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社会はフェアでも実力主義でもない。“錯覚資産”で殴り合うジャングルだ。

 実力主義っていうのは、健全で、フェアで、すがすがしく、気持ちよく、本当に夢がある。しかし、夢に浮かれて現実を見ないと、足をすくわれて転ぶ。現実世界は、「実力が正しく評価される健全でフェアで気持ちのいい世界」なんかじゃない。思考の錯覚の泥沼の中で、錯覚資産という卑怯な武器で殴り合う、油断のならないジャングルなのだ。

ふろむだ『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(ダイヤモンド社、2018年)



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本著のメッセージはタイトルにもある通り「人生は運よりも実力よりも勘違いさせる力で決まっている」であり、さらに冒頭で引用した「現実世界は、実力が正しく評価される健全でフェアで気持ちのいい世界なんかじゃない。」だ。

このメッセージに説得力を持たせるために、行動経済学における認知バイアスの一つ「ハロー効果」を僕らの実体験に基づいて説明し、加えて著者が独自に開発した「錯覚資産」という言葉を用いて、語られている。

 ここで重要なのは、「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」は、一種の資産として機能するということだ。本書では、これを「錯覚資産」と呼ぶ。

ふろむだ『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(ダイヤモンド社、2018年)

行動経済学とは、心理学の理論を応用して、人間の日常生活における経済行動を分析する学問のこと。人間がいかにして非合理的な選択をとってしまうのか、それはどのようなときなのか、脳のバグを知ることで様々な分野へ活用していくことができる。

行動経済学はありとあらゆるビジネスに応用されていて、消費者の購買行動を促し、消費者が無自覚に商品を購入するように仕向けられていたりする。

人間の脳が不完全なのが理由で「世界は実力主義ではないしフェアでもない」ことを説明し、分かりやすい上に説得力のある文章で説明してくれていたのが本書だ。

目から鱗で、SNS時代の現代にこそ読んでおきたい本だ。2時間もあればサクッと読めるので、興味のある方はぜひ。



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この本を読んで、自分の考え方がいかにこれまで間違ったものだったのかを痛感した。そして、考えを改めなければならない部分がものすごくあることに気づいた。

世界はフェアなものだと思い込んでいたし、実力をつければいつか見つかるだろうと、淡い期待を抱いていた。だから、自分の実力を磨くための努力にフォーカスして取り組んできた。

しかし、その努力の方向性、努力の順番が正しいわけではないことに気づいた。というより、社会は僕が考えているような構造ではできていないようだ。

成功や活躍には、“僕らが思っている以上に”「運」の要素が含まれているし、実力よりも「錯覚資産」の方が大事だし、僕らの脳は思っている以上に賢くできていないし、都合のいい思考の錯覚を起こしまくる。

著者の言う通り、世界はそんなフェアにできていない。

SNSが発達した時代だからこそ、さらにフェアな時代になったと思い込んでいたが、実際はその逆で、さらにフェアな世界じゃなくなったように思う。著者のいう“錯覚資産”を理解しているか否かが、さらに加速度的に格差を生んでいく世界になっていくのだろう。

このような世界を作っているのは僕らの脳で、僕らは無意識の中で記憶をすり替えていたり、僕らが認識できないところで脳はバグを起こしていたりするのだ。僕らの気づかないところで。これがそんな世界を作っている。

目が悪い人がメガネもかけず歪んだまま世界を見ているように、僕も世界の形を歪んだフィルターを通して見ていたのだと気づくことができた。本書を読み終えた今初めて、メガネをかけた状態で正確に社会を見ることができたような気がする。

さて、これを踏まえて改めて「努力の方向性」「考え方」を考えていこう。




かくいたくや
1999年生まれ。東京都出身。大学を中退後、20歳で渡独するもコロナで帰国。鎌倉インターナショナルFCでプレー後、23歳で再び渡独。渡独直後のクラウドファンディングで106人から70万円近くの支援を集め、現在、プロを目指しドイツ5部でプレーするサッカー選手。好きなテレビ番組は『家、ついて行ってイイですか?』『探偵!ナイトスクープ』

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かくいたくや
文章の向上を目指し、書籍の購入や体験への投資に充てたいです。宜しくお願いします。