
マッチで点火しました。
5歳と中3が協働しつつ、ご飯を炊いています。
100年物の古い羽釜を使って、薪をくべつつ、
水泳部ならではの肺活量で息を吹き込んで火加減も調整。
自ら炊き上げたお米の匂いと味は格別だったようです。
鹿肉とキャベツを大量に刻んで、
郷土料理「鶏ちゃんアレンジの鹿ちゃん」を
担当したのはHくんです。
焚き火で熱されているのは、
かつて囲炉裏で使われてきた鉄鍋です。
こちらも100年以上にわたり、命を受け止め、
命を育んできた道具です。
今を生きる人間が語るよりも、
そこに刻まれた傷と修復の痕、黒光りする内壁が、
大きな世界観を物語ってくれています。
油を入れて鹿肉を投入しました。
じゅぁわあわぁと立ち上る香ばしい湯気で
Hくんのニヤニヤがとまりません。
味見で目がキラリと光り、「これは美味い!!!」と絶叫していました。
山菜の下処理を担当したのは、Mくんです。
ゼンマイの綿毛を何十本と地道に取り除いていきます。
山ウドの皮むきもなかなかの手仕事です。
指の匂い?臭い?が洗っても取れないー-ーと唸りつつ、
耐え抜いたーと笑いながら話していました。
Aくんは野草料理の担当です。
その辺りに生えている「スギナ」を採ってきてもらい、
ちょうどいい薄さと焼き加減に仕上げてくれました。
その職人的な感覚に日々の丁寧さを感じました。
妻が熱々で揚げてくれた山ウドやコシアブラの天ぷらも美味しい!と
もりもり食べてくれて、うれしかったです。
夕飯を大急ぎでいただいて、温泉でゆっくりできました。
次回はもっとゆっくり味わえるようにしたいと反省です。
夜は子どもたちとカルタやUNOで盛り上がり、
寝室でも楽しい時間を過ごしていたようです。
朝食もこの季節ならではの山菜尽くしで6種類が並びました。
旬は瞬間でもあり、2度と同じときは戻りません。
その刹那を共にできることが、
人生の醍醐味かもしれません。
そうこうしているうちに、あっという間に出発時間。
「小学校6年生の最後にコロナが始まって、
中学になってからも校外学習は1つもできませんでした。
文化祭、体育祭も人の関わりがなかった。
だから、この修学旅行が中学校生活の中で一番楽しいです!!」
溢れる思いを聞かせてもらいつつ、
私自身の胸も熱くなりました。
生きるを楽しむ。
生きるを学ぶ。
そんな修学旅行があってもいいじゃないか。
ありがとう。
関わりあって生かされている。
体験したことは消えません。
お互いの人生に苦労はあれども、それは幸せの前兆。
また逢う日まで!
いってらっしゃい!!
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