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ココロもカラダも発達はそれぞれ

 小学校2年生向けに心理授業を行った時、分かりやすくキャラクターを使って説明しようと考えたのですが、今はやっているキャラクターが分からず、イチかバチかでドラえもんのキャラクターを出してみたら、ほとんどの子どもが分かってくれて、ドラえもんは偉大だとつくづく思ったコミュ力なしカウンセラーのタカタです。ジェネレーションギャップが怖いです。

 今回は、精神科医滝川一廣先生の「子どものための精神医学」を勉強しながら、少しだけ共有しようと思います。かなり分厚い本ですが、内容は濃いです。一読の価値ありです。

1.二つの発達

 滝川先生が言うには、人間は誕生した瞬間から、世界を生きるために発達し始め、死ぬまで発達するそうです。

 発達には二つの側面があり、①周りの世界をより深く、より広く知っていくこと(認識の発達)、②周りの世界とより深く、より広くかかわっていくこと(関係の発達)、であるそうです。

 認識の発達とは、世界をただのモノとしてみるということだけではなく、まわりの人たちと作り上げてきた文化などで共有している意味や約束としてみていくことの発達のこと。関係の発達とは、ただモノとして存在する環境ではなく、対人関係、社会的にかかわっていくことの発達のことである。

 この二つが発達にとって大きく影響をうけるものであると思います。また、我々が”障害”というものとしてみているのは、上記の部分ではないかと思います。

2.精神発達の道筋

 いわゆる「発達障害」をもつ子どもたちや「定型発達」している子どもたちの精神発達の道筋はどのように違うのでしょうか。

 この本で取り上げていることとして大事な部分として、精神発達は、どの子も同じ道筋を歩んでいくということです。ただ、その道筋を歩む速度が速いか遅いかなだけであるということです。しかし、実社会で生活していく際に、平均的な水準に届いていないというだけで、困難さが出てくるため、それを「障害」と呼んでいるにすぎないのです。

 1で示した通り、その発達に関して、二つの視点から見ることで、どの部分の発達がゆっくりなのかをみることが出来る上に、その支援の仕方もわかってくるということです。

3.発達を推し進める力

 では、発達を進める力とはどのようなものでしょうか。

 (a)脳の生物学的基盤、(b)栄養及び物理的な感覚・知覚刺激、(c)関係への能動的な志向性、(d)すでに精神がったつを遂げている人々の関与

 このa、b、c、dのそれぞれの関係で発達していくと考えられています。
 人間の生まれ持った性質と、生まれ持った環境への働きかけの力、栄養などの影響、環境からの働きかけ。
 多くの影響が、発達を進めるうえで重要であると考えられます。

 よく、「私の育て方が悪くて・・・」といった声を耳にします。しかし、発達は本人の能力と環境からの影響が複雑に絡み合って行われるので、それが理由とはならないと本書から考えられることだと思います。

 困難さを見る際は、認識の発達と関係の発達がどの程度なのかを見ることで、支援の糸口になるのではないかと思います。

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